「OnePlus 12」には、超高性能のプロセッサーから美しい画面まで、強力なテクノロジーが詰め込まれている。筆者が試した間、バッテリーは長時間持続し、充電も非常に高速だった。OnePlus 12は、フラッグシップスマホという称号にふさわしい性能を提供しようと懸命に努めている。だが、それも当然のことだろう。799.99ドル(約11万8000円、12GBのRAM、256GBのストレージを搭載したモデル)からという価格設定は、2023年の「OnePlus 11」よりも高価だからだ。筆者がレビューしたハイエンドモデル(16GBのRAM、512GBのストレージを搭載)は899.99ドル(約13万3000円)もする。
それでも、米国では、最大のライバルであるGoogleの「Pixel 8 Pro」よりも低価格になっている。8GBのRAM、128GBのストレージを搭載するPixel 8 Proの基本モデルの価格は999ドル(日本では15万9900円)だ。プロセッサーのパフォーマンスなど、いくつかの点で、OnePlus 12はPixel 8 Proよりも高性能である。筆者が試した中では、バッテリー持続時間もPixel 8 Proを上回った。だが、Pixel 8 Proは全体的にOnePlus 12よりも優れたカメラを備えているほか、少なくとも7年間のソフトウェアおよびセキュリティのアップデートが提供される。OnePlus 12は4世代分のソフトウェアアップデートと5年間のセキュリティアップデートしか提供しないので、Pixel 8 Proの方がはるかに優秀だ。
ソフトウェアについても、筆者はPixelの方が好みである。全体的に見ると、両者のどちらかを選ぶのは難しいが、最終的には、スマートフォンに何を求めるかが決め手になる。写真撮影を重視する人には、Pixelをお勧めする。写真よりもモバイルゲームに興味がある人は、OnePlusを選ぶといいだろう。
視覚的には、OnePlus 12のデザインはOnePlus 11とそれほど変わらない。OnePlus 11とほぼ同じ円形のカメラユニットが、丸みを帯びたガラス製の背面に組み込まれており、縁はアルミニウムフレームで覆われている。ただし、12の背面ガラスには、つや消し加工が施されており、今回レビューした緑色のモデルには、波のような模様が入っている。筆者はこちらのデザインの方が好みだ。本体は持ちやすく、頑丈で豪華な感じがする。OnePlus 11の滑りやすく、光沢のある背面よりも高級感があると思う。
音量ボタンが電源ボタンと同じ側面に移動し、片手で使いやすくなったのはうれしい。一方、OnePlusの特徴的なトグルスイッチは左側に配置されるようになった。前面のガラスはCorningの「Gorilla Glass Victus 2」で、背面は強化ガラス「Gorilla Glass 5」で作られている。本体はIP64相当の防水性能を備えており、飲み物をこぼしたり、雨の中で電話に出たりしても、故障しないようになっている。
OnePlus 12の画面は濡れていてもタッチ入力を認識できるように設計されているので、雨天のときの使いやすさが少し改善されているはずだ。筆者が水道水を少し画面にかけてみたところ、乾いているときに比べて精度は著しく低下したものの、使用することはでき、誤入力はほとんどなかった。「iPhone 15 Pro Max」の画面にも同じ量の水をかけてみたところ、ほとんど使いものにならなかった。これに関しては、OnePlusの方が優れている。
OnePlus 12の6.82インチのディスプレイは、動画やモバイルゲームに十分なサイズで、解像度も高いので、すべてのコンテンツが非常に高精細に表示される。色も非常に鮮やかで、「Netflix」のカラフルなコンテンツやネオンカラーの多いモバイルゲームを本来の色味で楽しめる。
1~120Hzの可変リフレッシュレートをサポートしており、ゲームなどの高負荷のタスクで、より高いパフォーマンスを発揮する。OnePlusによると、OnePlus 12のディスプレイはスマートフォン史上最高の輝度を備えており、ピーク輝度はなんと4500ニトであるという。理論的には、サムスンの「Galaxy S24 Ultra」よりも明るく、iPhone 15 Pro Maxの約2倍の明るさということになる。ただし、これらは試験用の環境で測定された数値だ。実際に並べてみると、iPhoneとOnePlus 12の違いはそれほど大きくない。ただし、実際に違いがあることも事実で、OnePlus 12が驚異的な明るさのディスプレイを備えており、屋外での使用に最適であるということに疑いの余地はない。
OnePlus 12は、Qualcommの最新のSnapdragon 8 Gen 3チップと、12GBまたは16GBのRAM(レビュー機は16GBのRAMを搭載)を内蔵している。Qualcommの最先端のチップなので、強力であることは間違いないだろう。だが、OnePlusは、同社独自の「Trinity Engine」がCPUとRAM、ストレージを最適化し、より高速で安定した体験を実現する、とうたっている。
多くの場合、そうしたうたい文句は話半分に聞いた方がいいが、OnePlus 12を実際に使ってみると、動作は極めて高速だ。アクションRPGの「原神」を最高設定でプレイしてみたところ、60fpsでのゲームプレイは信じられないほど滑らかで、遅延やカクつきは一切発生しなかった。バトルロイヤルシューティングゲームの「PUBG Mobile」も極めて滑らかだった。レースゲームの「アスファルト9:Legends」も同様だ。
