OpenAIは、Appleの元デザイン責任者Jony Ive氏とOpenAIの最高経営責任者(CEO)Sam Altman氏が共同設立したAIスタートアップの買収を検討していると報じられている。その金額は5億ドル(約740億円)を超える可能性があると、The Informationが伝えている。
それによると、このスタートアップ「io Products」は、画面のないスマートフォンのコンセプトやスマートホーム機器など、AIを活用したさまざまな技術を開発しているという。しかし、同社はスマートフォンを開発しているわけではないとの情報もある。
この厳重に秘匿されているAIハードウェア構想については、2024年9月にThe New York Timesが初めて報じた。「iPhone」や「iPad」など数々の象徴的なApple製品をデザインしたことで知られるIve氏は、「iPhoneほど社会生活に影響しない」新しいAI駆動のコンピューティングデバイスをAltman氏と共同で開発すると語っている。
デバイスの詳細はほとんど明らかになっていないが、Ive氏とAltman氏は、Appleの共同創業者Steve Jobs氏の妻だったLaurene Powell Jobs氏などの投資家から初期段階の出資を取り付けていると伝えられている。The New York Timesは、2024年末までに出資額が10億ドル(約1500億円)に達する見込みだと報じていた。
「ChatGPT」開発元のOpenAIは買収協議のほか、io Productsとの戦略的パートナーシップも模索しているとされる。もし取引がまとまれば、OpenAIは基盤となる技術や中核的なエンジニアリングチームを取り込める。
OpenAIはコメントの依頼に回答しなかった。現在、OpenAIやGoogle、Metaなどがチャットボットの開発を競い、AI音声アシスタント分野は成長している。この取引が実現すれば、OpenAIはハードウェア企業との連携をさらに強化できる可能性がある。
Ive氏のデザイン会社LoveFromは、2019年に同氏がAppleを去った後に設立したもので、このデバイスの開発を主導している。「Apple Watch」に貢献した著名な高級品デザイナーのMarc Newson氏が共同創業者で、iPhoneのハードウェアデザインを率いたTang Tan氏など元Apple幹部もいる。顧客にはAirbnbやFerrariといった企業が名を連ねる。
市場調査会社IDCのマネージャーであるJitesh Ubrani氏は米CNETに対し、この動きによってOpenAIがさまざまなプラットフォームへの展開を拡大し、より多くの領域に進出しやすくなるだろうと述べている。
「ハードウェア系のスタートアップと組むことで、OpenAIは他のデバイスや用途でも優位を維持しやすくなるだろう」とUbrani氏は語る。「AIが登場するまで、スマートホームハードウェアの技術革新は頭打ちになり始めていた。両社が協力すれば、AIを家庭に取り入れることで、同分野の成長の恩恵を受けることもできる」
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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