商工組合中央金庫(商工中金)は3月19日、新規事業創出プログラム「Shokochukin All-Japan Innovation Program 彩(SAI)」のデモデイを開催した。NTT東日本グループをパートナーに迎え、6つのチームから新規事業アイデアが発表された。
商工中金は、2018年に社内のビジネスコンテスト(ビジコン)を開始。すでにサービス事例を生み出しているほか、参加者も一定規模になってきたとのこと。この現状を受け、新たな取り組みとして異業種と共創型オープンイノベーショプログラムをスタート。今回NTT東日本グループと組み、SAIを実施したという。
実施期間は2023年10月から2024年3月までの半年間。商工中金から12名、NTT東日本グループから12名の計24名が参加した。24名を各社2名ずつ計4名のチームを6つつくり、チームごとにアイデア出しから、リサーチ、インタビューなどを経て、3月19日の成果発表までこぎつけたという。
審査員は、商工組合中央金庫 代表取締役社長の関根正裕氏、取締役副社長の中谷肇氏、常務執行役員の山田真也氏、NTT東日本 常務執行役員の遠藤玉樹氏、NTT DXパートナー 代表取締役の長谷部豊氏、日経BP 総合研究所上席研究員の菊池隆浩氏が務めた。
商工組合中央金庫 代表取締役社長の関根正裕氏は「社員が明るく伸び伸びと働ける企業風土にしていきたいと常に考えている。特に意識しているのは若い人のアイデアを取り入れたいということ。ビジネスコンテストも過去3回実施し、ボトムアップ型で新規事業を生み出してきた。今回のSAIが今までと違うのは、NTT東日本グループの方とのコラボということ。新しいものを作り出していくには、同質性の高い組織だけでは限界がある。デジタルやテクノロジー、その先端を走っておられるNTT東日本グループの方とコラボできたことを大変うれしく思うとともに、商工中金のメンバーにとっても大きな刺激になったと思う」と今回の取り組みについて話した。
各チームから発表されたアイデアは以下の6つ(登壇順)。
成果発表会では、チームごとに今ある課題、サービスを考えたきっかけ、サービス内容、市場性、収益性などをプレゼン。それに対し審査員から質問が飛んだ。チームは多様性を重視しながら事務局側が形成。ビジネス基礎理解、アイディエーション、市場・業界/顧客の課題発見と検証、事業アイデアの最終アウトプットなどのプログラムを経ているという。また、新規事業の創出をワークショップやメンタリングを通してサポートするフィラメントが伴走支援として参加している。
特徴的なのは、商工中金の「お客様」となる中小企業へのインタビューを通して、課題をあぶり出し、事業アイデアに結びつけている点。プレゼンの中でも「経営者に話を聞くと」や「インタビュー先から使ってみたいという声が出た」など、ユーザーの声を聞きながら事業化のアイデアを練る。
最優秀賞に選ばれたチーム4のデポ休は、トラックドライバーの休憩場所が少なく、パーキングエリアだけでは足りなくなっているという課題に対し、空いている駐車場の一部を貸し出すというサービス。取締役副社長の中谷肇氏は「商工中金には物流業界のお客様も多く、この問題にはしっかりと向き合わないといけない。本質的な課題解決につながっていないというご意見もあったかと思うが、まずできることとして、取り組んでいきたい」とコメントした。
NTT DXパートナー 代表取締役の長谷部豊氏は「経験上、大手企業2社が組みトップダウンで新しいことに取り組むと、うまくいった感じがしなかった。しかし、今日みなさんの発表を聞いて、今まで経験してきたようなネガティブな感じが一切なかった。商工中金の方は顧客と常に向き合い、それがアイデアの出発点になっている。そこが一番よかったと思う」と今回の取り組みを評した。
今後デポ休は、サービス検証、リリース判断などを経て、サービスの立ち上げへと向かっていくという。
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