Googleの「Pixel Fold」は1799ドル(日本では25万3000円)で、本体を折りたためばスマートフォン、本体を開けばミニタブレットとして使用できる。 1699.99ドル(約24万2000円)の「OnePlus Open」も全く同じ構造だ。どちらの機種も、スマートフォンの技術に関しては、最先端を行っている。価格が極めて高額なのは、そのためだ。
いずれの機種にも、スマートフォンで最高峰のカメラは搭載されていない。そのためのスペースがないからだ。半分に折りたたんで閉じた状態でも本体がかさばらないようにするために、どちらも非常に薄く作られている。つまり、折りたたみ式ではない通常のスマートフォンと比べて、カメラセンサーやレンズを配置するスペースが少ないということだ。したがって、折りたたみスマホに2000ドル(約28万4000円)近くを払っても、手に入るカメラの品質は、700ドル(約9万9000円)の機種に搭載されているものとそれほど変わらない。
少なくとも、2023年より前に登場した折りたたみスマホのカメラはそうだった。しかしPixel FoldとOnePlus Openを見ると、折りたたみスマホのそれが通常のプレミアムスマートフォンのカメラにかなり近づいていることが分かる。
GoogleもOnePlusも、スペースの制限を克服し、素晴らしい高性能のカメラを搭載することに成功した。それでは、この2つの機種のカメラは、どちらが優れているだろうか。それを確かめるために、筆者はPixel FoldとOnePlus Openを使って、サンフランシスコのいろいろな場所でたくさんの写真を撮影した。
Pixel Foldには、本体背面から出っ張ったカメラバーがある。これにより、大型のカメラハードウェアを搭載するスペースを確保しており、画質の向上にもつながっている。カメラバーには、メインの広角カメラ、超広角カメラ、5倍望遠カメラが配置されている。Pixel Foldのカメラとサムスンの「Galaxy Z Fold4」を比較したときは、あらゆる点で、Pixel Foldの写真の方が筆者の好みだった。
OnePlusは、Googleのカメラバーのコンセプトを取り入れ、それを極限まで追求している。OnePlus Openの円形のカメラバンプは、ホッケーのパックを半分に切ってスマートフォンの背面に貼り付けたような感じだ。Pixel Foldのカメラバーよりも大きく出っ張っているので、イメージセンサーとレンズのスペースもより大きくなっている。
Pixel Foldと同様、こちらもメインカメラと超広角カメラ、望遠カメラを備えている。ただし、望遠カメラは3倍光学ズームを採用しており、まもなく発売予定の「OnePlus 12」に搭載される望遠カメラと全く同じである。なお、今回の比較では、本体背面のカメラだけを使って写真を撮影した。
上の写真を見ると分かるように、どちらもかなり高画質の写真を撮影できるが、同じ条件、同じ被写体で撮影した写真をいくつか比較してみよう。まずは、サンフランシスコにあるFour Barrel Coffeeというカフェのカプチーノの写真だ。どちらもよく撮れている。細かいことを言うと、Pixel Foldの方は露出が適正で、ハイライト(明るい部分)が明るすぎるということはない。コントラストも良好で、泡のディテールが際立っている。
OnePlusの方は露出が明るめで、ディテールもよく捉えているが、Pixel Foldの写真ほどシャープではない。カプチーノの泡と木のテーブルの違いに注目してほしい。絞り値はどちらもf/1.7であるにもかかわらず、Pixel Foldのメインカメラの方は、背景にもピントが合っている。
下の写真は、先日、米CNETの同僚たちとハッピーアワーに出掛けたときに撮影したものだ。どちらも、ナイトモードは使用しておらず、出来栄えも素晴らしいとは言えない。個人的にはPixel Foldの写真の方が好みだ。露出もちょうどよく、肌のトーンもOnePlus Openより良好だ。
どちらの写真も、光を多く取り込むために、長めのシャッタースピードで撮影したため、人が動いたり、移動したりしたことによるモーションブラーが発生している。OnePlusの方は暗めだが、背景のシャンデリアなどの明るい部分が白飛びしていない。
次は、中程度の照明環境で撮影した猫の写真だ。それぞれのスマートフォンの望遠カメラを使用して、猫(名前はピーブルズ)の写真を撮影した。写真を見ると分かるように、ピーブルズは大喜びだった。Pixelの画像は5倍光学ズームで、OnePlusの写真は6倍デジタルズームで撮影した(そのため、厳密に言えば、公平な比較ではない)。しかし筆者には、OnePlusの画像の方が良く見える。ホワイトバランスが完璧で、毛のディテールをより正確に捉えている。それに比べて、Pixelの写真はのっぺりとしている。
それぞれの望遠カメラで撮影した写真をもう何枚か掲載する。ここでの比較で重視しているのは、画質ではなく(どちらもよく撮れているが、Pixel Foldの方がダイナミックレンジが優れている)、焦点距離だ。Pixelの5倍光学ズームは、OnePlus Openの3倍光学ズームと同様、素晴らしいズーム倍率である。OnePlusの強みは、望遠カメラに6400万画素のセンサーが搭載されていることだ。つまり、6倍ズームで写真を撮ると、トリミングされたとしても、3200万画素を使用できる。そのため、OnePlus Openの望遠レンズはPixel Foldよりも多用途性に優れていると思う。
とはいえ、Pixel Foldのメインカメラの解像度は4800万画素で、3倍のデジタルズームが可能なので、かなり高画質の1200万画素の写真を撮影できる。
最後に、両機種のナイトモードで撮影した画像を見てほしい。被写体は、11月のAPEC会議の開催中にサンフランシスコ上空を照らしたレーザー光線だ。OnePlusの写真は及第点を与えられるが、全体的に暗く、ディテールもぼやけている。Pixelの方が明るくて、ダイナミックレンジも広く、ディテールも鮮明だ。この2枚は、メインカメラで撮影した。
結論をお伝えする前に、これら2つの機種で筆者が気に入っている機能を1つ紹介しておきたい。それは、OnePlus OpenのX-Panモードだ。この名前は、Hasselbladの「XPan」(日本では富士フイルムの「TX-1」と呼ばれている)というカメラに由来している。このカメラは、35mmフィルムを使って、幅65mmの写真を撮影できる。通常の写真の幅と比べてほぼ2倍のワイド写真だ。
OnePlus Openでは、複数枚の画像を1枚に結合して、デジタル版のX-Pan写真を撮影できる。大した機能でもなく、この機能で撮影した写真をアピールする良い方法としては、フロントカバーのディスプレイに表示させることくらいしかないが、筆者はこの機能が大好きだ。視野の広さに慣れるのに少し時間がかかるものの、本当に映画のような写真を撮ることに成功した。
結局のところ、Pixel FoldとOnePlus Openは、折りたたみスマホの写真撮影機能の限界を押し広げることに成功している。それでも個人的には、Pixel Foldの方が上だと思う。Googleの魔法のようなコンピュテーショナルフォトグラフィーのおかげで、より筆者好みの写真を撮影できるからだ。しかし、筆者はOnePlus Openの大ファンでもある。まるでフィルムカメラで撮影したような美しさを持つ、柔らかい写真を撮ることが可能だ。
どちらの機種も第1世代だが、撮影した写真を見ると、この4年間で折りたたみスマホのカメラ品質がどれほど向上したかがよく分かる。とはいえ、やはり折りたたみ式ではない「Google Pixel 8 Pro」や「OnePlus 11」のカメラの画質にはかなわない。しかし、Pixel FoldとOnePlus Openの両方をテストしてみて、第2世代がどうなるか楽しみになった。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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