米誌Atlanticによると、3月15日に実行されたイエメンへの軍事攻撃について、トランプ政権の高官らがメッセージアプリ「Signal」(シグナル)を使ってやり取りしていた。
ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のブライアン・ヒューズ報道官は、ABC Newsに対しこれが事実だと認めており、これに対して政府内から批判が出ている。
英紙The Guardianによると、下院情報委員会で民主党トップを務めるジム・ハイムズ氏は、「もし事実なら、米国の国家安全保障や前線で任務に就く自国民を守るための法律や規定を大胆に踏みにじる行為だ」と指摘した。
さらに「こうした人々は、機密情報を保護されていないシステムでやり取りするときの破滅的なリスクを十分に認識している。もし彼らの部下が同じことをしたら、間違いなくセキュリティクリアランスを失い、捜査対象になっていただろう」とも述べた。
Signalはオープンソースで提供されている暗号化メッセージングアプリだ。AndroidとiOSで無料で使える。音声通話やビデオ通話も可能で、MobileCoinという暗号通貨でアプリ内送金も可能だ。
リリースは2014年で、BBCの報道によれば、2022年時点で4000万人以上が利用していた。
Signalはエンドツーエンド暗号化を採用しており、メッセージや通話の内容は自分と相手以外には知られない。つまり第三者や政府機関がメッセージを傍受するのは難しい。
ただし、絶対に安全と言い切れない。Googleの脅威対策チーム(Google Threat Intelligence Group)は2月に「ロシア寄りの攻撃者がSignalユーザーを狙っている」との報告を公表している。
多くの場合、攻撃者は「リンクされたデバイス」機能を悪用し、偽のQRコードを使ってSignalアカウントにアクセスしようとしていた。もしユーザーがそのQRコードを読み取ってしまうと、攻撃者の手元にもメッセージがリアルタイムで届くようになるというわけだ。
ただ、最近のバージョンのSignalにはこうした攻撃を防ぐ機能が追加されたとの報告があり、アプリを最新バージョンにアップデートしておくことが重要だ。
一方、2023年には別の研究者グループが、メッセージ送信から「配信完了」の通知が届くまでの時間を測定することで、Signalユーザーの位置を推定する手法を発見した。その手法の正確度は約82%に達し、ユーザーの所在を把握するのに悪用される可能性があるという。
また、Signal自体に「グループチャットにうっかり別人を追加したり、送信相手を間違えたりするのを防ぐ機能」があるわけでもない。
PBSによると、米政府関係者の間では、機密会議の日程調整などのやり取りにSignalが使われていたことがある。バイデン政権の元国家安全保障関係者によれば、一部の職員はホワイトハウス支給の携帯にSignalをインストールする許可を得ていたが、実際に使用する機会はごく限られていた。
主な使い道は「別の安全なルートで送られた機密メッセージをチェックするよう連絡する」程度だったそうだ。
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この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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