ライドシェア事業への参入を目指すnewmoは3月7日、同社初の事業戦略発表会を開催した。事業の第一弾として大阪のタクシー会社に資本参加し、2024年秋より大阪でサービスを開始。2026年3月末までの全国展開も目指す。
タクシーをめぐっては、運転手の高齢化やインバウンドの増加などでドライバー不足が深刻化している。これを受けて政府は、タクシー会社管理のもと一般ドライバーが自家用車で旅客を運ぶことを認める「日本版ライドシェア」を4月に解禁する。
こうしたライドシェアに新規参入するのがnewmoだ。といっても日本型ライドシェアの提供はタクシー事業者に限定されるため、タクシー事業者への資本参加と提携を通じて事業を拡大する。
newmoから資本参加を受けたタクシー事業者は、newmoに車両やドライバー、運行管理ノウハウ、営業権などを提供する。一方のnewmoは運行管理DX、ライドシェア導入技術支援、ドライバー採用支援などを提供し「newmoタクシー」を展開する。
このnewmoタクシーでは、通常のタクシーと、一般ドライバーによるライドシェアサービスの両方を展開する。ライドシェアでは「ドライバーが営業所に出向いて点呼してから業務開始」といったことを省くほか、需要に応じた報酬(ダイナミックプライシング)の設定で、ドライバーへの高い報酬還元をめざす。さらに、カスタマーハラスメントを防止するSOS機能で、女性も安心して働けるようにする。なお、採用時には犯罪歴や違反歴などを高度にチェックするほか、安全講習も実施する。
ユーザー目線では、今後「newmoアプリ」の提供を目指す。タクシー・ライドシェアの双方を選択できるほか、ドライバープロフィールの事前確認や、女性ドライバー、大型荷物への対応や車椅子、ベビーカー対応など、シーンに応じた多様な選択肢を用意する。
なお、newmoのドライバーは、newmoアプリ以外の配車アプリからの配車も受けられる。運行管理システムはタクシーとライドシェアで統一し、効率化とコスト削減を図る。このノウハウはITプラットフォーム出身者の多い自社のノウハウを活用する。
第一弾として、大阪府でタクシー事業を提供する岸和田交通グループの岸交に資本参加する。共同経営を通じ、2024年秋に大阪市域交通圏でタクシーとライドシェアサービスを提供する。また、この取り組みを「OSAKAモデル」として全国に横展開し、全国のタクシー会社との提携を通じて、2026年3月末までの全国展開を目指す。
newmoは、メルカリで日本事業を統括した青柳直樹氏が代表取締役CEOを務める新会社だ。その布陣の豪華さがスタートアップ界隈では話題となっており、元Wolt Japan代表で元Uber Eatsオペレーション責任者の野地春菜氏、元カンカク代表の松本龍祐氏、Qiita創業者の海野弘成氏、ココナラ創業者の新明智氏も参加する。
なお、青柳氏によると、ライドシェアでの起業は7年越しのチャレンジだという。米国でライドシェアの立ち上がりを肌で感じ、7年前に日本でも起業しようと普通二種免許まで取得したものの、当時はライドシェア導入の機運が高まっておらず断念したという。newmoのサービス展開にあたっては「ドライバー不足の解消」を第一に掲げ、ドライバーへの還元を重視していくとも述べた。
事業戦略説明会には衆議院議員の鈴木英敬氏も登壇。「選択肢のない社会より、選択肢のある社会の方が良い」と述べ、タクシーにもライドシェアにも挑戦するnewmoの取り組みを評価した。
同じく登壇した大阪府知事の吉村洋文氏は「日本版ライドシェアはタクシーの規制緩和に過ぎない。ちゃんとしたライドシェアを大阪で実現していきたい」と述べた。
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