Sansanは1月25日、インボイス管理サービス「Bill One」において、「インボイス制度対応の実態調査」を実施したと発表した。調査期間は、1月17日・18日。調査対象は、請求書を取り扱う業務を担当するビジネスパーソン1000名(経理部門700名、経理以外の部門300名)。
2023年10月に開始したインボイス制度では、受け取った請求書が「適格請求書」の要件を満たしていない場合、原則仕入税額控除の適用が受けられない。そのため、企業は制度を正しく理解し、対応する必要がある。
制度開始から3カ月が経過し、企業は制度対応にどのように対応しているのか、その実態を明らかにするため、「インボイス制度対応の実態調査」を実施したという。
同調査において、2024年1月時点でのインボイス制度への対応状況をきいたところ、「問題なく対応できている」が66.4%、「課題が発生している」が33.6%という結果となった。制度開始から3カ月が経過したものの、いまだ3分の1以上の担当者が対応に課題を抱えていることになる。
課題が発生していると回答した人に、制度対応に伴う業務増加時間をきくと、経理部門では、ひとりあたり月平均8.5時間となった。また、経理以外の部門では、ひとりあたり月平均9.0時間と、経理部門をやや上回る結果となっている。
制度対応で作業時間が増えた項目を経理担当者(n=224)にきくと、最も多いのが「適格請求書の要件を満たすかどうかの確認」で64.8%、次いで「不備があった場合の修正対応」の63.4%だった。
一方、問題なく対応できていると回答した人(n=357)が、円滑に対応するために取り組んだことを調べると、「従業員へのインボイス制度に関する説明・周知」(36,3%)が最も多く、次いで外部サービスの導入などによる「経理業務のデジタル化」(35.3%)という結果となった。
具体的な取り組みとして、「社内勉強会を開催、Q&Aサイトを設置」(IT・情報通信)や「二重チェックの体制を作り判定の強化を図った」(公共機関・非営利団体)、「社員への周知徹底を行い、間違えているものは申請者自身に修正対応をしてもらう事で意識を高めてもらっている」(製造・メーカー)などが挙がる。
また、「受け取った請求書を自動判定するサービスを導入して確認作業を自動化した」(運輸・物流)など、外部サービスを導入したケースもあった。
なお、各社の取り組みは企業規模によって異なっており、従業員数1,001名以上の企業は「経理業務のデジタル化」。従業員数101名〜1000名の企業は「従業員への説明・周知」。従業員数100名以下は「顧問税理士など外部からのアドバイスをもらう」が最多となっている。
インボイス制度を機に経理業務をデジタル化した企業(n=204)に、デジタル化して最もメリットを感じたことをきくと、「請求書の検索や管理がしやすくなり生産性が向上した」と「紙の用紙代や印刷代などのコストが減った」が共に14.1%で最も多い結果となった。
そのほかにも「郵送や開封などの紙の作業が減り業務効率化につながった」(13.0%)や「人的ミスが減り正確性が向上した」(12.3%)、「テレワークなど働き方が柔軟になった」(12.0)などが挙げられている。
メリットを感じた人では、「受け取った請求書を保存するための製本作業が減った」(IT・情報通信)や「紙が減ったことにより打ち合わせスペースが広くなった」(卸・商社)など、ペーパーレス化により時間やスペースを有効活用できるようになったという声が多数あったという。
ほかにも、「請求書を紛失する心配がない」(旅行・宿泊)や「郵送で届いていた書類がメールで早く届くので、請求処理の締切日まで余裕ができるようになった」(建設・不動産)といったコメントも寄せられたという。
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