Appleは5月上旬に開催した「Let Loose.」イベントで、2つの新型「iPad」のモデルを発表した。両モデルとも、サイズは11インチと13インチの2種類で、新しくなったアクセサリー類もあわせて紹介されている。「iPad Pro」では、いずれのサイズも「タンデムOLED」ディスプレイを採用し、ビジュアル重視のアプリケーション用に驚くほど明るくなり、コントラストも向上している。プロセッサーは新しい「M4」を搭載。一方、より手頃な価格の「iPad Air」シリーズも、プロセッサーは「M2」になった。
あわせて発表された「Apple Pencil Pro」は、この新しいiPad ProとiPad Airのどちらにも対応する。
こうして見ると、iPadのラインアップはこれまでより複雑になってきたので、自分に合ったモデルを選択するのは、思ったほど簡単ではないかもしれない。そこで、iPad AirとiPad Proのどちらが自分のニーズや用途、予算に合っているかを判断できるように、それぞれ購入をお勧めする主な理由をまとめてみた。
iPad Pro (2024) | iPad Air (2024) | |
---|---|---|
ディスプレイ | 11インチ/13インチOLED(最大120Hz) | 11インチ/13インチLiquid Retina LCD(最大60Hz) |
重量 | 444g/579g(Wi-Fiモデル) | 462g/614g(Wi-Fiモデル) |
プロセッサー | Apple Silicon M4 | Apple Silicon M2 |
ストレージ | 256GB~2TB | 128GB~1TB |
バッテリー | ウェブ閲覧で最大10時間 | ウェブ閲覧で最大10時間 |
カメラ | 12MP広角(4K、ProRes)、横向き12MP超広角 | 12MP広角(4K)、横向き12MP超広角 |
対応アクセサリー | Magic Keyboard、Apple Pencil Pro/USB-C | Magic Keyboard、Apple Pencil Pro/USB-C |
価格 | 999ドル(16万8800円)から | 599ドル(9万8800円)から |
Appleは30分ほどの基調講演の中で、iPad Proが、タブレットとして自社最高のディスプレイを搭載したことを明確に打ち出していた。それが、「Ultra Retina XDRディスプレイ」と同社が呼んでいるタンデムOLEDパネルだ。Appleによると、ガラスの下に2枚のOLEDパネルを重ねることで、OLED(有機発光ダイオード)技術に伴う最大の弱点、すなわち明るさの不足を克服したのだという。
新しいOLEDディスプレイの採用で輝度、コントラスト、ダイナミックレンジが向上したため、iPad Proはコンテンツの視聴、写真や動画の編集、そして視覚的なディテールが重視されるその他の用途に対する適応性が上がった。
LCDを採用したiPad Airと違って、iPad Proには「Nano-textureガラス」のオプションも用意されており、グレアやその他の光の反射がさらに抑えられる。もちろんそれにはコストが伴い、ちょうど100ドル分(日本では1万6000円分)の上乗せとなるが、明るい環境で使うユーザーや、外で使うことが多いユーザーにとっては、十分それだけの投資に見合うはずだ。
新型iPadを紹介する基調講演の中で特に意外だったのは、Appleの次世代プロセッサーM4の発表だった。先代モデルの「M3」が「MacBook Air」シリーズに搭載されるという発表が、わずか数カ月前にあったばかりだからである。iPad Proの話に限ると、今回の新型プロセッサーは、2022年モデルに採用された「M2」プロセッサーからの大きな飛躍となる。Appleによると、M2搭載のiPad ProよりもCPU性能が1.5倍高速に、プロ向けのレンダリングパフォーマンスが最大4倍高速になっているという。
実際にスペックの向上が特に顕著に感じられるのは、2024年モデルのiPad Proでグラフィックス負荷の高いアプリ、例えば「Final Cut Pro」や「LumaFusion」を使うときだろう。また、M4には専用の「Neural Engine」も組み込まれており、「ライブキャプション」や「画像を調べる」などの機能、あるいは写真や動画の被写体の識別などで、人工知能(AI)と機械学習が強化される。
M4プロセッサーによるパフォーマンス向上を生かせそうだと思ったら、そこまで高性能ではないiPad AirよりiPad Proを選択すべきだろう。そのうえで、iPad Proを最も強力な構成にしたければ、ストレージ容量の選択肢は1TBか2TBにしよう。その場合は自動的に、256GBおよび512GBモデルと比べてRAMが2倍になり(8GBから16GBへ)、CPUコアも1つ増える(9コアから10コアへ)。
2024年モデルのiPad AirとiPad Proにはいくつか違いがあるが、軽さと携帯性については比較検討項目から除外している。代わりに、iPadを購入するときには、iPad Airではエントリーレベルの必須機能を廉価に使えるということを考慮した方がいいだろう。599ドル(9万8800円)、つまりiPad Proのベースモデルより400ドル(日本の場合は7万円)も低価格なiPad Airだが、Apple製タブレットとしての基本機能はすべて網羅している。「Magic Keyboard」と「Apple Pencil」(今回発表されたApple Pencil Proを含む)にも対応しているし、ビデオ通話のときにはiPad Proと同様に、横向きで「FaceTime」を使用しても視線がおかしくならない位置にカメラが設置されている。さらに、仕事のタスクでも遊びの用途でも信頼性が高いM2プロセッサーも搭載している。
2024年モデルのiPad Airでは横向きのステレオスピーカーも改善されており、「空間オーディオ」の再生に対応している。これなら、メディア再生が好きな人や、エンターテインメントファンにとっても、iPad Airは魅力的な選択肢になるだろう。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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