人工知能(AI)は依然として最も注目を集めているテクノロジーの1つであり、「CES 2024」で主役級の呼び物になっているのも驚くにはあたらない。この1年間、AIは主にチャットボットに搭載されてきたが、現在では、この技術をより革新的な切り口でハードウェアに組み込む方法をさまざまな企業が見つけている。そうしたハードウェアには、近未来的なロボット、ノートPC、これまで実現不可能だった製品など、あらゆるものが含まれる。
2024年のCESでは、AI関連の発表が非常に多いため、単なるAIウォッシング(実際にはAIが使われていなかったり、性能や機能が誇張して宣伝されたりしている)に過ぎないものと、実際に明確なビジョンのあるテクノロジーを見分けるのが難しくなっている。そこで、どういったものが本当に重要なのか分かるように、筆者は有用性や独自性、明確な用途などの要素に基づき、他の展示製品と比べて際立っていたAI搭載製品をまとめてみた。
Motion PillowはAIを使用して、いびきの問題を軽減し、夜間の睡眠の質を高められるように支援する。AIの「Motion System」がユーザーのいびきを検知すると、エアバッグをゆっくりと膨張させてユーザーの頭を持ち上げ、気道を開いて、いびきを軽減する仕組みだ。付属のアプリは、いびきの時間、エアバッグの動作時間、睡眠スコア、睡眠時間などさまざまな睡眠データを追跡するほか、後で再生できるようにいびきを録音する機能も備える。
この技術をさらに発展させるため、同社はMotion Pillowと連携する「Motion Ring」も発表した。Motion Ringは、睡眠状態をリアルタイムで監視して、データをMotion Systemに送信することで、よりシームレスな体験を実現する。「motionsleep」と呼ばれる、Motion RingとMotion Pillowを組み合わせた技術は、スマートホーム部門で「CES 2024 Innovation Award」のBest of Innovationを受賞した。
Motion Pillow単体の価格は699ドル(約10万2000円)だが、CESでの展示期間中は40%オフの420ドル(約6万1000円)で販売されている。
製造元のBaracodaによると、BMindは、メンタルウェルネスをサポートする世界初のAI搭載スマートミラーであるという。生成AIを活用することで、BMindはユーザーの精神状態に基づいて、光療法セッションや誘導瞑想、自己肯定など、個人に合わせたアドバイスを提供し、気分の改善やストレスの管理を支援する。
筆者が体験したデモでは、どんな1日だったかと尋ねられた。その機能を試すために、ひどい1日だと答えると、BMindはすぐに励ましの言葉を発して、照明を落ち着く青色に切り替え、自然の画像を表示して、瞑想セッションを始めることを提案した。
筆者のように犬を飼っている人なら、ペットの生活の質を向上させる方法を常に考えているはずだ。InvoxiaのドッグカラーMinitailzは、犬用のフィットネストラッカーであり、愛犬の求めていることを飼い主がより正確に理解できるよう支援する。
このトラッカーは、愛犬が迷子になってしまわないように犬のGPS位置情報を検出するほか、安静時の心拍数、呼吸、身体活動など、さまざまな健康データも追跡する。Invoxiaによると、Minitailzは心不全の初期兆候を、さまざまな症状が出る前に検知できるという。MinitailzはAI部門で「CES Innovation Award」を受賞した。
興味のある人は、Minitailzを99ドル(約1万4000円)で購入できる。ただし、年間129.95ドル(約1万9000円)のサブスクリプション料金も必要になる。
庭の手入れは手間がかかる。芝生だけでも、刈ったり、肥料を与えたり、水やりをしたりする作業が必要だ。Yarboの多目的庭用ロボットシステムは、除雪機、芝刈り機、散粒器、液体噴霧機など、庭のほぼすべての手入れを実行できる製品群で構成されている。
最も素晴らしい点は、各製品がすべて同じ電源ステーションをベースに機能し、シームレスな体験を提供することだ。このソリューションに含まれる製品の多くはすでにオンラインで販売されており、新しいモデルは予約注文の受付が開始されている。
