日産自動車は1月31日、赤ちゃん本舗と協業し、運転中の子守り支援ロボット「INTELLIGENT PUPPET イルヨ」のコンセプトモデルを開発したと発表した。
ドライバーと小さな子どもという2人きりのドライブ中でも、安心安全な運転に貢献することを目指す。
イルヨは、後部座席のチャイルドシート横に設置するロボット「イルヨ」と、運転席横のドリンクホルダーに設置するロボット「ベビー イルヨ」の2体で構成する。
ドライバーが自身の近くにあるベビー イルヨに特定の言葉を投げかけると、後部座席のイルヨが作動。手を振る動作や、「いないいない、ばぁ」などの動きでチャイルドシートに座る赤ちゃんをあやす。
また、イルヨのカメラが赤ちゃんの表情を認識してベビー イルヨに伝達。ベビー イルヨの目の開閉は赤ちゃんの就寝と連動し、実際に赤ちゃんを見なくても寝たことを把握できる仕組みだ。
日産 & アカチャンホンポ INTELLIGENT PUPPET イルヨ
日産と赤ちゃん本舗は2023年12月、20~44歳で子どもの月齢が生後0カ月~1歳6カ月の「アカチャンホンポ」アプリ会員を対象に、「赤ちゃんとのドライブ」に関する共同調査を実施。1113件の回答のうち、6割以上がドライバーと子どものみでのドライブを週に1~2日以上経験していることがわかったという。
また、ドライバーと子どものみでのドライブ中の悩みとして、8割以上が「赤ちゃんが泣いた時にあやせない」と回答している。
日産と赤ちゃん本舗は、生後15カ月未満の赤ちゃんを乗せる場合、後部座席に設置したチャイルドシートを安全のために後ろ向きにするため、お互いが見えなくなる「チャイルドシートの壁」が生まれていると指摘する。
日産自動車 常務執行役員 神田昌明氏は、「これまで数カ月未満と指定されていた後ろ向きチャイルドシートの使用は、2023年9月の法改正で変わった。赤ちゃんの安全を守るための重要な改正だが、親子2人きりのドライブでは、後ろ向きで座っている赤ちゃんの様子は運転席から見れず、離れているためあやすこともできない」と話す。
実際に共同調査でも、9割以上のドライバーが「後ろ向きベビーシートにより、赤ちゃんの様子がわからず不安」と回答したという。
イルヨは、安全に車を運転するために搭載する日産のセンシング技術などのさまざまな気づきから着想を得て開発したという。
北里大学と協力した実証実験では、親子11組が停車中の車両にそれぞれ座り、運転中の環境を擬似的に再現。イルヨの有無やイルヨの動作の有無によって赤ちゃんの注視状況や表情、行動の変化を計測し、表情などの変化を分析して効果的にあやすことができるかなどを試験している。
実験の結果、イルヨが設置されている場合、9割の赤ちゃんがイルヨを注視。身体を起こして手を伸ばす、動作に合わせて腕を動かすなどの反応を見せるなど、赤ちゃんの関心を惹きつける機能は十分にあるとしている。
また、表情の分析により、チャイルドシートという環境下でありながらも、イルヨが作動することで半数以上の赤ちゃんの感情がポジティブな方向に向かうことがをわかったとiu 。
発表の同日、宣伝部長に就任した南海キャンディーズの山里亮太氏は、自身の子育て体験を振り返りつつ、イルヨのデモンストレーションなどを担当。赤ちゃんの就寝に合わせて目をつぶる機能については、「静かだから寝たかと勝手に思っていたら実は起きていて、口の中に何かを入れてしまっているとか(があったりする)。運転中も安心できる、かなりいい機能」と絶賛した。
コンセプトモデルとなるイルヨは、2月3、4日に「日産グローバル本社ギャラリー」で、2月10、11日に「アカチャンホンポ ららぽーと横浜店」で、特別体験会を開催する。詳細な発売価格、時期などは未定としている。
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