「iPhone」に新たな要素が追加されるのは一大事だと言ってもいいが、「iPhone 16」と「iPhone 16 Pro」に導入された「カメラコントロール」ボタンは多くの人にとってサプライズだった。その驚きが向けられたのは、新しいボタンが追加されたこと自体ではなく(その存在は数カ月前からうわさされていた)、物理的なボタンにタッチ操作のためのセンサーが組み込まれていたことだ。
物理ボタンを使ってカメラのシャッターを切るというアイデアは新しいものではない。現状でも音量ボタンを使ってカメラアプリのシャッターを切ることはできるため、もしカメラコントロールの導入が単にボタンが増えただけの話であれば、仮にそれがiPhoneを横向きに構えたときに最適の場所だったとしても、きっと失望されたことだろう。
しかしこのカメラコントロールは、従来のようなただのボタンではなかった。このボタンの表面は静電容量式のセンサーになっており、タッチやドラッグなどの操作を認識して、写真の撮影に伴うさまざまな操作を行うことができる。
カメラコントロールは、現在予約可能で9月20日に発売予定の「iPhone 16」「iPhone 16 Plus」「iPhone 16 Pro」「iPhone 16 Pro Max」に搭載される。
iPhoneのカメラコントロールは、実際に押すことができる物理的なボタンだが、「MacBook」のトラックパッドのような触覚フィードバック機能を備えている(このトラックパッドは、触覚フィードバックのおかげで、単なるガラス面あるにもかかわらず物理的なボタンと同じような感触が得られるようになっている)。
ボタンの表面は静電容量式のセンサーになっており、触れている指先の動きに反応する(「Macbook Pro」の「Touch Bar」のテクノロジーがここに生かされているわけだ)。
ユーザーがボタンを軽く押す(ボタンの表面には圧力がかかっているが、ボタンが下がるほどではない状態)と、画面上にオーバーレイが表示される。「iOS 18」のベータ版でユーザーインターフェースに物理的なボタンが押されたことを示す小さなアニメーションが導入されたことが話題になったが、これはカメラコントロールボタンの導入に伴い、操作エリアを拡大するための準備だったようだ。
iOS 18の新機能のひとつに、ロック画面にデフォルトで用意されているカメラアイコンを削除し、別のものに置き換えるというものがある。筆者自身はこのショートカットを使ったことはなく、いつも画面右端から左にスワイプしてカメラアプリを開いていた。
今後は、カメラコントロールボタンを押すことで内蔵カメラアプリをすぐに開けるようになり、これまでよりずっと素早く起動できるようになる。これは、このボタンがiPhoneを持つときに親指や他の指が触れている位置の近くにあるためだ。
カメラの操作性が重要であるという事実は見落とされがちだが、写真の構図を快適に決められるか、画面上のシャッターボタンを押す際に指をねじらずに済むかといった使い勝手は、この操作性に左右される。
iPhone16では、カメラコントロールボタンを押せば写真を撮影でき、長押しすれば動画の撮影が始まる(筆者は、ボタンを長押しした際の動作を変更して、写真を連写できるようにするオプションがあるといいと思っている。現状でも音量を上げるボタンで連写できるのだが、それにはまず「設定」>「カメラ」>「音量を上げるボタンをバーストに使用」オプションを有効にする必要がある)。
また、カメラコントロールボタンを軽く押すと、インターフェースのほとんどの項目が一時的に非表示になり、被写体が見やすくなる。
将来のソフトウェアアップデートでは、ボタンを軽く押し続けることでフォーカスをロックできるようになるという。これは、ほとんどのカメラでシャッターボタンを半押しした際の挙動と同じだ(別の方法として、画面上でピントを合わせたい場所を長押ししてその場所のピントと露出をロックし、構図が変わってもそれをそのまま維持することもできる)。
カメラコントロールボタンの最大の利点は、画面上で指を動かさなくても多くの機能を利用できることだろう。
ズームインしたりズームアウトしたりするには、ボタンを軽く押してスライダーを表示させ、そのままドラッグして焦点距離を変えるだけでいい。
カメラコントロールボタンを軽く2回押せば、オーバーレイにその他のオプションが表示される。
シャッターのアイコンで表示されている「カメラ」オプションを選べば、超広角カメラ(0.5倍ズーム)や望遠カメラ(5倍ズーム)などの、焦点距離が異なるカメラを切り替えて使用することができる。
カメラコントロールボタンを軽く2回押したときに表示されるオーバーレイには、露出補正や被写界深度を設定するオプションも存在する。後者はここでは絞り値のことだが(F値を示す「ƒ」のアイコンが表示されていることからも分かる)、iPhoneのすべての物理カメラは絞り値が固定であるため、実際にこの操作で調整されるのは、ポートレートモードでの擬似的な絞り値だ。この際、カメラがシーン中に被写体を検出すると、自動的に被写界深度の情報が保存される。
iPhone 16とiPhone 16 Proでは、「フォトグラフスタイル」が強化されて従来のフィルターに取って代わったのに加え、スタイルの編集も容易になった。フォトグラフスタイルはカメラコントロールからも選択できる。
それにはまず、ボタンを軽く2回押してオーバーレイを表示させ、ドラッグしてフォトグラフスタイルのオプションを選択する。その後、指をスライドさせてリアルタイムで各スタイルのプレビューを確認し、好きなものを選べばいい。
カメラコントロールボタンは動画を撮る際にも活躍する。Appleのイベントで紹介された動画には、カメラコントロールを使って解像度やフレームレート(4K 120fpsなど)の切り替えを行う場面が登場した。
このボタンはサードパーティーの写真・動画撮影アプリでも使用でき、同じ動画の中で、Lux Softwareの動画アプリである「Kino」のグリッドコンポーザー機能を使用している際に、画面上に表示される枠線の種類を切り替える場面が出てくる。
このボタンの用途は写真撮影関連の操作に限定されており、これには写真や動画をキャプチャーするサードパーティーアプリの機能も含まれている。ただしAppleは、「Apple Intelligence」が持っている「ビジュアルインテリジェンス」と呼ばれるカメラを使用した機能でも、このボタンを使用している。
iPhoneをロックした状態からカメラコントロールボタンを長押ししてカメラを起動し、そのモードで写真を撮影すると、Apple Intelligenceがカメラに写ったのものを調べてくれるのだ。Appleが紹介した動画では、男性がレストランの写真を撮ってそのレストランの詳しい情報を調べ、営業時間を確認したり、路上で出会った犬の犬種を調べたりしていた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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