スマートフォンネイティブが見ている世界

「YouTube」を天気予報やLINEアプリで見る--利用時間制限をかいくぐる子どもたち

 「制限していたはずなのに、子どもが知らぬ間にネットを長時間見ていた。調べたら、なんと天気予報アプリの利用時間が4時間にもなっていて驚いた。許可していたアプリ経由で『YouTube』を見ていたようだ」とある保護者は驚いた様子だ。「子どものネットを使いたい欲求の強さを甘く見ていた」と苦笑する。

 ペアレンタルコントロール機能を利用すれば、子どものスマホ利用時間を制限することができる。ところが、抜け穴を見つけてこっそり利用している子どもは少なくない。子どもたちの利用実態と理由、対策までを見ていきたい。

  1. 高校生のネット利用は1日6時間14分
  2. 利用時間制限機能は保護者の手に負えない?
  3. 天気予報やLINEアプリからYouTubeを視聴する例も

高校生のネット利用は1日6時間14分

 子どものネット利用時間は、年々長くなっているようだ。こども家庭庁の2024年2月に発表した「令和5年度青少年のインターネット利用環境実態調査」を見てみよう。

 インターネットを利用すると回答した青少年の平均利用時間は、前年度と比べ約16分増加し、約4時間57分になった。高校生は約6時間14分、中学生は約4時間42分、小学生(10歳以上)は約3時間46分となっている。子どもたちはかなりの長時間、ネットを利用しているのだ。

 実際に、青少年の98.7%がインターネットを利用していると回答。インターネットを利用している機器は、「スマートフォン」が74.3%でトップだが、次いで「学校から配布・指定されたパソコンやタブレット等(GIGA端末)」(69.7%)、「ゲーム機」(65.9%)、「テレビ(地上波、BS等は含まない)」(61.1%)、「自宅用のパソコンやタブレット等」(46.1%)、「契約していないスマートフォン」(15.1%)などとなった。

 利用内容の内訳は、「動画を見る」(93.6%)、「ゲームをする」(85.5%)、「音楽を聴く」(75.8%)などの娯楽利用のほか、「検索をする」(83.6%)、「勉強をする」(72.9%)などの学習利用、「投稿やメッセージ交換をする」(71.7%)と、SNSなどのコミュニケーションでの利用も多い。

 GIGAスクール構想により全国の小中学生が端末を貸与され、自由に利用できるようになった。GIGAスクール構想端末の利用が増えたことで、全体として利用が増えたというわけだ。ゲーム機や自宅用のPC、タブレット、契約していないスマートフォンなど、家庭の共用端末のWi-Fiでもインターネットを利用しているのが、子どもたちの利用の特徴だ。

利用時間制限機能は保護者の手に負えない?

 多くの子どもたちがネット利用に夢中になり、夜更かしして睡眠時間が短くなる、学習や外遊びの時間を削ってネットを利用する、といった子どももいる。

 そこで必要なのが、利用時間の長さや終わりの時間などのルールだ。しかし、ネットに夢中になった子どもに自主的に決めた時間でやめさせることはかなり難しく、多くの場合は利用時間制限機能での制限が必要になる。

 利用時間制限は、iPhoneなどのiOS端末ならスクリーンタイム機能、Android端末ならファミリーリンク機能、あんしんフィルターなどのフィルタリングサービスなど、さまざまなサービスでできる。

 ところが、利用時間制限をかけたはずなのに、子どもが自由に長時間使っていたという冒頭のような事例は多数報告されている。このような事態はなぜ起きてしまうのだろうか。

天気予報やLINEアプリからYouTubeを視聴する例も

 ペアレンタルコントロール機能やフィルタリングサービスには、さまざまな抜け穴がある。その多くがネット上で共有されており、アフィリエイト収入のためにYouTubeで公開している例や、「Yahoo!知恵袋」などで質問、回答が行われている例もある。検索能力がある程度あればわかってしまう状態であり、年長者の兄弟から得た情報を友人間で共有している例も少なくない。

 有名な抜け穴のひとつが、アプリ内ブラウザーを使ってネットを利用するというものだ。この抜け穴は、たとえブラウザーの利用時間制限をしていても、制限していないアプリがあれば利用できてしまう。LINEや天気予報アプリなどのさまざまなアプリ内には、アプリ内ブラウザで別のサイトが開けるところがあるが、これを使った方法だ。

 筆者も試してみたところ、LINEのリンクから数タップで「Yahoo!JAPAN」の検索画面にたどり着いた。LINEは連絡用に許可しているというご家庭は多いだろう。LINEだけを許可しているつもりでも、画面をタップしていくことで、YouTubeやSNSなども自由に利用できてしまうというわけだ。LINEを許可している場合は、LINEのアプリ内ブラウザーも許可していることになり、利用を制限することはできない。

 利用時間を守るためにルールを決めて、利用時間制限機能を使うことは大切だ。しかし実際は、述べてきたように抜け穴なども多い。「なぜそうするべきなのか」を子どもと話し合った上で、子ども自身が守るべき理由を理解しておくことが大切だ。利用を見守り、状況に応じて話し合ったり、うまく守れない場合は保護者が端末を預かったりなどの対策も合わせて行うべきだろう。

 インターネットは誘惑が多く、大人でもコントロールがうまくいかない人もいる。まして子どものうちは意思だけでのコントロールは難しい。保護者が手を貸してあげていただけると幸いだ。

高橋暁子

ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。SNS、10代のネット利用、情報モラルリテラシーが専門。スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育に詳しい。執筆・講演・メディア出演・監修などを手掛ける。教育出版中学国語教科書にコラム 掲載中。元小学校教員。

公式サイト:https://www.akiakatsuki.com/

Twitter:@akiakatsuki

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