来る3月に8周年を迎える「Nintendo Switch」にまもなく、後継機が登場する。任天堂はすでに、まったく新しいゲーム機を開発中であることを認めており、「スーパー・ニンテンドー・ワールド」を含む「ユニバーサル・エピック・ユニバース」が米フロリダ州で開業する2025年5月より早く、詳細が発表される見通しだ。
すでにSwitchを持っている人、または買おうと考えている人のために、これまでの報道とうわさをもとに、Switch後継機について知っておくべき情報をまとめた。現時点では、驚くような情報はないが、ゲーム性能は飛躍的に向上するとみられているため、Switchを今買うかどうか迷っているなら、後継機の発売を待つ価値はあるかもしれない。
任天堂社長の古川俊太郎氏は、Switch後継機(正式名称はまだ明らかにされていない)ではSwitch向けのゲームが遊べること、また有料サービス「Nintendo Switch Online」も引き続き利用できることを明言した。11月上旬に古川氏が「X」に投稿した短い投稿は、後継機がどのようなものになるにせよ、現行Switch向けにリリースされているゲームも遊べることを請け合うものだった。
任天堂のゲーム機が後方互換性を約束することは珍しくない。「Wii U」「Wii」「ニンテンドー3DS」「ニンテンドーDS」「ゲームボーイアドバンス」など、テレビとつないで遊ぶ据置機から携帯機まで、任天堂のゲーム機の多くは直前の世代のゲームも遊べた。
つまり、任天堂が開発中の次世代ゲーム機はSwitchの代替として問題なく機能するということだ。となれば、後継機の正式名称は「Switch2」や「Super Nintendo Switch」あたりになりそうだが、予想を裏切ってくるのが任天堂だ。
9月に次世代Switchとされるレンダリング画像がRedditに投稿された。もともとは中国のソーシャルメディアサイトに流出したものだが、見た限り、少なくとも基本的な部分では現行Switchにそっくりだ。横長のディスプレイ、携帯できるサイズ感、そして左右についた取り外し可能なコントローラーには複数のボタンがおなじみの配置で並んでいる。
この投稿によると、後継機のディスプレイは8インチ(現行のSwitch有機ELモデルは7インチ)で、本体の上部と下部にUSB-Cポートが配されているという。現行Switchと同じようにドックに差し込む仕様だが、USB-Cポートの数が増えているということは、何らかのアクセサリーや外部ディスプレイ(例えばメガネ型ディスプレイ)と接続できるようになる可能性がある。
携帯型ゲーミングPC「Steam Deck」やノートPC、そしてほとんどのスマートフォンはすでにXREALなどが開発しているスマートグラスとつないで、映像を出力できるようになっている。Switch後継機でも同じことができればセールスポイントになるだろう。任天堂自体がメガネ型アクセサリーを出してくる可能性もある(これは推測にすぎないが、任天堂は過去にもSwitch向けにダンボール製VRキットや遠隔操作が可能なARラジコンカーを出したことがあるため、あり得ない話ではない)。
Switch後継機には現行Switchと同じモジュール式のコントローラー「Joy-Con」が搭載されるというのが大方の見方だ。ただしデザインは刷新され、マグネット着脱式になるといううわさがある。ゲームコントローラーを製造するMobapadは、マグネット方式やコントローラーに搭載される新たなボタンについて詳しく伝えている。
Joy-Conを本体にマグネットで接続できるなら、この仕組みを利用した新たなアクセサリーも登場するかもしれない。気になるのは、Switch後継機がどの程度の「モジュール式」になるのかだ。現在のところ、Switch本体の左右にあるサイドレールにはJoy-Con以外のものは接続できないが、後継機では周辺機器の分野で何らかのサプライズがあるかもしれない。今後の発表が楽しみだ。
2023年以前から、Switch後継機ではグラフィック性能が大幅に強化され、現行Switchでは対応できない最新ゲームも動かせるようになると報じられてきた。具体的には、「DEATH STRANDING」「ELDEN RING」「Madden NFL」といったゲームだ。Switch後継機は、現在と同様に携帯モードとテレビモードの両方を備えたコンソールとなるだろう。これは業界全体のトレンドでもある(Steam Deckをはじめとする携帯型ゲーミングPCの登場はその証左だ)。
