楽天グループは5月14日、2024年度第1四半期(1〜3月)決算を発表した。連結最終損益は423億円の赤字で、前年同期の828億円から赤字幅が大きく縮小した。
赤字幅縮小の要因となったのは、第1四半期として過去最高となった売上高だ。インターネットサービス、フィンテック、モバイルの全セグメントで増収となり、前年同期比で8%増となる5136億円を売り上げた。
さらに、楽天モバイルの赤字縮小が確実に進んだ。モバイル単体の売り上げは前年同期比で7.1%増の620億円。回線契約数が前年同期比で36.3%増の648万件(BCP契約除く)と伸長したことが増収に貢献した。
また、モバイル事業の営業損失は730億円と、前年同期比で259億円縮小。税・減価償却費を除いたEBITDAは260億円の赤字となった。なお、楽天モバイルの契約増によって、楽天市場や楽天カードなど、楽天エコシステム全体の収益が底上げされるといい、その効果を加味すれば「楽天モバイルのEBITDAはすでに黒字化目前」と代表取締役会長兼社長最高執行役員を務める三木谷浩史氏は強調した。
なお、楽天モバイルは今後、契約者数の目標を800〜1000万件に設定。契約者1件あたりの売り上げを示すARPUも現在の2024円から2500〜3000円に伸ばすという。ARPUの向上については、5Gの普及による1人あたりのデータ通信容量の増大を見込むほか、Rakuten Linkアプリでの広告配信などを挙げた。
契約者増やARPU向上によって、2024年中に楽天モバイルの単月でのEBITDA黒字化を目指すほか、2025年には通期でのEBITDA黒字化を目指すという。なお、営業黒字化の時期について三木谷氏は明言しなかった。
EBITDAでの黒字化の見通しが見えたことで、楽天モバイルは「第3フェーズに移行した」(三木谷氏)という。同フェーズでは黒字化と楽天エコシステムとのシナジー増強に加えて、「いよいよ大手3キャリア(NTTドコモ・KDDI・ソフトバンク)の仲間入りにチャレンジする」と三木谷氏は意気込む。
5月から試験電波を発射している700MHz帯、いわゆる「プラチナバンド」は、6月にも商用サービスを開始するという。なお、帯域幅が3MHzと狭いことから「通信容量の拡大ではなく、あくまでカバレッジの拡大目的に利用する」と三木谷氏は述べた。
さらに、2026年内には米AST SpaceMobileの低軌道衛星による「衛星とスマートフォンの直接通信」サービスを提供。山間部や島嶼部を含めた日本全土に楽天モバイルエリアを構築するとした。
かねてより懸念されていた社債償還のリスクについては、米ドルシニア債の発行やユーロ円建私募債の発行などによって、2024年と2025年のリファイナンスリスクは解消したと楽天は説明した。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」