名工大発スタートアップ「SAZO」が越境EC体験を変える--ワンクリックで購入へ

 越境ECでの買い物体験をAIを使って簡単にするサービス「SAZO」(サゾ)を展開するSAZOは5月7日、本格展開を開始すると発表した。パートナーズファンド、ゼロイチキャピタル、インキュベートファンド、ステーションAiなどから5000万円の資金調達を実施。マーケティングなどにも力を入れる。

越境ECでの買い物体験をAIを使って簡単にするサービス「SAZO」
越境ECでの買い物体験をAIを使って簡単にするサービス「SAZO」

 SAZOは韓国出身で、現在は日韓共同理工系国費留学生として名古屋工業大学に籍を置くGil Maro(ギル・マロ)氏が立ち上げた。PCの部品などをECで購入する際、送料が高い、在庫があるかどうかわからない、すぐに届かないなどの部分に課題感を持ったことがサービス立ち上げのきっかけ。一方で、韓国にいた時にEC事業者としての立場も経験したことのあるギル氏は、売れるかどうかわからない商品の在庫を抱えるなど販売者としての課題も感じたという。

 SAZOは、海外のECサイトで買い物をしたい時に、日本のECサイトで買い物しているような手軽さを実現するほか、関税や送料を自動計算してくれるサービス。購入代行サービスなどを利用すると2日程度かかっていた時間を約1秒に短縮できることが特徴だ。

 サービスの裏側には「SAZO AI」という独自のAIを使用。世界のECサイトのソースコードを学習し、ECに特化したDOM LLMを開発することで、ECサイトの構造に関係なく、すべてのECサイトから情報を取得できるという。

 「海外の商品を購入したい時に現在よく使われているのは購入代行サービス。現地にいる人がニーズにあわせて買い付けをし、購入できたものが送られてくる。これまではアナログなコミュニケーションの中で成り立っていたが、ここにテクノロジーを使うことで、購入代行ではなく、日本のECサイトで買い物をしているような手軽な体験を提供できる」とギル氏はSAZOのポイントを説明する。

 当初は韓国のECサイトから始めて、対応する地域を広げていく計画。「韓国にあるものはなんでもすぐに買えるという感覚でユーザーには使ってほしい」(ギル氏)と新たな購入体験を打ち出す。

 2023年10月には、ソフトバンクの子会社で愛知県スタートアップ支援拠点「STATION Ai」の運営事業を担うSTATION Aiが実施した「Aichi-Startup ビジネスプランコンテスト 2023」で、奨励賞を受賞。「起業に対しての知識があまりない状態スタートしたが、コンテストに出場する時のメンタリングなどを経て、足りない部分の知識を補ったり、サービス自体をブラッシュアップしていった」(ギル氏)と着実に成長を続ける。

 社名でもあるSAZOは、「買ってちょうだい」という韓国語を発音しやすく改良したもの。「海外にあるほしいものをすぐに買えるような仕組みを提供していきたい」(ギル氏)とした。

SAZO CEOのGil Maro氏 SAZO CEOのGil Maro氏
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SAZO

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