問題は、テレビとつないだ際のグラフィックが携帯モードと比べて、どの程度向上するかだ。テレビモード時は4Kに対応するが、携帯モードではフレームレートが低下し、液晶画面で1080pの画質が上限になる可能性もある。これは妥当なところだ。例えばSteam Deckのディスプレイの解像度は1200×800だが、ほとんどのゲームを十分に美しい画質で遊べる。
Digital Foundryなどによると、Switch後継機にはNVIDIA製プロセッサー「T239」が搭載される可能性が高いという。このチップセットの大きな特徴として伝えられているのは、レイトレーシングと「PlayStation 4」レベル以上のグラフィックス性能のほか、ロード時間の短縮やAI機能の強化が期待できること、使用状況に応じて4Kへのアップスケーリングや効率を重視した携帯モードでのダウンスケーリングが可能であることなどだ。
初代Switchは2017年に300ドル(日本では税別2万9980円)で発売されたことを考えると、後継機の価格が400ドルになっても不思議ではない。インフレへの対応だけを考えても値上げは当然だ。では、500ドル(約7万6000円)になる可能性はあるだろうか。あるいはMicrosoftやソニーのように、構成違いのモデルが複数用意される可能性もある。また、ゲームソフトの価格が上がるという情報もある。任天堂が開発した大作ゲームの場合、価格が70ドル前後(約1万1000円)になる可能性はある。
個人的には、Switch後継機にはまだ、誰も想像していないような情報が隠されていると予測している。相手は、ユーザーを驚かせることが大好きな任天堂だ。今回流出した後継機のデザインを見て、ありきたりだと感じた人もいるだろう。しかし過去の歴史が証明しているように、任天堂はいつもサプライズを用意してきた。
サプライズと言えば、任天堂はこの秋にも突然、目覚まし時計やゲーム音楽のストリーミングサービスを発表し、人々を驚かせた。こうした例は過去にも見られる。例えば、「Nintendo Labo」や「マリオカート ライブ ホームサーキット」、もっとさかのぼればWiiの一風変わったコントローラーデザインやニンテンドーDSのデュアルスクリーン、ニンテンドー3DSの裸眼で楽しめる3D映像などを事前に予想できた人がいるだろうか。遊び心こそ、任天堂の真髄だ。
Nintendo of America社長のDoug Bowser氏は、2023年にAP通信のインタビューでこう語っている。「常に、どうすれば驚きと喜びを与えられるかを考えている。どうすれば新しい遊び方、ユニークな遊び方を提案できるか――それがいつも頭にある」
現行SwitchのJoy-Conにも、赤外線カメラが搭載され、心拍数や指の動きを追跡できるという驚きが組み込まれている。後継機にも、同じように遊び心にあふれた驚くべき新機能が備わっているに違いない。そうでなければ、むしろ、その方が驚きだ。
任天堂は年度末、つまり2025年3月末までに後継機を発表すると明言している。初代Switchの発売は2017年3月だった。任天堂は春という季節が好きなのかもしれない。ニンテンドー3DSが発売されたのも春だ。
第1弾の告知映像が公開されるタイミングは不明だ。初代Switchは2016年秋に突然発表された。今回も秋に何らかの発表がある可能性はあるが、筆者は別のスケジュールを予想している。Switchが発表された2016年に、当時の現行機だったWii Uは売上げ不振にあえいでいた。しかし現在の現行機であるSwitchは、2024年の今も売れ続けている。ホリデーシーズンが終わってからの発表の方が、はるかに理にかなっている。
では、消費者はどうすべきか。現行Switchにはたくさんの素晴らしいゲームがあり、これらのゲームは後継機でも動く。つまり、Switch向けのゲームは安心して買える。しかしSwitch本体を買いたいなら、任天堂が何を、いくらで出すのかが分かる2025年まで待った方がいいかもしれない。
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この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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