パナソニック ホールディングス(パナソニックHD)は8月30日、自社でのCO2排出量削減や社会におけるCO2削減貢献量の拡大を目指し取り組む事業活動についてまとめた「サステナビリティ データブック 2024」を公開した。公開に合わせ、合同取材に応じ、サステナビリティ経営や環境への取り組みについて話した。
パナソニックHDでは、長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」(PGI)を掲げ、環境問題に取り組んでいる。2022年には環境行動計画「環境行動計画 GREEN IMPACT PLAN(GIP)2024」を策定し、自社バリューチェーンにおけるCO2削減量を1634万トンにすることや、CO2ゼロ工場を2020年度の7工場から37工場まで拡大することなどを発表していた。
パナソニック オペレーショナルエクセレンス 品質・環境本部 環境経営推進部 部長の園田圭一郎氏は「CO2ゼロ工場では、省エネと再エネに積極的に取り組み、2023年度末まで累計44工場まで拡大した。これによりGIP2024の目標を前倒しで達成できている。2027年度には86工場、2030年度には全工場でCO2排出量実質ゼロを達成する計画を立てており、順調に進捗していると考えている。一方、自社バリューチェーンのCO2削減量についてはマイナス1901万トンと、基準年度となる2020年度から排出量が増えている。ここは課題であると認識している」と現状を話した。
順調に拡大するCO2ゼロ工場は、日本国内の13工場を始め、中国、北東アジアで16工場、北米、中南米で8工場とグローバルで取り組む。「特に、中国、日本、北米、欧州で目標を達成している。グループ会社の1つであるパナソニック エナジーの中国工場では、純水素燃料電池システム、インド工場においては太陽光発電システムを導入。さらに日本の二色の浜工場では、屋上に2メガワットの太陽光発電を取り入れたほか、大幅な改修が必要だった変電所部分の工事を、内部での改修にとどめたことで、大幅な工期短縮を実現した。これにより『新エネ大賞』で経済産業大臣賞も受賞している」(園田氏)と成果を挙げる。
「電化」「置き換え」「ソリューション」「その他」と4つに分類する「CO2削減貢献量」では、削減貢献量全体で3697万トンと2022年度(3723万トン)と同水準。化石燃料よりもエネルギー利用効率に優れる電化製品や部品の普及にかかわるものを計上する電化領域が前年度比299万トンのマイナスになったものの、新規対象の事業がカバーしたとのこと。従来と同じ効能をもたらしつつ省エネ性能を向上した製品の省エネ化に値する置き換えでは、新規対象を含む多様な貢献で2022年度の1100万トンと同水準になったという。新規対象としてはサイネージや溶接機などが追加されている。
サーキュラ―エコノミーの取り組みについては、「道路トンネル用換気送風システムのメンテ事業」「洗濯機や冷蔵庫やテレビなどのリファービッシュ」「再生樹脂を使用した掃除機」の3事業が立ち上がり、累計13事業を展開。「サーキュラーエコノミーの取り組みコンセプトは、循環型ものづくりの進化とサーキュラーエコノミー型事業の創出により、資源の有効活用と顧客価値の最大化に取り組んでいる。ここには、冷凍冷蔵ショーケースのサブスク事業や、賃貸住宅向けのサブスク事業の『noiful』、再生樹脂を使用した掃除機などがある」(園田氏)と事業内容を説明した。
さらに、新たな取り組みとなるリファービッシュ事業については「返品されてきた家電をもう一度使える状態に再生して販売する活動にも取り組んでいる。不良箇所に応じて部品を交換したり、製品の安全を検査した上でお客様にお届けするといった循環型のサービスになる」(園田氏)と解説した。
パナソニックグループでは、2030年までに自社の事業に伴うCO2排出量を実質ゼロに、2050年に向けて2020年時点の全世界の排出総量317億トンの約1%にあたる3億トン異常の削減貢献インパクトの創出、またサーキュラーエコノミー実現に向けた事業活動に取り組むとしている。
サステナビリティサイトCNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?