Microsoftは、かつてオンライン通話ツールの主流だった「Skype」を終了すると発表した。5月をめどにサービスを打ち切り、今後は「Teams」に個人向けのメッセージングや通話機能、ファイル共有機能を集約する。
Skypeの主要機能は今後、Teamsの無料プランに移行する。同プランでは、ミーティングの開催やカレンダー管理、コミュニティの作成や参加も可能になる。
Microsoft 365 Collaborative Apps + Platforms部門のJeff Teper氏はCNETの取材に対し、「Skypeはウェブでの音声・ビデオ通話を切り開き、我々に多くの教訓を与えてくれた。その知見をこの7年間、Teamsに反映してきた。今後はさらなるシンプルさとイノベーションを追求するため、Teamsに注力すべきと判断した」と述べた。
Skypeは22年前の2003年にリリースされ、高価な国際電話の代替として特に重宝された。遠方の家族や友人との連絡手段としてはもちろん、学校のバーチャルツアーやメディア企業がゲストをリモート出演させる際など、多方面で活用されてきた。しかし、他のSNSでのビデオ通話サービス(FaceTime、日本ではLINE)が普及するにつれ、存在感は薄れていった。
一方で、2017年に登場した「Teams」は、チャットや通話、ファイル共有などを軸に、業務コラボレーションツールとして急成長した。新型コロナウイルスのパンデミックで利用者が一気に増加した。
Microsoftによると、ここ2年ほどでTeams会議の通話時間は4倍に増加し、個人向け通話を大きく上回っている。Teper氏は「この利用拡大が大きな後押しとなり、今回の決断に至った。今後も絵文字やフィルターなどの新機能を次々に投入する予定だ」と述べている。
Skypeユーザーは、通話履歴やチャットを手元にエクスポートするか、無料のTeams版に移行するか選べる。Skypeアカウントへのログイン自体も可能で、過去の通話やチャットの履歴には引き続きアクセスできるという。MicrosoftによるとSkypeには今も根強いファンがいるが、具体的な利用者数は明かされていない。
市場調査会社Creative StrategiesのCarolina Milanesi氏は「正直、もっと早く終了しても不思議ではなかった。現在のSkype利用者は、単に慣れを理由に使い続けているだけではないか」と指摘する。
Skypeが「1つの時代の終わり」を象徴するかどうかは世代によるが、Milanesi氏は「若い人にとっては黒電話のような存在で、使い方すら想像がつかないかもしれない。SNSで通話機能が当たり前になった今、Skypeはある意味で時代を区切る象徴になっている」と述べた。MicrosoftがこれまでWindows Phoneなど古い技術を段階的に廃止してきた経緯を考えれば、今回の決断も自然な流れと言えそうだ。
ForresterのJ. P. Gownder氏は、「どのサービスにも終わりが来れば悲しむ人はいるが、Skypeの全盛期はとうに過ぎ去った。今回の決定は妥当だ」とコメントした。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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