トランプ関税で米国株が急落--「今は買い場?」に専門家が回答 下落局面での禁じ手は

Robin Harris (CNET News) 翻訳校正: 編集部2025年04月04日 14時21分

 昨年(2024年)は株式市場が好調で、トランプ大統領の就任直後はさらに上昇していたが、その後は散々な状況だ。


 米国の代表的な株価指数であるS&P 500は2月19日の6411をピークに、この6週間で15%以上下落した。

 トランプ政権の変動的な関税政策も事態を悪化させている。ホワイトハウスは昨日、大規模な関税を世界中に課すと発表し、今日の米国株は急落。S&P 500はわずか2時間半で2兆ドルもの価値を失った。しばらくは下落傾向が続く可能性もある。

 「トランプ政権がもたらす先の読めない関税環境は、ビジネス計画を非常に難しくしている」と、エコノミック・インデックス・アソシエイツCEOでクレイトン大学ハイダー・ビジネススクールの教授でもあるロバート・ジョンソン氏は指摘する。関税とは輸入品にかかる税金で、消費者価格の上昇や世界貿易の停滞を招くため、市場にとってはネガティブな要因となりやすい。

 さらに、連邦政府職員の段階的な削減が家計の消費意欲を落とし、不況懸念も高まっている。「この状況が経済の減速につながる可能性がある」とジョンソン氏は指摘する。

最善なのは「パニックを起こさないこと」

 ほかにもインフレや金利の先行き、軍事的な緊張など、市場を揺るがす材料はいくつもある。3月19日にFRB(連邦準備制度理事会)が政策金利を据え置いたときは一時的に株価が上向いたものの、2025年のインフレ上昇と経済成長の鈍化見通しが伝わると、再び株価は下落してしまった。

 「現実の動きだけでなく、人々がどう感じているかという『認知』も株価には大きく影響する」と、ミラー・インベストメント・マネジメントのファイナンシャルアドバイザー、リック・ミラー氏は言う。「実際の市場状況と同じくらい、『今こうなっているのでは』という思い込みが株価を左右することも多い」

 株価が10%下がると不安に駆られるかもしれないが、こうした下落はそれほど珍しいことではない。市場は2008年の金融危機やCOVID-19ショックなど、もっと大きな下落からも復調してきた。資産運用が気になるかもしれないが、多くの金融専門家は「パニックを起こさないこと」が最善策だと指摘している。

 自分の資産が目減りしているのを見るのはつらいが、すぐに投資方針を変えるのが必ずしも安全策とは限らない。特に、まだ退職まで年数がある(30代〜50代前半)の場合は、長期戦を視野に入れて持ちこたえられる。

 一方、早期退職を検討している人や退職が近い人は、長年積み上げてきた資産を守るために現金化するのも一案だとミラーは言う。

 株式市場は歴史的に見ても下落後に回復してきたが、退職者や退職間近の人には、その回復を待てるほどの時間的余裕がない可能性がある。たとえば2000年にドットコムバブルがはじけた後、株価は少しずつ回復しようとしていたが、2007年から2009年の金融危機が襲った。完全に元の水準に戻ったのは2013年になってからだ。

 「市場が安定しないうちは、米国の401k(日本の確定拠出年金に相当)などの拠出額を増やすのも有効です」とミラーは言う。株価が再び上向いたときにリターンを得やすくなるほか、さらなる急落リスクの分散も図れる。

今は株価が安いから、もっと買ったほうがいい?

 経済全体が不安定な中、株価はしばらく上下を繰り返すだろう。多くのファイナンシャルアドバイザーは、短期的な値動きだけを見て投資スタイルを大きく変えないほうがいいと薦めている。

 「長期投資家にとっては、しっかりとした投資計画を立て、それを続けることが最善策だ」と強調する。パニック売りをしてしまうと、一般的な「安く買って高く売る」という理想とは逆の行動になりやすいからだ。

 専門家の中には「ドル・コスト平均法」と呼ばれる手法を推奨する人も多い。毎月一定額を相場に左右されず投資することで、感情に振り回されにくくなり、市場が落ち込んだときの安値買いの機会を逃しにくくする狙いがある。

 それでも、安いと思ったタイミングで買い増しを検討するなら、いつ相場が回復に転じるかは誰にも読めないことを忘れないほうがいい。

 「一流企業が数年ぶりの安値をつけているなら、普通の投資家でも安値買いを考える価値はある」とミラー氏は言うが、回復のタイミングを正確に予測するのは難しいのが現実だ。

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この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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