スマートフォンやマルチタスクの全体的な操作は極めて高速で、実際のところ、それを鈍らせる要素は見つけられなかった。強力なチップとソフトウェアの最適化が相まって効果を発揮していることは明らかだ。OnePlusによれば、さらに大きなメリットは、長期間使用しているうちに大量のアプリやファイルが保存されても、滑らかな動作を維持できることだという。
OnePlus 12は、「Android 14」をベースとしており、その上にOnePlusの「OxygenOS」が搭載されている。筆者はそのインターフェースをとても気に入っている。すっきりしていて、操作しやすいからだ。「Android」の初心者と経験豊富なユーザーの両者を想定して設計されている。
ただし、OnePlus 12に生成AI(人工知能)関連の取り組みが全く見られないのは、気になる。GoogleのPixelシリーズでは、数世代前からAI機能が重要な要素となっており、サムスンの「Galaxy S24」シリーズの発表イベントでも重要な位置を占めていた。OnePlus 12に搭載されているSnapdragon 8 Gen 3チップもAIによる機能を考慮して設計されている。だが、OnePlusはAIについて何も語っておらず、OnePlus 12のソフトウェアに、注目すべき生成AIベースの機能は組み込まれていない。
もう1つ、OnePlusのソフトウェア最適化が施されているのは電力効率だ。それと大容量の5400mAhバッテリー(2700mAhのバッテリー×2)の組み合わせにより、同機は優れたバッテリー持続時間を実現している。Wi-Fiを使って、「YouTube」の動画を最大輝度で1時間再生し続けても、バッテリー残量が100%から減ることはなかった。2時間後も100%と表示されていた。3時間後に、ようやく95%まで減少した。このテスト史上、最高記録の1つだ。
参考までに、「Galaxy S23 Ultra」は最初の1時間で100%から95%まで減少し、3時間後には82%まで低下。同様に、iPhone 15 Pro Maxも3時間の再生後に残量が87%まで減少した。最高設定で高負荷のゲームを1時間プレイした後でも、OnePlus 12のバッテリーは10%しか減らなかった。
簡潔に言うと、筆者はOnePlus 12の消費電力管理に非常に感心した。たとえ酷使したとしても、余裕を持って丸1日使用できるはずだ。夜に充電するのを忘れた場合でも、慎重に使用すれば、おそらく2日目のほとんどを乗り切れるだろう。急ぎの充電が必要になった場合でも、急速充電のおかげで超短時間で完了する。米国では、OnePlus 12は80Wの急速充電に対応しているため、充電切れの状態でも30分強でフル充電できる。
OnePlusのスマホは大抵、プロセッサーのパフォーマンスは優れているが、画像処理能力はそこそこだ。それは、OnePlus 12にもほぼ当てはまる。50メガピクセルのメインカメラ(大型化したイメージセンサーと広角1.6の絞り値を備える)、48メガピクセルの超広角カメラ、そして、64メガピクセルの望遠カメラ(3倍光学ズーム)の3つの背面カメラを搭載している。
日中にメインカメラで撮影した写真は、まずまずの画質だ。露出は全体的に良好で、細部までよく見え、色合いもほぼ正確である。
メインレンズと超広角レンズを切り替えたときの色の変化も少なくなっている。OnePlus 11では、その色合いの違いが問題だと感じていた。
3倍ズームレンズは、十分なディテールを捉えた望遠写真を撮影する。明るい環境で撮影している限り、6倍ズームでも見栄えの良い写真を撮れる。ただし、6倍ズームは3倍レンズで捉えた画像をデジタルトリミングするだけなので、画質は低下する。筆者はPixel 8 ProとiPhone 15 Pro Maxの5倍ズームレンズが大好きなので、OnePlus 12の光学ズーム倍率がそれらに劣るのは残念だ。
夜間の撮影では、パフォーマンスが大幅に低下する。どのレンズで撮影しても、写真が驚くほど暗い。特に、超広角レンズを使うと、極めて暗い写真になる。OnePlus 11で撮影した写真の方が筆者の好みであることも多かった。
光学ズームで撮る写真は一貫していない。まずまずの写真になることもあれば、細部がぼやけて、焦点が合っていないように見えることもあった。
筆者は、夜間のパフォーマンスが低いことに驚いている。レンズの絞り値が広くなり、センサーサイズも大きくなったことで、暗所で取り込める光量は増えたはずだからだ。実際、OnePlus 12のカメラは、暗所でナイトモードを使わなかった場合には高画質な写真を撮影できた。
OnePlus 12には、高い価格に見合う性能が備わっている。極めて高性能で、バッテリー持続時間も素晴らしい。鮮明なディスプレイには、ゲームや動画が生き生きと表示される。スタイリッシュでありながらスマートに見える、洗練されたデザインも備えている。
OnePlus 12は多くの点で真のフラッグシップスマホだが、いくつかの問題点があるため、手放しで賞賛することはできない。その最たるものがカメラで、特に夜間の撮影性能には、がっかりさせられた。モバイルデバイスでの写真撮影を重視している人は、他の機種を検討した方がいいだろう。
一方で、大きな負荷に耐えられるバッテリーを搭載し、ゲームに適した高性能のAndroidスマホを探しているなら、OnePlus 12には検討の価値が十分にある。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」