アップルのDarwinAI買収はAIを強化した「iPhone」の登場を示唆するのか

Maria Diaz (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部2024年03月18日 11時26分

 Appleがまたしても人工知能(AI)関連の新興企業を買収したことは、AIに対する同社の2024年の計画について洞察を与える動きだ。同社が買収したDarwinAIは、視覚的品質検査サービスを提供するカナダの新興企業で、AIシステムを小型化し効率化する技術を開発している。

丸い球のような物をつかもうとする様子
提供:Thomas Trutschel/Contributor/Getty Images

 Appleの最高経営責任者(CEO)であるTim Cook氏は、2024年内にAIに関する取り組みの進捗について詳しく公表することを約束しており、より小さなデバイス上で効率的に実行するAIシステムを開発する企業を買収したことは、AIモデルをオンデバイスで実行するというAppleの計画の強化につながる可能性がある。

 AIアルゴリズムをオンデバイスで実行するということは、ユーザーの情報がクラウドサーバーに送信されることなくデバイス上に保持されることになるため、プライバシーを重視するAppleの方針に合致している。この方法は、ユーザーのプライバシーを強化するだけでなく、遅延の低下と、インターネット接続なしでAIツールを実行する能力にもつながる。

 「Siri」は既に「iPhone」上で動作するため、AppleにとってオンデバイスAIは、新しい概念の導入というわけではない。しかし、生成AIツールの開発と提供に関して、Appleは他社に後れをとる状態にある。生成AIツールには、大規模言語モデル(LLM)と、それらのモデルに基づくコンテンツを生成できるシステムが必要だ。

 効率的に動作する、より小さなトレーニング済みのモデルは、AIをオンデバイスで実行するのに最適だ。これには、性能を損なうことなくAIモデルのサイズと複雑性を抑えるための最適化が必要になる可能性がある。GPUや特殊チップ(Appleの「Neural Engine」など)も、AIの計算を高速化するための手段だ。

 DarwinAIについてわれわれが知っているわずかな情報から想像する限りでは、オンデバイス実行のためのこの最適化というのが、Appleが買収に当たって着目した部分の1つだったとみられる。

 Bloombergは、両社が買収を正式に発表していないことを理由に匿名を希望した情報筋らの話として、Appleが2024年に入ってDarwinAIを買収した後、数十人のDarwinAIの従業員がAppleのAI部門に移籍したと報じている。

 DarwinAIの共同創設者の1人であるAlexander Wong博士は、1月からAppleのMachine Learning Research担当ディレクターを務めている。これは、買収が行われた時期を表している可能性がある。

 Appleは、新興企業の技術的進歩、研究成果、人材を自社の業務に取り込むことを目的に、ますます多くの新興企業を買収している。Stocklyticsの調査によると、Appleによる2023年のAI新興企業の買収件数は、大手IT企業の中でも最多で32件だった。これに続いてGoogleが21社、Metaが18社、Microsoftが17社だったという。

 Appleは、AI競争でかなり後れをとっており、自社の計画に関してかなりの秘密主義であるため、AI新興企業を新たに買収したり、断片的な憶測が流れたりするたびに、われわれは大きく反応してしまうことになる。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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