KDDIは11月7日、サイバーセキュリティを事業とするラックの普通株式を公開買付けし、完全子会社化する取引に合意したと発表した。
両社の経営資源を集約し、より迅速に市場変化に対応できる体制を構築する。あらゆる産業や人々の暮らしに通信やAIが溶け込む時代に対応すべく、KDDIのネットワークとラックのセキュリティを融合させ、サイバーセキュリティサービスの高度化を推進する。日本のサイバーセキュリティ業界の発展に貢献するとともに、ラックの企業価値最大化とKDDIグループ全体の成長を促進し、両社の事業のさらなる成長と企業価値の一層の向上を実現するとしている。
KDDIとラックは、2007年に資本提携。顧客需要の変化に合わせた新サービスの共同開発、クラウド・IoT領域への拡大といった協業案件でサイバーセキュリティソリューションを提供し、関係性を深めていた。
普通株式の公開買付け(TOB)は、11月下旬に開始する予定で、1株あたり1160円、2118万4250株を買い付ける予定。総額は約246億円としている。
今後は、ラックのサイバーセキュリティーサービスとKDDIのネットワークサービスを一体化し、コンサルティングから監視・運用までが一貫したサイバーセキュリティサービスの新規展開を目指す。
既存事業では両社のソリューションを組み合わせ、顧客や販路でのサービスの拡充を通じて収益を拡大し、セキュリティサービスの一体化やリソースの最適化を図る。より効果的なサービス提供体制を構築し、さまざまな顧客ニーズに対応するという。
また、KDDIのグループケイパビリティであるAI技術やデータ分析技術を駆使し、ラックの運用・監視、緊急対応、診断などのサービスで蓄積したサイバーセキュリティに関する膨大な脅威情報を、自動で高度に処理するという。データ基盤や分析基盤を統合してサイバー攻撃に関する動向を可視化できるサービスの開発など、新たな価値の創出と生産性の向上を目指すとしている。
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