ソフトバンク×トヨタテクニカルディベロップメント、畜産DXの技術検証

 ソフトバンクとトヨタテクニカルディベロップメントは1月31日、畜産DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する共同開発契約を締結し、牛の給餌量と出荷時期の最適化を図る技術検証を開始したと発表した。

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 世界の人口急増により、畜産物や穀物の需要増加が予測される中、日本のカロリーベースの食料自給率は38%と先進国の中でも最低水準であり、食料安全保障の懸念が高まっている。

 中でも、畜産農家は経営コストの半数以上を占める飼料の多くを輸入に依存しているため、長引く価格高騰で経営状況が厳しくなっている。また、環境に配慮した持続可能な食料システム確立のため、畜産業においても温室効果ガスの低減の取り組みが求められている。

 畜産肥育現場の生産者への調査では、「給餌は人手作業であり、摂食量を定量的に把握できていない」「成長に合わせた餌の与え方は給餌者の経験による部分が多く、標準化できていない」「牛の成育状態をメジャーや体重計で測ることは困難で、頻繁に計測できていない」などの声が挙がっているという。

 これらの点から、現状の給餌方法では無駄が発生している可能性があり、出荷タイミングの判断が定量的ではないという課題が判明。

 牛の給餌量と出荷時期の最適化を図る同技術検証を実施し、生産者の課題解決を目指すことになった。同社では、課題を解決することで、畜産の生産性の向上に加え、肥育期間の短縮による温室効果ガスの低減にもつながると考えているという。

 同技術検証は、カメラや環境センサー(温度、湿度、照度)により、肥育牛の摂食の様子や牛の全体像などのデータを取得。

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 AI(人工知能)の活用による牛の個体識別、摂食状況把握、体重推定を行うことで、牛の成長の見える化を図り、牛の畜産農家の生産性向上につながる給餌量と出荷時期の最適化を目指すものとなる。

 なお、同技術検証は、愛媛県デジタル実装加速化プロジェクト「トライアングルエヒメ」および、農林水産省「令和5年度新事業創出・食品産業課題解決調査・実証等事業のうちフードテックビジネス実証事業」の採択案件となる。

 現在、畜産業を展開する愛媛県西予市のゆうぼくと、宮崎県高原町の江田畜産の2拠点で技術検証を実施。トライアングルエヒメの実装として、ゆうぼくは実験環境の提供、データ解析結果に基づく肥育改善および、システム改善を助言していく。

 また、江田畜産も農林水産省のフードテックビジネス実証事業の実装として、実験環境の提供、データ解析結果に基づく肥育改善および、システム改善を助言するという。

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