前編に引き続き、Googleの新型スマートフォン「Pixel 8a」のレビュー後編をお届けする。
Pixel 8aのバッテリーは、1回の充電で丸1日以上、余裕で持つ。ある忙しい日の筆者が、自宅を午前8時30分頃に出て、日中をオフィスで過ごしてから、夜は友人とディナーに出かけたときには、深夜0時43分の時点で残量が66%だった。およそ16時間は使い続けた計算だ。
とはいえ、毎度のことだが、バッテリーの持続時間はデバイスの使い方によって異なる。筆者は、画面の輝度を1日ずっと50%以上に設定して、ソーシャルメディアとメールを閲覧する、写真を何枚か撮影する、短時間だけ電話をする、15分ほどモバイルゲームをプレイするといった使い方をした。
米CNETによる45分間のバッテリー耐久テストでも、Pixel 8aは、「Pixel 7a」よりわずかに優秀だった。このテストでは、ソーシャルメディアをスクロールする、「YouTube」の動画をストリーミングする、ビデオ通話をする、ゲームをプレイするといった一般的な使い方をいろいろと続ける。45分経過した時点で、バッテリー残量は100%から95%に下がったが、Pixel 7aの方は同じテスト条件で92%まで下がっていた。
ディスプレイを最大輝度に設定して動画を3時間再生し続けるという、さらに長時間のバッテリーテストでも、Pixel 8aはこの価格帯のスマートフォンとしては満足のいく成績を残した。3時間経った時点でバッテリー残量は83%で、これは2023年モデルの「Galaxy S23」(81%)やPixel 7a(85%)に匹敵する。意外にも、「Pixel 8」はテスト後が79%だったので、それすら若干ながら上回ったことになる。バッテリー容量は、Pixel 8の方が少し大きいにもかかわらずだ。
Pixel 8aは、Pixel 8および「Pixel 8 Pro」と同じ「Tensor G3」プロセッサーを搭載しており、パフォーマンスは今のところ良好のようだ。アプリはすぐに開き、カメラの起動も簡単で、ゲームも問題なく動く。全般的な計算処理性能を測る「Geekbench 6」や、グラフィックスを評価する「3DMark」などのベンチマークテストでは、「Galaxy S24」のようなプレミアムモデルほど強力ではないという結果が出ているが、2023年モデルのPixel 7aよりやはり速い。同じ価格帯のスマートフォンとしても、妥当なラインだと思える。
Pixel 8aと、同じGoogle Pixelの上位モデルで似ているのは、ハードウェアだけではない。ソフトウェア上の機能にも共通点が多い。店やサービスに電話をかけて保留状態になったとき、ユーザーに代わって「Googleアシスタント」が待機する「代わりに待ってて」機能もある。「かこって検索」も共通で、画面上で丸で囲んだりなぞったりしたものをほぼ何でも検索することができる。
かこって検索は1月に発表された「Android」の新機能で、多くの可能性を秘めている。筆者自身は、今もまだ意識して使うような状態で、日常的に使うほど慣れていないのだが、実際の動作には今のところ感心している。人気アニメ「進撃の巨人」に登場するメインキャラクターの画像を囲んで「これに似た番組」を尋ねると、同アニメに関する記事が表示され、その1つは似たようなコンテンツをお勧めする記事だった。Googleは、人工知能(AI)をAndroidスマートフォンにさらに深く統合する予定だ。そのことを「Google I/O」の基調講演でもアピールしていたので、遠からずPixel 8aには新機能が登場するに違いないと筆者は考えている。
共通点として特に重要なのは、GoogleがAndroid OSのアップグレードおよびセキュリティアップデートをPixel 8aについて7年間サポートすることだ。これはPixel 8のサポート期間と同じで、前モデルのPixel 7aで約束された3年間保証と比べると大幅な改善となる。Googleがこうしたポリシーを廉価版モデルにまで拡大しているのは、歓迎すべき傾向だ。
ただし、Pixel 8aがPixel 8の機能をすべて備えているわけではない。例えば、生成AIを利用して壁紙を作成する「AI壁紙」機能は、Pixel 8aでは利用できない。
Googleは毎年、前年度モデルへの批評や短所に対処するように「a」シリーズのスマートフォンを改良している。それ故に、Pixelの標準モデルとaシリーズの差は次第に縮まってきた。今の時点で、その差はかなり小さくなってきたので、Pixel 8にそれだけの価値があるかどうかを、筆者も真剣に問い始めている。
もちろん、Pixel 8にはPixel 8aにない機能や特長もたくさんある。Pixel 8の背面に置いて他のデバイスをワイヤレス充電できる「バッテリーシェア」機能や、やや大型の画面、カメラのマクロフォーカスモード、耐久性能がより優れていることなどだ。しかし総合的に見ると、そういった機能や特長も、ほとんどのユーザーにとっては、Pixel 8の方が魅力的といえるほど重要ではないように感じられる。
Pixel 8aで、Googleはまたしても、500ドル(約7万8000円)の価格帯のスマートフォンに求められるハードルを引き上げた。しかしそれは、Googleが次期フラッグシップモデルに向けていっそう努力しなければならないことを意味する。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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