5万円台の最新「iPad」レビュー 第11世代(A16)モデルの実力は

Scott Stein (CNET News) 翻訳校正: 編集部2025年03月25日 15時03分

 あなたにとってiPadとは何か?──。これは意地悪な質問ではない。ある人にとってはクリエイティブな端末で、ある人にとってはゲーム、あるいは「単に画面の大きいiPhone」だったりする。

(Scott Stein/CNET)
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 iPadの上位モデルはプロフェッショナルな用途も十分にこなせるが、実際にはそこまで求めていない人も多い。もし派手な機能を求めないなら、いまだに「無印iPad」と呼ばれるAppleのベーシックモデルを買えばいい。大多数の人が欲しいのは、おそらくそういうiPadだろう。

 今回登場した第11世代「iPad」(A16)もまさにそうしたモデルだ。日本では5万8800円で買える本機は、128GBストレージとA16チップを備え、まさにちょうどよい仕様に仕上がっている。

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 ただし、iPadをノートPCライクに使うつもりなら話は別だ。キーボードをつけたり、Apple Pencilで本格的なイラストやデザインをしたいなら、最初からM3搭載の新しい「iPad Air」を検討しておいたほうが賢明だ。ディスプレイの表示品質も格段にきれいだし、周辺機器を揃えるとすぐに金額がかさむからだ。

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 筆者の場合、iPadはボードゲームの「Balatro」や「カタン」「Retro Bowl Plus」を延々とプレイしたり、テレビがふさがっているときに動画を観たり、資料を読んだりしている。たまにキーボードケースをつけて文章を書くことはあるが、写真を眺めたり、SNSをだらだら見たり、友人や家族とビデオチャットしたりがメインだ。マルチタスクでクリエイティブなことをする機会はほとんどない。そんな私には無印のiPadで十分だ。

●ストレージ容量は前モデルから倍増

 

 無印のiPadは昔からストレージ容量が不足しており不満だった。先代の第10世代iPadは64GBしかなく、記事を書くときは「ストレージは上げておいたほうがいい」とおすすめしてきた。

 一方、今回の11世代iPadは同じ価格帯で128GBとストレージ容量が倍増した。もちろんパワーユーザーには物足りないかもしれないが、ストレージの増量を検討する人なら、最初からM3チップを積んだiPad Airを選んだほうがいい。ただし値段は9万8800円する。

●A16チップで少しだけ高速。でも爆速ではない

 iPad(A16)はA16チップを搭載している。これは「iPhone 14 Pro」や「iPhone 15」にも使われているチップで、第10世代iPadのA14よりは速くなっているが、ぶっちぎりの性能というわけではない。

 Geekbench 6のマルチコアスコアは6186で、M3搭載のiPad Air(約1万1643)のおよそ半分だ。シングルコアは2589で、これはM2世代のiPad Proと同等だ。ただ、おそらく大半の人は、このiPadでマルチタスクはしないだろう。

 普段使いのアプリ、例えば動画ストリーミングや軽めのゲーム、記事を読むくらいなら、この程度の性能差はわからないはずだ。

 筆者はハイスペックなiPadももちろん好きだ。プロセッサが速いほうが長く使えるし、画面も格段に美しいし、性能に余裕があるに越したことはない。

 ただ、Mシリーズのチップを搭載するiPadだからといって日常的に大きく得するかというと、個人的にはそうでもない。MシリーズiPad AirやiPad Proに搭載されている追加のマルチタスク機能も、同時に4つのアプリを開ける程度で、正直そこまで活用していない。

 Apple Intelligence? 今はまだ全然実用レベルではないし、自分の生活にはあまり役立たない。今後のiPadOSではAI機能が強化されるかもしれないが、A16チップ搭載のこの第11世代iPadはそのアップデートから外れている。

 今は正直、Apple Intelligenceがなくても困らない。でも1年後にはどう感じるかわからない。今は問題なくても、将来変わるかもしれない。そのあたりは自分の使い方とアップデートの方向性を見ながら判断すればいいと思う。

  カメラにも変化はない。でもそれで問題ない。第10世代のアップデートですでにカメラまわり(とiPad本体のデザイン全体)が刷新されているからだ。要するに今回のモデルは、第10世代にストレージ容量とチップの性能を上げただけの変化だ。だが、横向きフロントカメラが正面に配置されているおかげで、ケースに立てて家族みんなでビデオ通話しても、画面の中央にきれいに映ってくれる。

●不満点

 少し不満なのは、2024年秋に発売された最新「iPad mini」よりも仕様が劣るという点だ。

 最新の8インチ「iPad mini」はA17チップを搭載しており、Apple Intelligenceを使える。それにApple Pencil Proにも対応していて、本体側面にマグネットでピタッとくっつく。

 一方、今回のiPadはApple Intelligenceの対応ラインからぎりぎり外れている。それに、使えるペンはシンプルなUSB-CのApple Pencilか、Lightningアダプタが必要な初代Apple Pencilだけだ。どちらもiPad本体にマグネット装着する機能はなく、持ち歩くときは別の方法を考えるか、ペン収納ループ付きのケースでも使うしかない。

 USB-CのApple Pencilはアート系アプリで使えるが、筆圧感知やホバーモード、新しいタップ操作などの機能は一切ない。本格的にアートをやるならやはり「iPad Air」や「iPad Pro」を買うべきだ。

 ただ、Appleが手頃なモデルをラインナップしてくれているのはありがたい。子ども用にもいいし、シンプルに使いたいだけの人には十分だ。余計な機能を削っている分、価格が上がらなかったのは評価したい。とはいえ、次のモデルでは、もう少し上のチップを積んで、Apple Pencil Proに対応して欲しいとは思う。

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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