「Xiaomi 14 Ultra」は、小米科技(シャオミ)が発表した最新フラッグシップモデルの「Android」スマートフォンだ。Qualcommの高速チップや美麗なディスプレイなど、トップレベルのテクノロジーを採用しているが、それだけではない。筆者がこれまでスマートフォンで見てきた中でも最高クラスの画質で撮影できる、素晴らしいカメラ機構を搭載している。
大型のイメージセンサーが組み込まれ、広い可変絞りとLeica製レンズを採用していることを考えれば、むしろ当然なのかもしれない。別売りの便利な「Photography Kit」もあり、シャッターボタンの付いたグリップが用意されている。それを装着してコンパクトカメラのように使える点が、筆者は気に入った。
もちろん、「Snapdragon 8 Gen 3」チップ搭載でパフォーマンスも極めて優れており、ディスプレイの美しさ、十分なバッテリー持続時間など、スマートフォンとして見ても申し分ない。価格を考えれば、そのような優れたパフォーマンスを期待するのも当然だろう。Xiaomi 14 Ultra本体のみでも1299ポンド(約25万円)、別売りで179ポンド(約3万4000円)のPhotography Kitを加えると合計1478ポンド(約28万4000円)と、相当の額になる。
サムスンの「Galaxy S24 Ultra」なら、同じ容量の512GBモデルを選んでも1419.99ドル(日本では20万4100円)なので、それと比べもかなり高額だ。大抵の人は、サムスンのスマートフォンで十分だろうし、もっと手頃な「Pixel 8 Pro」という選択肢もある。
だが、写真好きの人で、いつも高性能なカメラを携帯していたい、ただし本格的なカメラまでわざわざ持ち出したくはないという方であれば、Xiaomi 14 Ultraの価格には十分それだけの価値がある。筆者も、「iPhone」や他のAndroidスマートフォンを使ったときより良い写真が撮れたし、グリップを装着して使うと、普通のコンパクトカメラを使うときとほとんど変わらなく感じた。
主役は、メインカメラだ。搭載されているイメージセンサーは、「iPhone 15 Pro Max」(1/1.28インチ)やGalaxy S24 Ultra(1/1.33インチ)など、他のほとんどのスマートフォンと比べても、物理的にかなり大きい(1/0.98インチ)。イメージセンサーが大きいほど取り込める情報量は増えるので、写真は高画質になり、ダイナミックレンジも広くなる。
大型センサーと合わせて採用されたのが可変絞りレンズで、最大f/1.6から最小f/4にまで対応する。シャオミは、伝説的なカメラメーカーのLeicaと提携しており、Xiaomi 14 Ultraのレンズ素子にはそのLeicaの専門知識が投入されている。そうしたすべての効果によって、美しくシャープな画像を撮影できるのだ。
筆者は、ロンドンとエジンバラをまわりながら、さまざまな状況でXiaomi 14 Ultraのカメラを使ってみたが、撮影できた写真には心底驚いている。ほとんどの写真はプロモードを使って撮影した。これなら、RAW画像を残すことができる。RAWとJPEGの両方で撮影するように設定し、Leicaのハイコントラスト白黒フィルターを使って、パンチの効いたモノクロ写真を撮影する。
JPEGとRAWの両方で撮影しておくと、元の白黒JPEG画像を撮影しつつRAWファイルも残せるので、必要なら後からカラー画像を復元できる。RAWファイルにはカラー情報が維持されているからだ。だが、撮影したままのJPEG画像でも十分で、特にハイコントラストのモノクロモードを使ったときの満足度は極めて高かった。個人的に言うと、Xiaomi 14 Ultraのカメラで特に優れているのは、白黒画像だと思う。
DNG RAW形式のファイルは、「Adobe Lightroom」などのアプリを使って細部まで編集することが可能だ。Xiaomi 14 Ultraの画像ファイルは、かなり詳細に編集できることに感心する。ダイナミックレンジが広いので、自由度が高く、ハイライトを落として暗くなった部分の明るさを取り戻すこともできる。普段使っているカメラのときと全く変わらずに画像を編集できるのだ。
下に載せたのは、ローラースケートをしている人を撮影した2枚の画像だ。1枚目は撮影したままで、露出不足になっている。だが、2枚目で分かるように、同じ写真を編集してディテールをかなり復元でき、しかも明るい空の露出もいい感じに維持されている。
次は、屋台に並んでいる人を撮った2種類の写真だ。元の画像は露出過多でハイライトがきつくなってしまったが、こちらも後からの編集で、最終的にはきれいな影が入った見事な写真に仕上がった。
