パナソニック エレクトリックワークス社は3月25日、近隣地域への光漏れやプレイヤー目線でのまぶしさを抑制するグラウンド向けLED投光器「アウルビームER」を発表した。既設の照明から省施工で置き換えができ、電気設備業界の働き手不足の課題解決にもつなげる。発売は4月1日。
アウルビームERは、2020年から展開してきた「アウルビーム」をリニューアルしたもの。光害対策仕様に加え、省エネ性能や省施工を実現していることが特徴だ。
大規模スタジアムから公共グラウンドまで、スポーツ施設はさまざまあるが、いずれも周辺地域への光漏れの影響が課題になっているとのこと。パナソニックの調査によると、スタジアムの近隣住民の約4割が「光漏れが気になる」について「ある」と回答しており、困りごととして「まぶしくて車が運転しづらい」「明るくて虫が寄ってくる」「まぶしくて眠れない」などが挙がっているという。
すでに、遮光フードや遮光ルーバーによる光害、まぶしさ対策も施されているが「フードは風の影響を受けやすく、正面から見るとまぶしさは変わらない。ルーバーは正面からのまぶしさは減るが、出力が下がり明るくしにくなどの問題がある」とパナソニック エレクトリックワークス社 ライティング事業部 エンジニアリングセンター専門市場エンジニアリング部の鈴木達朗氏は現状を説明する。
アウルビームERは、光軸の上方15度の絶対光度を2500カンデラ以下に設定し、周辺住宅や農地への光漏れを抑えることに成功。さらに、レンズAを上向きに、レンズBを下向きに配光した独自の新設計レンズを採用し、緻密な配向制御で漏れ光を大幅に抑制しているという。
プレーヤー向けには光軸から上方8度の輝度を抑制し、まぶしさを抑え、快適な照明環境を作り出しているとのこと。光軸を下方7度から上方10度にに変更し、器具を下方向に向けることで直接みた時の発光面積を低減するとしている。
本体は従来のアウルビームに比べ、本体重量を約35%軽量化した11.9kgを実現。電源ユニットも従来の6.5kgから5.0kgへとコンパクト化している。あわせて、電源ユニットの取り付けサイズが合わない場合、架台に穴あけ加工や金具が必要だった従来製品に比べ、長穴を採用することで、幅広い取り付けサイズに対応。架台への穴あけ加工が不要になるなど、簡単取り付けを実現する。
ナイター設備の取り付け作業は、高さ10メートルを超える高所作業になる。しかし電気設備業界も働き手不足なのは、物流や建設業界と同様。これは2024年度以降の労働規制導入でさらに深刻化が予測されており、省施工であるアウルビームERは、人手不足の課題解決にも結びつける方針だ。
ナイター設備の照明器具は、今までHID(High Intensity Discharged Lamp)と呼ばれる高圧水銀、メタルハライド、高圧ナトリウムランプなどを主に使用してきた。しかし、消費電力量の高さや環境保護の面から、各社が生産を撤退。パナソニックでも2023年9月に受注を終了し、2024年3月に生産を終了することを発表している。
こうした動きを受け、パナソニックでは今後LED照明への切り替えが加速すると予想。投光器全体の売上台数を伸ばしつつ、投光器内でのアウルビームERの割合を3年後に現状の2倍となる30%まで増やす方針だ。
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