日本電信電話(NTT)とNTT ドコモは1月15日、生活習慣病である脂質異常症の患者を対象とした治療用アプリに適用する行動変容支援技術の検証と、同アプリの設計を実施し、NTTドコモが試作版アプリを開発したと発表した。
同アプリは、脂質異常症患者の生活習慣改善指導の空白期間を埋めることで、患者の運動や食事に関する生活習慣改善を継続的に支援。コレステロールなど、血液検査値を改善させることを目的として開発するものとなる。
NTTドコモでは、同アプリが脂質異常症患者を対象とした治療用アプリにおいて、国内初となる医療機器承認の取得を目指し研究開発を進めていくという。
脂質異常症は、血液中の脂質(LDL コレステロール、HDL コレステロール、中性脂肪)の値が基準値から外れた状態を指す。診断を受けていない患者を含めると、日本国内で約2,000万人の患者がいるとされ、身近な病気となっている。
また、運動や食事などの生活習慣に起因することが多く、悪化すると脳卒中や心筋梗塞を引き起こすことが知られている。
通常、脂質異常症の治療では、医師から患者への生活習慣の改善指導が行われますが、数カ月に一度の外来受診時だけでは日常的な指導が困難であり、生活習慣改善に向けた支援が十分にできていないという課題がある。
そこでNTTドコモでは、こうした課題を解決するため、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2022年版」などを参照しつつ、千葉大学医学部附属病院 糖尿病・代謝・内分泌内科講師の前澤善朗氏による監修を受け、NTTと共同でアプリの試作版を開発した。
なお、同アプリは、NTTが研究開発を進めている行動変容支援技術として「歩数予測」と「逆算介入」を活用している。
歩数予測は、過去の歩数、当日の天気、利用者の気分やスケジュールに応じて、利用者が歩くことができると思われる歩数を1時間単位で予測・表示する技術。
予測を超えようとする人間の心理に基づき、利用者の歩数を増やすことを支援するための技術となる。逆算介入は、利用者の日常の生活パターンと、生活リズム改善や運動習慣を身に付けるための目標を入力することで、目標から1日ごとのプランを提案する技術となる。
これら技術を活用することで、同アプリは脂質異常症の患者ひとりひとりのライフスタイルに合わせた生活習慣改善を提案。継続的な行動変容の促進を図る。
利用者となる患者は、同アプリから提示される歩数などの目標やプランを達成することで自己効力感を高め、無理なく運動や食事といった生活習慣の改善を図ることができるようになる。同アプリには、ゲーム感覚でアプリ利用を楽しめるような要素(食事クイズ・ランク機能など)を加えることで、利用者が行動変容を継続する仕組みを取り入れた。
なお、NTTドコモは、日本国内の移動体通信事業者に先駆け、第二種医療機器製造販売業の許可を取得。医療機器製造業を登録し、治療用アプリをはじめとした医療機器プログラムの開発に取り組んでいる。
今後、NTTは新たな治療機会を創造するため、医療・ヘルスケア分野の行動変容支援技術の研究開発に引き続き取り組んでいくという。NTTドコモも、医療機関などのパートナーと連携しながらNTTが研究開発する行動変容支援技術などを活用。健康寿命延伸や医療費抑制など、社会課題の解決を目指す。
加えて、NTTドコモでは、認定臨床研究審査委員会による承認が得られ次第、脂質異常症患者を対象とした臨床研究を速やかに開始。同アプリの利用に対する安全性や有効性を検証していくという。
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