同様の変化が、次の1組の写真でも分かる。元の画像は、修復がきかないくらいハイライトが白飛びしてしまったと思っていた。だが、Xiaomi 14 Ultraのファイルには、望んだとおりの画像を再現できる余地が十分に残っていた。
Xiaomi 14 Ultraをさらに本格カメラに近づけるためにシャオミから販売されているのが、Photography Kitというキットだ。ケース、プロ仕様のフィルターを取り付けるための67mmマウント、コンパクトカメラと同じように手に持つことができるグリップが用意されている。グリップは、上部にシャッターボタンが付いているので、普通のカメラと同じように、半押しでフォーカスを合わせ、押し込んで写真を撮影することができる。また、小型のバッテリーも内蔵されているので、撮影時間を延ばすことができる。
ロンドン市内を動き回っているときは、このキットのカメラグリップを重宝した。これを装着している方が、ずっと自然に撮影できるからだ。スマートフォンでありながらカメラと全く変わらないように見えるうえに、ただスマートフォンを構えて画面をタップするよりも本気で写真に向き合うことができる。写真撮影の実力が目的でXiaomi 14 Ultraを買うのであれば、Photography Kitは必須だ。
3.2倍と5倍の光学ズームレンズも搭載しており、どちらもセンサーは50メガピクセルなので、ディテールたっぷりの素晴らしい写真を撮ることができる。超広角レンズも同じく50メガピクセルで、やはり秀逸だ。
夜間にもXiaomi 14 Ultraは絶大な威力を発揮する。センサーが大きく絞りも広いため、光量が少なくても十分なディテールが保たれるからだ。ただし、ちゃんとした夜間撮影をする場合、マニュアルモードに切り替えて絞りをf/3前後まで落とすのが、筆者の好みである。そうすると、夜景の中の光源に見事な星状の光ができる。これまでのスマートフォンではできなかったワザだ。
夜間撮影のときも、ハイコントラストの白黒撮影は実に優れている。ただし、DNG RAW形式のファイル(夜間撮影でも生成された)をしっかり加工した方が、希望どおりの画像になることも分かった。
Xiaomi 14 Ultraのカメラの実力にはもちろん感服したといっても差し支えないだろう。また、今までに使った中では最高クラスのスマートフォンカメラだと間違いなく言える。
2024年のハイエンドフラッグシップモデルとして望まれる機能は全て満たしている。QualcommのSnapdragon 8 Gen 3プロセッサーのベンチマークスコアは素晴らしく、日常使いのスマートフォンとして実にスムーズに動く。「Android 14」のインターフェースの動作も機敏で、「アスファルト9:Legends」や「原神」といった高負荷のゲームも、最大限の設定で全く問題なくプレイできる。
6.73インチのディスプレイは明るく鮮やかで、極めてシャープだ。Androidソフトウェアは使いやすいが、シャオミ製のアプリも、「AliExpress」のようなサードパーティー製のアプリも含めてプレインストールされているアプリが多すぎ、雑然としているように感じる。
バッテリーの持続時間は、筆者の評価が辛くなってしまう数少ない点の1つだ。誤解しないでほしいのだが、悪くはない。ほとんどのスマートフォンと同じく、1回の充電で、いろいろな使い方をして大体丸1日は持つのだが、ただトップクラスとは言えないということだ。
もう1つ残念なのが、ソフトウェアのサポート期間で、シャオミはAndroidのアップデートに関しては4世代分、セキュリティパッチは5年間のサポートを約束している。これも悪くはないのだが、Googleとサムスンがそれぞれのフラッグシップモデルで提供している7年間と比べると、やはり見劣りしてしまう。
純粋にスマートフォンとして見た場合、Xiaomi 14 UltraはトップクラスのAndroidスマートフォンとして標準的だ。全般的なパフォーマンスは高く、バッテリー持続時間も、最高とはいかないとしても一定以上と言える。良いAndroidスマートフォンが欲しいだけなら、「Pixel 8」シリーズなど他の製品を検討した方がいいだろう。はるかに低い金額で、優れたAndroid体験を満喫できる。
しかし、写真にこだわるのであれば、Xiaomi 14 Ultraはぜひ購入したいAndroidスマートフォンとなる。画像の素晴らしさは別格で、どんなタイプの写真愛好家でも望みどおりの写真を撮れるくらい、創造の範囲が広がる。日帰り旅行のときでも、撮影を兼ねた散歩のときでも、ちゃんとしたカメラを持参することを考えなくて済む。スマートフォンだけで美しい写真を残せる、ようやくそう思えるモデルが登場したのである。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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