「Pixel 9a」実機徹底レビュー iPhone 16eとカメラ比較、性能やバッテリーも検証

Patrick Holland (CNET News) 翻訳校正: 編集部2025年04月11日 11時10分

 「Pixel 9a」を2週間使ってみた。499ドル(日本では7万9900円で4月16日発売。iPhone 16eより2万円安い)という価格ながら、ここまでの機能を詰め込んだことに驚いた。

Pixel 9a(James Martin/CNET) Pixel 9a(James Martin/CNET)
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  1. ●本体デザイン
  2. ●ディスプレイ品質
  3. ●カメラ性能をiPhone 16eと比較
  4. ●バッテリー
  5. ●AIとその他の機能
  6. ●Pixel 9aを買うべき人とは


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 Pixel 9aを試したこの2週間、トランプ関税発表や株価の乱高下、Nintendo Switch 2の発表、さらにはCNETの新オフィスへの引っ越しと、様々な出来事があった。なかでも最後の引っ越しの際にPixel 9aが活躍した。

 壁際に積み上げられた段ボール、床に散らばった電源ケーブル、雑多に置かれた文房具――。そんな混乱の中で冷たいコールドブリューをどこに置いたのか忘れてしまった。Pixel 9aのカメラを使ってオフィスの荷物や机を映しつつ、Gemini Liveの新しいビデオ機能を試していた時に、「コーヒーはどこ?」と聞いてみた。するとGeminiは「黄色いバックパックの左の机の上だ」と答え、本当にそこにあった。リュックに隠れて見えなかったが、Gemini Liveはしっかり見つけてくれた。もう少し注意していれば自分でも気づけただろう。

 Pixel 9aは「Gemini Liveのビデオ機能」をいち早く搭載した機種のひとつで、1日だけ試用できた。この1年間でAIが現実世界で本当に役立つと感じられた数少ない瞬間であり、何よりその回答が正確だった。

 もちろんPixel 9aには、完全にネタ的な機能を含め、さまざまなAIツールがある。「雪に覆われた月でワニがスキーをする画像」を生成できるスマホが必要かと問われれば微妙だが。

 とはいえ、Pixel 9aの最大の魅力はAIではなく、コストパフォーマンスにある。

 価格は7万9900円で、2024年のPixel 8aから大幅に進化した。新デザイン、新ディスプレイ、大容量バッテリー、わずかに性能が向上したチップ、耐久性の改善、ソフトウェアの強化など、アップグレードは盛りだくさんだ。

 もちろん完璧ではない。12万8900円のPixel 9に搭載されている緊急用衛星通信が省略されるなど、価格を抑えるための妥協点もある。それでもGoogleの取捨選択は賢明で、Pixel 9aは価格以上の価値があると感じる。

 7万9900円という価格設定は、2025年のスマホ市場では絶妙と言えるだろう。倍の価格帯の端末に匹敵する機能を多く備えている。多くの人はPixel 9aで十分満足できるだろうが、キャリアや小売店の下取り割引を利用して、より高級な機種を選ぶ人も少なくないのは確かだ。

●本体デザイン

 Pixel Aシリーズ史上最も作りが良い。防水防塵性能はIP68で、Pixel 8aのIP67からワンランク上がった。雨に濡れたり、飲み物をこぼしたりしても安心だ。

 この価格帯のスマホでここまでしっかりとした手応えは珍しい。本体はPixel 9や9 Pro譲りのフラットな側面で、カメラバーもほぼフラット。ただ、多くのユーザーはケースをつけてこの特徴を隠してしまうだろう。

 背面はプラスチック製だが、触っていても安っぽさは感じない。落としてもガラス背面より割れにくいだろう。借りたアイリスカラーは淡いラベンダーに近い紫で、照明によって春らしい色合いに変化するのが美しい。

●ディスプレイ品質

 これまでのPixel Aシリーズの画面は「まあ使える」程度だったが、9aは上位機種のPixel 9と同じ6.3インチの有機ELを搭載し、60〜120 Hzの可変リフレッシュレートにも対応した。映画視聴、ニュースやSNSのスクロール、ゲームまで快適に楽しめ、明るさも十分だ。

 サイズはPixel 8aの6.1インチより若干大きいが、ベゼルを細くしたため幅はほぼ据え置き(高さは少し伸びている)。ディスプレイ表面にはGorilla Glass 3を採用し、毎日2週間使っても傷ひとつ付かなかった。

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●カメラ性能をiPhone 16eと比較

 メインカメラは新たに採用された4800万画素センサーを搭載。4画素を1つにまとめて明るい1200万画素の写真を生成するピクセルビニング方式を採用している。Pixel 8aも6400万画素で同様の仕組みだったが、屋外撮影では大きな差を感じなかった。

Pixel 9Aのメインカメラで撮影(Patrick Holland/CNET) Pixel 9Aのメインカメラで撮影(Patrick Holland/CNET)
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 9aにはマクロモードがあり、被写体に思い切り近づいてもピントが合う。多くのスマホとは異なり、超広角ではなくメインカメラで処理されるため、仕上がりも自然で美しい。

Pixel 9Aのマクロ撮影の作例(Patrick Holland/CNET) Pixel 9Aのマクロ撮影の作例(Patrick Holland/CNET)
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 超広角カメラはPixel 8aと同じ1300万画素センサーを搭載しているが、なぜか実際には1200万画素で記録される仕様になっている。

