総合容器メーカーの東洋製罐グループホールディングスとAI献立・栄養管理アプリを提供するおいしい健康、電機メーカーのシャープの3社は1月11日、調味料の使用量のデータ化が可能な調味料IoTデバイスと専用アプリを組み合わせ、食塩使用量を見える化することで減塩調理を実現する調味料IoTサービス「ソルとも(Saltomo)」を共同で開発したと発表した。
サービスの早期実用化を目指し、実証実験の実施に向けた参画企業の募集を開始している。医療現場のほか、病気療養後や健康管理のために厳格な食事療法が必要な人を対象としたヘルスケア事業者や食品事業者をメインターゲットとしたサービスだ。データを生かしたマーケティング支援なども含めたビジネスモデルを目指している。一般販売は未定。
調味料IoTデバイスは「プッシュタイプ」と「トレイタイプ」があり、ほかスマートフォンアプリで構成される。
プッシュタイプは、食塩などの顆粒調味料を1回につき0.3gを出し、その回数から使用量を自動的に記録する。トレイタイプは、醤油などの市販の液体調味料を設置し、その重量差から使用量を記録するというものだ。
いずれも、塩や醤油など、調味料に応じた塩分量の登録が必要になる。プッシュタイプについては、現在は食塩のみ対応。今後さまざまな調味料に対応するとしている。
調味料IoTデバイスと専用スマートフォンアプリを組み合わせることで、食塩使用量を見える化。調味料IoTデバイスで自動記録された食塩使用量(日付/種類/使用量など)を専用アプリから確認できる。また、食塩使用量のデータに基づき、ユーザーに適した減塩レシピを提案し、減塩に向けた取り組みをサポートできる。
厚生労働省によると、日本人は必要以上の食塩を摂取する傾向にあることが報告されているという。健康維持のための目標量は、男性が7.5g/日未満で女性6.5g/日未満を推奨しているのに対し、平均値は10.1gと大幅に上回っている。食塩の摂りすぎは、生活習慣病などのリスクが高まる恐れも指摘されている。
おいしい健康 代表取締役の野尻哲也氏は、「平均値が高いということは、塩分に気をつけようといっても、普段の当たり前の食事なので、気をつけるというのは難しい。なぜ塩分を減らすのが難しいかといえば、(1)食塩は、見た目でわからない、(2)おいしさが犠牲になる、(3)計量がわずらわしい」と3つの理由を挙げた。
こうした課題に着目したのが今回のプロジェクトだ。東洋製罐グループとおいしい健康は、日本の食卓の「減塩」に向けて2019年より協業を開始。2021年に資本・業務提携契約を締結して、医師や管理栄養士、医療機関、介護施設のスタッフなど、健康に配慮した食の現場の声をよく知るおいしい健康の知見と、容器の素材・成型技術に長けた東洋製罐グループの技術力を活かしたさまざまな取り組みを行ってきたという。
さらに2020年よりシャープも本取り組みに参画し、3社共同で検討を進めた結果、ソルとも(Saltomo)の開発に至ったという。
特に、毎日の食事で、計量スプーンなどを利用しても、調味料の正確な計量や食塩摂取量の計算を行うことは非常にハードルが高く、十分な「減塩」を継続できないことが課題となっている。3社は本サービスを通じ、より簡単な減塩への取り組みをサポートし、多くの方の健康的な食生活の促進を目指すとしている。
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