ボックスの上部にあるスロットにスマホを差し込むと、中からまるでプリンターのような機械的な音が聞こえた。しかし、この卓上デバイスは紙を出力する代わりに、スマホケースに新しいバッテリーを装着してくれる。その作業はわずか数秒で完了した。この「Swippitt」というデバイスは、CES 2025で初披露され、6月に出荷予定だ。これまで見た中で最も独特(そして高価)なスマホのバッテリー寿命延長方法かもしれない。
スマホメーカーやアクセサリーメーカーは通常、スマホの電力効率を上げたり、バッテリー容量を大きくしたり、充電速度を改善したり、バッテリー内蔵のケースを販売したりすることに焦点を当てている。しかし、Swippittはバッテリーを常に充電状態に保ち、必要に応じて素早く交換できるようにするというアプローチを取っている。発売時にはiPhone 14、15、16に対応し、Android対応はその後となる予定だ。
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ただし、いくつか大きな注意点がある。まず、ややかさばるケースを日常的に使うことに抵抗がないことが前提だ。また、ハブが450ドル(約7万1000円)、リンクケースが120ドル(約1万9000円)と、高価である点も問題だ。これらを合わせると「PlayStation 5」よりも高く、「iPhone 16」とほぼ同じ価格になる。
Swippittハブには5つのバッテリーが内蔵されており、常に充電と管理が行われているため過熱しない仕組みだ。ケース付きスマホをスロットに差し込むと、ハブはケースからバッテリーを取り外し、別の充電済みバッテリーを装着する。従来のバッテリーケースは存在していたが、Swippittの利点は、ハブにスマホを2秒差し込むだけで瞬時に追加のバッテリー寿命が得られる点だ。バッテリーケースを使う場合のように、ケースを手動で充電したり、充電完了を待つ必要がない。
Swippittの創業者兼CEOであるパドレイク・コノリー氏と、CMOのナンシー・スミス氏は、このデバイスを家族で共有する家庭向け製品として位置付けていると話す。この考え方により高価格も正当化できるという。将来的には、空港や大学の寮など、頻繁に充電が必要とされる公共スペースでの利用にも理想的だと考えている。
コノリー氏によれば、この目立たない箱の中では、バッテリーを交換するわずか数秒間に多くのことが行われている。ケースに新しいバッテリーを装着するだけでなく、消耗したバッテリーを適切な場所に移動させ、次に使用するための充電済みバッテリーを準備している。
アプリを使えば、ハブ内の特定のバッテリーを予約することも可能だ。例えば、アプリで完全に充電されたバッテリーを見つけ、他の家族に取られないよう確保したい場合、自分専用のケース用に予約することができる。ハブはRFID(無線周波数識別)技術を使って挿入されたデバイスを読み取り、それがSwippittのリンクケースであることを認識する。
ケース自体は、典型的なバッテリーケースと同程度のかさばりと重さだ。ミニマリストや、スマホを狭いポケットや小さなバッグに入れる人には好まれないかもしれないが、それほど負担になるわけではない。
最大のハードルは価格だろう。ハブとケース2つのセットで約700ドルもする。些細な便利さのためにこれだけの出費をするのは、多くの人にとって目の玉が飛び出るほど高額だ。
これは一般的な問題への斬新なアプローチだが、もっと手頃な価格になるまでは、大半の人は従来通り充電を工夫してしのぐだろう。
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この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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