日本電信電話(NTT)は3月25日、独自に開発した大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi」の商用提供を企業向けに開始した。代表取締役社長を務める島田明氏は「2027年までに売上1000億円を目指す」と述べた。
tsuzumiは、NTTが2023年11月に発表した国産LLMだ。特徴の1つはモデルを大幅に軽量化した点で、パラメーター数は軽量版で70億と、OpenAIが提供する「GPT-3」の25分の1程度しかない。これによって、1つのGPUで動作し、大規模ハードウェア不要で事務所内でのオンプレミス利用にも対応する。
2つ目の特徴は「世界トップレベルの日本語処理能力」だ。パラメーターを軽量化したにも関わらず、GPT3.5と日本語性能で比較した場合の勝率は8割を超え、英語においても高い処理能力を達成しているという。さらに、マルチモーダルにも対応し、パワーポイントの図表読解や聴覚も備える。
3つ目の特徴は高いカスタマイズ性だ。tsuzumiは企業向けのLLMであり、導入企業がそれぞれカスタマイズして利用することが前提となるが、業界や企業に特化したLLMを低コストで構築できるという。
4つ目の特徴は、クローズドな環境で運用できる点だ。前述の通りオンプレミス環境で動作するため、機密性の高い情報を学習させて、LLMをカスタマイズすることができる。
tsuzumiは2023年秋の発表以降、国内を中心に500以上の企業や団体からの引き合いがあったという。島田氏は「特に製造業や自治体、金融機関など機密性の高い業界からの相談が多い。コールセンターでの活用や議事録自動生成や要約、業務マニュアルからQ&Aを自動生成するなど社内業務改善の例もある」と語り、またNTTデータ側は想定される活用例について「国税」などを挙げた。
NTTは今回の商用サービス開始にあわせて、tsuzumiの導入からカスタマイズ、運用までを一貫してサポートするソリューションサービスを提供する。また、日本だけでなくグローバルにもサービスを展開すると明かした。
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