パナソニックEW、増益に導いた3つの打ち手--目標達成の裏に「現場力」

 パナソニック エレクトリックワークス(EW)社は、社長の大瀧清氏が合同取材に応じ、中期計画2年間の進捗や事業概要の振り返りなどについて話した。EBITDA、ROIC(投下資本利益率)、累積営業キャッシュフローについては順調に推移し、過去3年間にわたり金額、率ともに毎年改善できたとした。

KGI目標を着実に達成 KGI目標を着実に達成
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  1. 合理化、シェア拡大、高付加価値商品などの打ち手で増益へ
  2. 過去からの強みを持ったDXを推進
  3. エンジニア人材育成の教育機関立ち上げ

合理化、シェア拡大、高付加価値商品などの打ち手で増益へ

 電材事業では、海外電材重点3カ国に位置づけられているインドとトルコで収益が大きく拡大。国内電材においては付加価値商品による単価アップを図ったという。エネルギーソリューションでは、太陽光パネルの原価高騰やウクライナの影響を受け、収益改善は足踏み状態になったとした。

 「人材獲得、競争力強化への投資を継続して実施し、材料高騰の影響も受けたが、合理化、シェア拡大、高付加価値商品などの打ち手で最終的には増益となった。合理化は、購買先の集中契約や生産の正常化、部品の共通化など、ものづくりの見直しに取り組んだ結果が数字に現れた。シェア拡大は、インドでの新工場設立など生産能力を強化し、安定供給できたことで販売が伸長した。国内電材では、開発、製造、販売が連携した調達オペレーションにより、有事でも安定して商品を届けたことが寄与している。また、付加価値の高い製品の増販と価格改定で収益性を向上できた」と分析する。

パナソニック エレクトリックワークス社社長の大瀧清氏 パナソニック エレクトリックワークス社社長の大瀧清氏
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 事業の強みとして挙げるのはサプライチェーンマネジメント(SCM)だ。「社会インフラを支える私たちの事業特性として、建設現場に合わせた多品種、高品質、施工性の高い商材をお客様の望む納期でお届けし、さまざまなステークホルダーのみなさまとエコシステムを構築していくことが非常に重要。国内外の電材業界で利益を上げ続けるには市場ニーズにあった商品開発力とコスト力を磨き上げ、設計者への提案、そしてあまねく商品をお届けするためのSCMのオペレーション力が必要。企業としてこの当たり前を私たちは過去から軸をぶらさず愚直にやり続けてきた。この取り組みの背景には、顧客に寄り添い、課題を解決してきた現場力の強みがあると考えている」と明かす。

過去からの強みを持ったDXを推進

 効率化、高付加価値化を実現する「現場ドリブンDX」も進める。「SCMや営業チャネル、製造力など、過去から磨き上げてきた現場の強みをデジタル化することを起点にしている。世の中の一般的な上流からのDXとは異なり、現場を起点に強いOT(Operational Technology)とITを融合させる、過去からの強みを持ったDXである」と位置づける。

 さらに「営業DX」「ものづくりDX」「SCM-DX」と3つのDXの取り組みも紹介。「営業DXはプロセスの見直しや顧客情報などを共有し、AIなどを活用した業務対応の高度化、蓄積したデータ活用による顧客接点の強化を進めている。ものづくりDXでは、熟練者が持つノウハウの可視化、共有化を進め、効率化や自動化、蓄積したデータの活用により、高品質で生産性の高いスマートファクトリーの実現に取り組んでいる。SCM-DXは有事でも対応できる体制構築を進めてきた」とする。SCM-DXでは、5月に発表した統合SCMシステム「EW-Resi」について触れた。

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 高い成長率となっている海外電材については、インド、トルコ、ベトナムの重点3カ国を中心に各国のGDP成長を上回る売り上げ成長を実現。「今後も高いGDP成長が期待されているので、その需要に応えられるよう、各地域の特性をいかした規模の拡大、成長を加速していく。インドは地政学上、中東や東アフリカに展開しやすい。トルコは欧州のデザイン性をいかした商品開発を進め、欧州だけではなく、北アフリカやCIS地域へも展開していく。ベトナムは周りに新興国が多く、事業拡大を図っている。この方針を堅持していく」とした。

成長ドリアバーのインドは売上1000億円へ
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エンジニア人材育成の教育機関立ち上げ

 強みとするのは、日本で培った生産技術とマーケティング力だ。「日本と現地の強みを掛け算し、しっかりとボリュームゾーンでの収益を盤石化していく。施工向けの高付加価値ゾーンなど、さらなる成長に取り組んでいく」と意気込む。

 強みを突き詰める一方で、組織力の強化にも取り組む。人材・組織強化としてエンジニアリング人材を育成するほか、ソフトウェア人材の採用を強化していく方針。ソフト人材獲得を見据え、10月に東京・田町に技術拠点を新設することも明らかにした。

 パナソニック エレクトリックワークス社では、2024年度に50億円を上回る人的投資を実施。エンジニアリング専門採用体制を整えるほか、グループ独自のエンジニアリング人材育成プログラム「EWテクニカルカレッジ」も始動している。

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