2050年までに世界の水産品需要は2倍に--オイシックス、サステナブル・シーフードの動向発表

 オイシックス・ラ・大地とFuture Food Fundは6月6日、「サステナブル・シーフード最新動向発表会」を開催。北三陸ファクトリー、NTTグリーン&フード、ARK、Forsea Foods、Impact Foodと共に、水産品の環境課題などについて解説した。

 まずは、オイシックス・ラ・大地が運営するCVCであるFuture Food Fundで、ファンドマネージャーを務める村田靖雄氏が、世界の水産資源の状況などについて解説。

 「日本においては、平成に入ってから漁獲量が減少している。イワシやサンマの不漁が原因と言われているが、他にも海水温の変化、漁業に関わる人の高齢化、また資源管理が甘く再生産可能な量以上に捕ってしまっていることなども、要因として挙げられる」とし、世界的には捕る漁業よりも、養殖業が増えつつある現状を語った。

 さらに畜産業に目を向けると、将来的に既存の畜産は減少し、プラントベース食品や培養肉が増えていくと予想。培養肉の生産コストは現在大きく下がっており、シンガポールではすでに販売が開始され、米国でも法整備が終わっているとした。

 続いて、北三陸ファクトリーで代表取締役CEOを務める下苧坪之典氏も、日本の漁業生産量が1984年のピーク時と比較して7割減となっていることを指摘。「世界の水産業は養殖がどんどん伸びている。一方で日本の水産業は、7割が天然漁業、3割が養殖で、かなり偏りがある状況」と述べた。

 北三陸ファクトリーは、ウニの再生養殖を手掛ける。ウニが海藻を食べ尽くしてしまった「磯焼け」が起きている地域から、「やせウニ」を駆除し、ウニ用飼料「はぐくむたね」などを与え、再生養殖を行う。さらにウニの殻を砕いて堆肥ブロック化し、藻場の再生を促すことで、磯焼け地域の再生につなげているという。

 「グローバルな事業展開のために、2023年にオーストラリアに2社の会社を設立し、タスマニア州をウニの陸上養殖の実証実験候補地とした。経済産業省のオーストラリアのスタートアップ代表団にも参加し、海外の成長マーケットにおけるポジションを確立しながら、日本の食卓にも水産品を届けられる環境を作っていきたい」(下苧坪氏)

 NTTグリーン&フードで代表取締役社長を務める久住嘉和氏は、「世界では急激な人口増により、動物性タンパク質の需要が供給を上回ると考えられている。さらに、日本では水産従事者や生産量が激減しており、海洋温暖化や酸性化による生態系への影響など、環境問題も抱えている。当社はその中で、陸上養殖を軸とした地域活性化を目指す」と語る。

 品質改良を行い、CO2を多く吸収する藻類を生産することでサステナブルな陸上養殖システムを構築するほか、将来的には品質改良したヒラメやエビ、さらにアニサキスフリーのサバ、アレルギーフリーのエビなどを生産し、グローバルに事業を展開していくという。

 ARKで代表取締役CEOを務める竹之下航洋氏は、開発拠点である神奈川県平塚市の現状について「海洋温暖化が進み、神奈川県の海に南からやってきた熱帯魚やサンゴが生息している」とし、日本の水産業がさまざまな課題を抱える中、小型かつ分散型の閉鎖循環式陸上養殖システムの開発を進めていると語った。

 「閉鎖循環式陸上養殖システムの『ARK-V1』は小型でどこにでも設置でき、スマホで水質モニタリングや給餌、掃除などの操作ができる。また、リフジウム型養殖装置の『REF-V1』は藻類の陸上養殖を行うことができ、ARK-V1と組み合わせて使うことで魚類が汚した水を藻類によって浄化したり、育った藻類を魚類の飼料にしたりできる」(竹之下氏)

 竹之下氏によると、ARKはこの閉鎖循環式陸上養殖システムを活用し、さまざまな魚種を小ロット多品種で養殖することで、小規模生産者が独自の地魚ブランドを生産するなど「マイクロアクアカルチャー」の事業を推進していきたいとした。

 培養うなぎの開発などを手掛けるForsea Foodsは、イスラエルの細胞水産業のスタートアップ。事業開発マネージャーを務める杉崎麻友氏は、「世界の水産品需要は2050年までに2倍になると予測されている。しかし、持続可能な漁獲制限を守っている事業者はわずか7%にも及ばない。細胞性シーフードは、その解決策の1つになると考えている」と語り、魚本来の味や栄養価を再現できる点、汚染のない環境で生産できる点、安定した品質を保てる点などにおいて、細胞性シーフードが水産物の持続可能な生産方法であると述べた。

ご飯の上に、グリルされた培養うなぎをのせたかば焼き ご飯の上に、グリルされた培養うなぎをのせたかば焼き
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 「一方、細胞性シーフードの課題はコスト面。当社はコスト削減のため、独自の技術で製造プロセスを簡略化することで、自然界と同じような仕組みでシーフードの身を生産できる。中でもうなぎは、完全養殖での商業化が困難な絶滅危惧種でありながらもニーズが高く、市場規模が大きいため、培養技術の開発を進めた」(杉崎氏)

 杉崎氏は、将来的にはうなぎだけでなく、他の水産物の培養技術も開発を進め、企業としてスケールアップしていきたいとコメントした。

 Impact Foodは、代替シーフードを開発する米国のスタートアップ。CEOを務めるKelly Pan氏は、「現在の天然漁業と養殖業だけでは、増え続ける水産品需要に対応できない。当社は従来のシーフードを分析し、魚の独特の食感が筋繊維によって決定されることを発見した。世界で最も多く消費されているマグロをプラントベースで開発し、7月には新製品として、プラントベースのサーモンを発売する予定だ」と述べ、植物性中心の食事にシフトすることは、海洋保護や脱炭素のみならず、サプライチェーンの安全性向上、食品廃棄物の削減、安全な食品の提供にもつなげられると語った。

Impact Food ニュースリリース
Forsea Foods ニュースリリース
ARK ニュースリリース

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