筆者が最初にWimに興味を引かれたのは、今までこのような装置を見たことがなかったからだ。詳細を知ると、このテクノロジーは見た目と同じくらい革新的であることを実感した。この製品は、ユーザーの歩き方をリアルタイムで分析し、適切な補助を提供することで、安全かつ効率的な方法で歩行と運動を支援することを目的としている。韓国のWIROboticsが開発したWimは、アクセシビリティー&エイジングテクノロジー、ロボティクス分野で「CES Innovation Award」を受賞した。
Wimは、個人に合わせたAI指導機能も備えており、強度とタイミングを調整して、カスタマイズされたプログラムを提供することで、運動体験の質も高められる。AIによる洞察は、歩行動作の改善など、運動以外のコーチングにも活用される。実際に装着してみたところ、装着感が自然で、歩行の妨げにならないことに驚いた。
この製品は2月に販売開始される予定だが、価格についての情報はまだ得られていない。
Holoboxは、これまでほぼSF映画の中にしか存在しなかったホログラムでのコミュニケーションを現実のものにする。電話ボックスのような見た目のこのボックスには、話をしている相手のリアルなホログラムが表示される。ただし、その相手は明るく白い背景の前にいなければならない。相手とは、ほぼ遅延なしでコミュニケーションを取ることができ、自分が白い背景の前にいない場合でも、相手はホログラムではなく通常の「Zoom」通話のように、モニターを通してこちらを見ることができる。
筆者は、CESの会場に設置されたHoloboxを通じて、Holoconnectsの最高経営責任者(CEO)であるAndre Smith氏と話す機会を得た。同氏はアムステルダムにおり、筆者はそこから8000km以上離れたラスベガスにいたが、対面で話しているような感じで、間合いにも不自然なところはなく普通に会話できた。
この技術は複雑に思えるが、接続するだけですぐに使える「プラグアンドプレイ」システムであり、コンセントとインターネットさえあれば動作する。同社のウェブサイトに価格は記載されていないが、興味のある人は価格表を請求できる。
ロボットといえば、私たちが大好きなロボットの1つであるロボット掃除機に言及しないわけにはいかない。ロボット掃除機に対する不満でよくあるのは、どれだけ効率的であっても、生活空間内の特定の角や隅の場所を掃除できない、というものだ。ECOVACSのDEEBOT X2 COMBOはロボット掃除機にスティック型掃除機を付属することで、この問題に対処している。
実際のロボット掃除機の充電ステーションには、スティック掃除機のパーツが格納されている。これを組み立てると、スマートホーム規格「Matter」に対応した、8000Paの吸引力を備えたコードレススティック型掃除機になる。ロボット掃除機がゴミを取りこぼしても、自分でそのゴミを簡単に掃除できるようになる。
この掃除機は3月末から1599ドル(約23万3000円)で発売される予定だ。
AIを搭載したパーソナルアシスタントロボット「Ballie」はコンパニオンロボットにも、エンターテインメントデバイスにも、前面と背面のカメラを使って動き回る番犬にもなる。Ballieは家の中をついて回り、呼ばれると近くに来て、玄関で人を出迎えることもできるほか、照明やサーモスタットなどのスマートデバイスを制御したり、質問に答えたりすることもできる。このロボットはサムスンが2020年に初めて発表したモデルの改良版だ。
特に興味深い機能が内蔵プロジェクターで、サムスンによると「人の姿勢と顔の角度を自動的に検出し、ユーザーにとって最適な投影角度に調整する」初めてのプロジェクターになるという。このプロジェクターはまた、さまざまな投影面に合わせて画面の歪みを自動で補正したのち、「YouTube」などのソースから映像を投影できる。
CESで発表される大多数の製品やサービスと同様、新型Ballieについても、価格と発売時期はまだ明かされていない。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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