「死んだほうがましだなんて言わないで」
本書の冒頭は航空機内で苦悩に打ちひしがれる年配の男性と、それを慰めようとする妻の会話から始まる。偶然その場に居合わせた著者は思わず聞き耳を立てた。これまでの人生で大して名を上げることなく、自らの生きざまを悔やんでいるのだろう……。だが、その男性の顔を見るなり愕然とする。それは若かりし頃の功績を讃えられ、今なお愛され続ける国民的英雄だったからだ。
著者はこの出来事をきっかけに、「どうしたらキャリアの落ち込みに苦悩せず、優雅に受け入れられるだろうか?」という疑問が頭から離れなくなり、9年に渡って模索してきた。その結果見えてきたのは、仕事で成功した人がほぼ例外なく自身のキャリアの落ち込みに怯え、成功すればするほど人間関係の希薄さに悩むということだ。著者はこれを「ストライバーの呪い」と呼ぶ。
本書はこの呪いを克服し、残りの人生を幸せで意義深いものとするための研究結果を詰め込んだ1冊だ。キャリア中盤に等しく訪れる能力低下に悩む多くのビジネスパーソンにとって、またとない道標となるだろう。「自分の弱さを受け入れる」「落ち込みと、さらには死と、正々堂々と向き合う」「長年顧みなかった人間関係を取り戻す」。どれも一筋縄ではいかない「苦行」だが、これを乗り越えない限り呪いから解放されることはない。
キャリアの狭間に悩む数多のビジネスパーソンに、一読をお勧めしたい。
今回ご紹介した「人生後半の戦略書 ハーバード大教授が教える人生とキャリアを再構築する方法」の要約記事はこちら。この記事は、ビジネスパーソンのスキルや知識アップに役立つ“今読むべき本”を厳選し、要約してアプリやネットで伝える「flier(フライヤー)」からの転載になります。
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