全日本空輸(ANA)と豊田自動織機は7月16日、開発中の自動運転トーイングトラクターによる、国内貨物搬送を想定したレベル4での試験運用を、東京国際空港(羽田空港)にて7月1~19日の間、実施していることを公表。2025年中の羽田空港での無人搬送の実用開始を目指すとしている。
トーイングトラクターは、空港などで手荷物や貨物を収容した荷車・コンテナなどを牽引する車両。両社では、自動運転トーイングトラクターにおけるレベル4での実用化に向け、2019年2月から九州佐賀国際空港、中部国際空港、羽田空港において、実際の手荷物や貨物が搭載されたコンテナを搬送する自動運転レベル3での実証実験を重ねてきたという。
今回の試験運用では、多くの航空機や複数種の空港支援車両が混在する国内最大規模の羽田空港において、自動運転トーイングトラクターが貨物コンテナを牽引した状態で、安全かつスムーズにレベル4自動走行が可能かどうかの検証や、駐機場内や貨物上屋前でのオペレーション上の課題の抽出などを行うもの。走行ルートは、国内線第2ターミナルの63・64・65番スポットと東貨物上屋を結ぶ片道約2kmのルートとなっている。
今回使用する自動運転トーイングトラクターは、空港内全域におけるさまざまな環境や条件変化に対応できるよう、自己位置推定や障害物検知システムを高性能化・冗長化しているという。
運用面では、効率的なオペレーションの実現を図るため、車両の運行管理に加え、駐機場や貨物エリアへの車両搬送指示、現場スタッフの作業項目などの情報を一元化する「Fleet Management System(FMS)」を新たに開発。また、より高い安全性が求められるレベル4の自動走行において、異常時にも迅速に対応できるよう車両の周囲の状況を把握する遠隔監視機能を搭載しているという。今回、FMSと車両1台を連携した試験運用を通じて、将来的に多数の自動運転トーイングトラクターを導入することを見据えた、運用面および経済性の観点での課題抽出を進めていくという。
両社では、国土交通省航空局による航空イノベーション推進の一環として、グランドハンドリング業務の人員不足対応や、今後の空港業務の持続的な発展に向けて、2025年中の無人搬送(レベル4)の実現を目指し、自動運転トーイングトラクターの実用化に向けた取り組みを進めていくとしている。
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