ソフトバンク傘下のOpenStreetは1月24日、フル電動でペダルを漕がずに座って走行できる「電動サイクル」のシェアリングサービスを開始すると発表した。
1月30日から千葉市とさいたま市にあるシェアサイクルプラットフォーム「HELLO CYCLING」の一部で利用を開始する。利用料金は15分からで、15分ごとに200円、12時間まで最大4000円。
首都圏を中心に2000台前後の投入から始め、提供地域を拡大しながら2024年中に約3000台を投入するという。2輪座り乗りタイプの特定小型原付のシェアリングサービスは、国内で初になるとしている。
なお、電動サイクルは、2023年7月1日に施行された改正道路交通法では「特定小型原動機付自転車」(特定小型原付)に分類される。「千葉市特定小型原動機付自転車シェアサービス実証実験」での採択や、さいたま市と締結している「さいたま市シェア型マルチモビリティ等の実証実験」の協定の中でも取り組みを実施しているという。
OpenStreetは、電動アシスト自転車のシェアリングサービスとなるHELLO CYCLINGを運営している。2016年のサービス開始以降、乗り降りできる「ステーション」の設置数は全国7400カ所となり、累計利用者数は295万人に上る。
鉄道事業者やバス事業者などとの連携に加え、115自治体と連携協定を締結。都心に限らず住宅地や観光地をはじめとした国内のさまざまな人口集積エリアにステーションを設置し、地域の移動課題解決に取り組んでいることも特徴だ。
OpenStreet 代表取締役社長 CEO を務める工藤智彰氏は、「シェアサイクルの利用者も、かなり長い距離を移動している。シェアサイクルの利用時間の分布は、約半分が15分以内、次に30分以内となっているが、残りの25%は1時間以上移動している。短距離だけでなく、ある程度の距離を移動できるマイクロモビリティのニーズを実感している」と話し、シェアサイクルは必ずしも短時間利用に限らないと説明。短時間利用向けのシェアサイクルと、同社が運営する原付・小型EVなどのシェアモビリティサービス「HELLO MOBILITY」との“間を埋めるモビリティ”の必要性を語る。
一方、2022年4月の道路交通法改正案可決により、新車両区分として特定小型原付が誕生。時速20kmを上限とする免許不要のモビリティで、昨今増加している電動キックボードが該当する。“間を埋めるモビリティ”となり得るが、工藤氏は「電動キックボードは利便性が高いが、国内の環境に適用できておらず、課題が相当多い。秩序と利便性のバランスを取り、車両、運用、走行空間といった3つの要素を普及させる必要がある」と、時期尚早と判断したと説明。電動キックボードではなく、電動サイクルという特定小型原付を開発、採用した理由を語る。
今回発表した電動サイクルは、電動マイクロモビリティの開発から販売までをワンストップで手掛けるglafit製の車体となる。マイクロモビリティの多様化と利便性の向上が加速すると考え、特定小型原付の区分に適合した車両の開発を共同で進めていたという。
時速20kmの車道専用モード、時速6kmの歩道可モードがあり、停止時のみ切り替えが可能。いずれのモードもハンドル右手のスロットルを回すだけで走り出す直感的な操作感で、簡単に運転できる。
また、自転車のようにペダルを漕ぐ必要がないため長距離移動でも疲れを感じにくい、14インチの車輪径で(電動キックボードと比較して)転倒しにくい、重心を低く抑えて転倒した際の怪我を軽減する、といった特徴もあるという。
HELLO CYCLINGの電動アシスト自転車と同様、スマートロックを搭載。スマートロックに蓄積した走行データなどを街の課題解決に生かし、より安全・快適なモビリティの走行環境の整備、交通利便性のさらなる向上などを検討するという。得られた知見は自治体や所管警察署、国土交通省などと連携し、より具体的な交通安全施策への活用、安全な走行環境の実現に貢献していくとしている。
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