夕方の屋内公共スペースを超広角で撮影(Patrick Holland/CNET) 夕方の屋内公共スペースを超広角で撮影(Patrick Holland/CNET)
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 比較のため9万9800円「iPhone 16e」でも撮影した。Pixelシリーズはやや寒色寄り、iPhoneはコントラストが強めという傾向があった。下に示したミッション地区のレンガ建物を見ればその違いがよくわかる。

 室内撮影では9aのダイナミックレンジが8aよりやや広く、黒猫の毛並みの陰影もしっかりと表現されていた。ただしPixelシリーズは影の部分を明るく補正しすぎてやや不自然な印象があった。iPhone 16eはディテールが乏しく、実際に見た印象はPixelシリーズの中間程度だった。

 ポートレートモードは3機種とも望遠レンズを備えていない。特にiPhone 16eは単眼カメラでAI処理に依存している。下の写真では、黄色いセーターや緑色の椅子の質感処理が機種ごとに異なった。ボケの境界線はおおむね自然だが、iPhoneは椅子の縁部分がやや不自然に見える。肌の色味はPixel 9aが最も自然で、8aは暖色寄り、iPhoneはややくすんで見えた。

 夜景撮影ではGoogleのNight Sight機能を使用した。暗室でレゴのスペースシャトルを撮影したところ、iPhone 16eがノイズは少ないものの、コントラストが強すぎる印象だった。個人的にはPixel 9aのバランスの取れた仕上がりが好みだ。

 黄昏時の住宅街では、iPhone 16eは街灯の影響で全体的にオレンジ色に染まった。電線を拡大して見ると、iPhoneは滑らかな線だが、Pixel 9aではややギザギザした輪郭が目立った。

 総じて3機種それぞれ一長一短あるものの、7万9800円のスマホとしてPixel 9aのカメラ性能は非常に優秀であり、多くの人が満足できる画質だろう。

●バッテリー

 5100mAhという数値自体は立派だが、画面サイズの拡大、最大輝度2,700ニトへの向上、処理性能やAI演算の強化などにより、実際のバッテリー持ちは「可もなく不可もなく」という印象だ。体感的にはPixel 8aとほぼ同じで、およそ1日持つ程度だ。

 CNET恒例の45分間バッテリードレインテストでは、満充電から95%まで減少。結果はPixel 8aと同等で、OnePlus 13やGalaxy S25より優れていたものの、iPhone 16eやOnePlus 13R(どちらも減少は3%のみ)には及ばなかった。

 3時間のストリーミング再生テストではバッテリーを22%消費。Nothing Phone 3A ProやOnePlus 13と同レベルだが、Pixel 8aやGalaxy S25よりは一歩及ばなかった。

 充電は最大23Wの有線充電に対応(45Wアダプターは別売)。30分間で46%まで充電可能で、18W対応のPixel 8a(30%)よりも高速だ。ワイヤレス充電は7.5WのQiに対応するが、最新規格の15W Qi2には非対応となっている。

 性能面では、Tensor G4プロセッサと8GB RAMを搭載し、操作は軽快でAndroidのアニメーションも滑らかだ。ロック画面からのカメラ起動も速いが、画面内指紋認証は精度が低く、何度かやり直す場面があった。PUBG Mobileや原神などのゲームを最高設定でプレイしてもフレームレートの低下はほとんど感じられなかった。

 CPUベンチマークではPixel 8aと同等レベルであり、iPhone 16eやGalaxy S25には及ばなかった。

Geekbenchの結果 Geekbenchの結果
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3DMarkの結果 3DMarkの結果
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●AIとその他の機能

Pixel 9aはGemini AIを複数モデルで利用可能(James Martin/CNET) Pixel 9aはGemini AIを複数モデルで利用可能(James Martin/CNET)
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 ロック画面に流れている曲名を表示する「Now Playing」など、Pixel 9aには細かく便利な機能が充実している。安全機能も豊富だが、緊急時の衛星メッセージ送信には対応していない。

 また、最大の特長とも言えるのがAI機能。Gemini 2.0 Flash、2.0 Flash Thinking、2.5 Pro、Deep Research、Personalizationといったモデルを搭載しており、前述のGemini Liveビデオ機能を利用するにはGemini Advancedサブスクリプションが必要になる。

 スマホ上でAIの可能性を強く感じられるが、現時点ではAI機能だけを目当てにPixel 9aを購入する必要はないだろう。

●Pixel 9aを買うべき人とは

4色のPixel 9aが勢ぞろい(James Martin/CNET)
4色のPixel 9aが勢ぞろい(James Martin/CNET)
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 Pixel 5以前の機種を使っている人には、Pixel 9aは非常に魅力的な選択肢になるだろう。価格に対する完成度が非常に高く、コストパフォーマンスではPixel 9よりも優れている。ただし、Pixel 9が値下げされていれば、そちらを選ぶのもありだ。

 さらに、古いiPhoneからAndroidおよびGoogleサービスに乗り換えを検討している人にもおすすめだ。また、ティーンエイジャーや「最高スペックでなくても十分」というシニア層の初めてのスマホとしても優れた選択肢になる。

 結局のところ、格安スマホの価値は機能・価格・妥協点のバランスで決まる。Pixel 9aは完璧ではないが、日常生活に必要な機能は十分に備えている。世界経済が不安定な今だからこそ、この「価値」が際立つ。同じ価格帯でスマホを探しているなら、Pixel 9aよりも優れた選択肢はそうそうないはずだ。

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この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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