日産自動車と本田技研工業(ホンダ)、三菱自動車の3社は8月1日、日産とホンダが3月に結んだ、自動車の電動化・知能化に向けた戦略的パートナーシップの検討の進捗状況を発表した。
具体的な5つの主要な協業領域や、戦略的パートナーシップに三菱自動車が参画して今後は3社で協議を進めることについての覚書を締結したことなどを明かしている。
日産とホンダは3月、カーボンニュートラルおよび交通事故ゼロ社会に向けた取り組みをさらに加速させるべく、覚書を締結。現場の第一線メンバーを含めたワーキンググループを立ち上げ、車載ソフトウェアプラットフォーム、バッテリーEVに関するコアコンポーネント、商品の相互補完の3つを中心に検討を進めてきた。
日産自動車 代表執行役社長 兼 最高経営責任者を務める内田誠氏は、「文化の違う両社だが、課題認識はむしろ第一線の現場レベルに行くほど同じだった。両社が力を合わせるメリットが想定以上に大きいことが確認できた」と説明する。
具体的な検討の結果として、次世代ソフトウェアデファインドビークル(SDV)プラットフォームに関する基礎的要素技術の共同研究契約を締結。1年をめどに終了することを目指して研究を開始しており、成果に応じたその後の量産開発の可能性を含めて検討を進めているという。
また、戦略的パートナーシップの具現化を加速させるべく、(1)バッテリー領域、(2)e-Axle領域、(3)車両の相互補完、(4)国内のエネルギーサービス、資源循環領域――の4領域を具体的な協業領域と定め、改めて戦略的パートナーシップ深化に関する覚書を締結。検討プロジェクトをスタートさせたという。
バッテリー領域では、EVのキーコンポーネントとなるバッテリーの両社間における仕様の共通化、相互供給など、短期・中長期的な観点での協業範囲を検討。両社のバッテリー技術やアセットを持ち寄れば、個社の投資負担やリスクの分散、ボリュームメリットによるコストダウン効果、高出力型から廉価型まで幅広いバッテリーの選択肢を持つことなどが可能になるという。
今回の発表の段階では、それぞれが供給を計画しているバッテリーを両社の車に搭載できるようにすべく、両社のEV向けバッテリーセル・モジュールの仕様を中長期視野で共通化することに基本合意したとしている。
加えて、ホンダとLGエナジーソリューションとの合弁会社となるL-H Batteryで生産されたEV用リチウムイオンバッテリーを、2028年以降に北米の日産自動車へ供給することを検討するという。
両社の次世代EVに搭載予定のe-Axle領域では、中長期的に仕様の共通化を目指していくことに基本合意。第一ステップとしてe-Axleの基幹領域となるモーター、インバーターを共用していくことに合意したという。
車両の相互補完については、両社がグローバルでそれぞれ販売するモデルにおいて、短期・中長期的な視野で車両の相互補完を検討中。短期的な対応として相互補完の対象とするモデルと地域に基本合意し、両社合同での商品検討体制などのアウトラインに合意したという。相互補完を検討するモデルとしてはガソリン車やEVなどを挙げているが、本田技研工業 取締役 代表執行役社長を務める三部敏宏氏は「細部の詰めが残っている段階で、具体的なモデル名は差し控える」とした。
また、国内のエネルギーサービス、資源循環領域について、協業の可能性を検討していくことに合意。「バッテリーやe-Axleなどの主要コンポーネントの仕様の長期的な共通化を目指すことは、ライフサイクルの視点も前提に検討することで、従来以上の可能性を見いだすことができる。すでに両社ともさまざまなパートナーとの取り組みを展開していることもあり、慎重かつ大胆に検討を進める」(三部氏)と話した。
なお内田氏は、「三菱自動車がこの協業検討の枠組みに入ることで、技術や知識の結集による新たな価値の創出と、三者でのさらなる効率化が期待できる。(2社間の)検討状況をベースに、三菱自動車を含めてさらなるシナジーを獲得すべく検討を深めていく」と話した。
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