生きる以上、人は多かれ少なかれ、なにかの人間関係に巻き込まれている。にもかかわらず、私たちは人間関係とはどういうものなのか、実際のところよくわかっていない。
本書はタイトルの通り、「人間関係とはどういう関係なのか」という問いに丁寧に向き合ったものだ。著者の平尾昌宏氏はまず、人間のあり方には「個人」「身近な関係」「社会的な関係」の3つがあるとし、社会と身近な人間関係の性質の違いを指摘する。さらに「身近な人間関係」を「タテ/ヨコ」と「共同性/相補性」の2軸で4象限に分類することで、その実像を明らかにしようとしている。この巧みさは、哲学や倫理学をバックボーンとする著者ならではといえる。
「人間関係」のような概念は使いやすいが、それゆえしばしば混乱を生む。「人間関係」という言葉を聞いたとき、誰も彼もが同じものを指すとは限らないし、同じ関係を指していたとしても背景がまるで違うというのは往々にしてある。そういうとき、本書の導きに沿って整理すれば、だいぶ理解がしやすくなるはずだ。
本書はいま人間関係に悩んでいる人の特効薬となる本ではないかもしれない。しかし少し距離をとって人間関係を振り返りたいとき、小粋な補助線を引いてくれる1冊であることは間違いない。
今回ご紹介した「人間関係ってどういう関係?」の要約記事はこちら。この記事は、ビジネスパーソンのスキルや知識アップに役立つ“今読むべき本”を厳選し、要約してアプリやネットで伝える「flier(フライヤー)」からの転載になります。
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