「Mobile World Congress(MWC)2025」が開催され、最新かつ最高のイノベーションを宣伝したいIT企業各社がバルセロナのにぎやかな通りに集結した。われわれもここで、風変わりなコンセプトから実際に購入できる製品まで、さまざまなものを目にしてきた(もちろん、タパスをたらふく食べたり、地元のビールを何杯か飲んだりもした)。
そこで本記事では、われわれが会場で見た最高の製品の数々を簡単に紹介したいと思う。まだ購入できないものもあるが、どれも独自の革新性を備えており、デザインやアイデア、価格など、他製品とは一線を画す特長を持っている。
それでは、米CNETがMobile World Congress(MWC)2025で最も高く評価した製品を以下に挙げていく。
ロンドンに拠点を置くテクノロジー企業Nothingは、背面が光る手頃な価格の「Android」スマートフォンでよく知られているが、新しいPhone (3a)とPhone (3a) Proもそのフォーマットを踏襲している。2つのモデルの主要なスペックはほぼ同じで、高性能の「Snapdragon 7s Gen 3」プロセッサー、鮮やかな6.7インチディスプレイ、5000mAhのバッテリーなどを備えている。
どちらも5000万画素のメインカメラを搭載しているが、(3a) Proには、より高度なオートフォーカスシステムと、高画質なズーム写真を撮影できるペリスコープカメラが含まれている。バルセロナ周辺で実際に試してみたところ、かなりいい感じの写真が撮れた。
大きなポイントは、どちらも価格が手頃であることだ。(3a)は379ドル(約5万6000円)から、(3a) Proは459ドル(約6万8000円)からとなっており、Googleの「Gemini」AIツールを搭載していること、さらに3年間のOSアップデートと6年間のセキュリティアップデートを受けられることを考えると、悪くない価格設定だ。
サムスンの新しい「Galaxy A」シリーズ抜きで、手頃なスマートフォンは語れない。Galaxy Aシリーズの最新モデルとして、300ドル(約4万5000円)のGalaxy A26 5G、400ドル(約6万円)のA36 5G、500ドル(約7万5000円)のA56 5Gが発表された(A46がないのは、なぜなのだろうか)。
3機種とも6.7インチディスプレイと5000mAhのバッテリーを搭載しているが、上位モデルになるほど、プロセッサーの性能が上がり、RAMの容量も多い。さらに、カメラの性能も少しだけ高くなる。もちろん、サムスンの「One UI」に組み込まれたAI機能や、GoogleのGemini、「かこって検索」機能は、いずれのモデルでも使用できる。
背面カメラが素晴らしい「Xiaomi 15 Ultra」は、MWC 2025でベストなスマートフォンかもしれないが、2024年モデルの「Xiaomi 14 Ultra」から大幅に進化しているわけではない。筆者が目を向けたのは、別のコンセプトだ。
シャオミが「Xiaomi Modular Optical System」と呼ぶこのコンセプトは、基本的にカメラレンズと大型センサーをスマートフォンに取り付けたものである。プロレベルの撮影が可能な一方で、スマートフォンを頭脳として使用するため、ユーザーは撮影した画像をその場で編集したり、SNSで共有したりできる。ソニーが2013年に発売した「サイバーショット DSC-QX10」に似ていないわけではない。QX10はおそらく時代を先取りしすぎた製品ではあったが、個人的にアイデアとしてはかなり気に入っていた。
残念ながら、シャオミのレンズはコンセプトとして披露されているだけだった。筆者は、これが店頭に並ぶことを心から願っている。プロの写真家としては、かさばるフルサイズのカメラとレンズを携行しなくても、スマートフォンより高画質の画像を撮影できるというアイデアが非常に気に入っている。
スマートフォンについて語るとき、通常は、一番高性能な機種はどれか、カメラが一番優秀なのはどの機種で、バッテリー持続時間が一番長いのはどの機種か、といった話題になるが、HMDのFusion X1が目指しているものは、ほとんどのスマートフォンと大きく異なる。Fusion X1は10代の若者を正面からターゲットにしており、子どものスマートフォンのアクセス(スクリーンタイム)を保護者が自分のスマートフォンから制限することが可能だ。子どもがテクノロジーやSNSとより健全な関係を築けるように配慮された製品となっている。
