パナソニックホールディングス(パナソニックHD)は9月27日、アノテーションツールや教師データ作成サービスなどを展開するFastLabelとAI開発の効率向上に向けた協業を開始すると発表した。アノテーションコストの大幅削減と高精度化の両立を目指す。
今回の協業は、パナソニックHDが開発を進めるマルチモーダル基盤モデル「HIPIE(ヒピエ)」を、FastLabelのData-centric AIプラットフォームと統合し、自動アノテーションモデルとして構築するというもの。
アノテーションとは、データに対してラベルを付ける作業のこと。「AIを現場で活用するにあたり、ボトルネックの1つになっているのがデータの構築。AIで活用するためには、現場固有のデータを大量に集め、それをアノテーション、いわゆるラベル付けが必要になる。この作業には時間とコストがかかるため、AI活用を阻害する大きな要因の1つになっている。パナソニックHDでは、それを解決するためにマルチモーダル基盤モデルであるヒピエを開発。ヒピエは学習していない物体に対して、言語で指定することで、未学習の画像のオブジェクトを認識できる」(パナソニック ホールディングス 技術部門 テクノロジー本部 デジタル・AI技術センター 所長の九津見洋氏)と説明する。
FastLabelが提供するData-centric AIプラットフォームは、直感的に利用できるユーザーインターフェースを備え、非エンジニアでも、データ管理、アノテーションからモデルの学習・評価まで、一貫したAI開発の運用を可能にすることがポイント。「ヒピエは事前に学習していなくても『バナナ』というものを指定すると『これはバナナである』ことがわかる技術。それをFastLabelの優れたUI、UX、データ管理の仕組みを融合させることで、アノテーションのワークフロー作業における劇的改善を狙っている」(九津見氏)と協業の意義を話す。
「AIの開発は高度なAIエンジニアが必要だと言われていた時代から、ドメイン知識が必要な、いわゆる現場の非エンジニアの方が主役となったAI開発にシフトしてきている。ヒピエとFastLabelのData-centric AIプラットフォームを連携することで、パナソニックHD全体における、AI開発の効率化、高度化が実現できる(FastLabel 代表取締役 CEOの鈴木健史氏)と、AI開発の背景を説明した。
九津見氏は「アノテーションも含めたAI開発のワークフローをいかに効率化するか、いかに誰でも使えるようにするかがそもそもの課題。その観点でFastLabelとの協業は有力候補の1つとして検討を進めてきた。今回の協業により、私たちが目指す効率的なAIワークフローが実現するとの判断に至った」とした。
今後は、くらし、製造、物流などパナソニックグループの幅広い事業領域でAI開発を加速していく構え。パナソニックHDが開発を進めている大規模言語モデル「Panasonic-LLM-100b」をマルチモーダル基盤モデルへ統合することで、さらなるAI開発効率の向上を計画している。
プレスリリースCNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」