米CNETのKatie Collins記者はFusion X1のハンズオンレビューで、「ペアレンタルコントロール機能を持つスマートフォンの場合、アプリでそれを実現しているケースがほとんどだが、アプリは削除したり、制限をすり抜けたりすることが可能だ。Fusion X1の場合、独自のAndroid OSに深く組み込まれたさまざまなアプリベースのコントロールを組み合わせている」と解説している。「これによって、ロックダウンされた安全な空間が作り出され、保護者が同意すれば、子どもは『Snapchat』や『WhatsApp』『TikTok』に制限付きでアクセスできる」
Fusion X1は2025年5月に229ポンド(約4万4000円)で発売される予定だ。
プロジェクターはかさばることが多いので、基本的には天井に付けっぱなしにしておく製品だ。AurzenのZIP Tri-Fold Projectorは従来のプロジェクターとは全く異なる。折りたたみ機構を使用して(若干サムスンの「Galaxy Z Flip6」のような見た目になる)平面に立たせると、最大80インチのサイズで映画を投影することができる。折りたたむと、ポケットに収まるほど小さいサイズになる。
Appleの「AirPlay」をサポートするので、「iPhone」からNetflixの動画をストリーミングしたりすることもできる。ノートPCを接続して、そのほかのコンテンツをストリーミングしたい場合は、HDMIアダプターも利用できる。バッテリーの持続時間は最大1.5時間なので、「デューン 砂の惑星PART2」を見たければコンセントに差し込む必要があるが、急速充電をサポートするので、短時間で充電することも可能だ。
720ピクセルという解像度は熱心な映画ファン向けではないが、本体サイズが小さいため、友人宅に持ち込んで映画鑑賞会を開いたり、旅行に持っていったり、単純にアパートの狭い一室で使用したりするのに最適である。
クラウドファンディングサイト「Kickstarter」のローンチで成功を収めたZIP Tri-Fold Projectorは3月中に一般販売される予定で、価格は399ドル(約5万9000円)。Kickstarterの早期予約価格は299ドル(約4万5000円)となっている。
うわさによると、詳細が一部公開されたサムスンの「Galaxy S25 Edge」は本体の厚みが6mm弱しかないと言われているが、TECNO SPARK Slimのコンセプトはそれを上回る薄さを実現している。厚さはわずか5.75mmで、世界最薄のスマートフォンとうたわれている。筆者も実物を見たが、奇妙なほど薄く感じた。
薄型スマートフォンは、バッテリーを収めるスペースが少ないため、バッテリー持続時間が短くなることが多い。しかし、本機種では5200mAhの大容量バッテリーと5000万画素のメインカメラおよび超広角カメラを詰め込むことに成功している。
まだまだコンセプト段階なので、こうしたスペックをすべてうのみにしない方がいいだろう。それでも、持ちやすさや、スキニージーンズのポケットへの入れやすさを重視したこのようなスマートフォンが登場するのは、楽しみだ。メーカーによると、本機種では頑丈な素材が使われているそうだが、特に本体を後ろのポケットに入れたまま座った場合、簡単に曲がってしまわないか心配だ。そんな形でスマートフォンを壊してしまうのは、なんとしても避けたい。
レノボはMWC 2025でコンセプトデバイスを多数出品していた。ノートPCのメインディスプレイに取り付けて作業スペースを拡張できるスッキリしたデザインのディスプレイもその1つだ。しかし、われわれのお気に入りは、ディスプレイの背面にソーラーパネルを搭載したソーラー発電ノートPCだ。
レノボによると、このソーラーパネルは特に効率が高く、直射日光の当たる場所に20分間置くだけで、動画を1時間再生できるだけの電力を供給できるという。とはいえ、米CNETのJosh Goldman記者が指摘しているように、重要なのは、ノートPCをソーラーパワーだけで動かすことではなく、バッテリー持続時間を可能な限り延ばすことだ。
これは確かに素晴らしいアイデアだが、日常的な使用において、それほど役に立つとは思えない。まず、明るい日光の下で、ノートPCを使いたい人などいるだろうか。そして、これが重要なポイントだが、ノートPCを使用しているとき、ディスプレイの背面は下向きになり、日光から遠ざかるため、実際に充電できるのは、本体が閉じられて、使用されていないときだけになるのではないだろうか。とはいえ、IT企業が開発に取り組んでいる再生可能エネルギーの利用方法については、われわれはいつだって強い関心を持っている。ポンチョにソーラーパネルを貼り付けるというアイデアであっても大歓迎だ。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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