日立市と日立製作所は12月21日、デジタルを活用したスマートシティ計画に向けた包括連携協定を締結したと発表した。この協定に基づき、両者はデジタルを活用しながら、グリーン産業都市の構築、デジタル医療と介護の推進、公共交通のスマート化の3つを軸として、共創プロジェクトを推進していくという。
日立製作所で執行役副社長デジタルシステム&サービス統括本部長を務める德永俊昭氏は、「現在、世界中の多くの地域が少子高齢化などの複雑な課題を抱える中で、脱炭素化、デジタル化を進めようとしている。しかし、1つの自治体や企業が単独でこれらの課題を解決することは極めて難しい」と述べた上で、共創プロジェクトの内容について説明した。
1つめの軸であるグリーン産業都市の構築は、日立市が2030年に2013年比でCO2排出量を46%削減し、2050年には日立市全体でCO2排出量を実質ゼロにする目標を達成するというもの。日立市では産業部門のCO2排出量が市全体の約7割を占めており、全国平均の約4割を上回る。徳永氏は、この日立市の特性を踏まえ、脱炭素化を進めていくには地域の企業、大学、金融機関、行政の産学金官連携が必要不可欠であるとした。
脱炭素化に向けた具体的な取り組みの第1弾として、日立市内の中小企業のエネルギー使用量やCO2排出量の見える化などを支援する「中小企業脱炭素経営支援システム」を構築、運用していくという。
2つめの軸であるデジタル医療と介護の推進は、「住めば健康になるまち日立市」を目指し、住民の健康維持と増進のためのデジタル化を進めていくというもの。具体的には、住民がアクセスしやすくなるよう医療のオンライン化を進め、健康、医療、介護に関わるデータを行政、医療機関、介護事業所や家族で共有し、データに基づく適切な医療、介護サービスを提供できるようにする。
3つめの公共交通のスマート化は、AIなどのデジタル技術を用いて、多様なニーズに応えるシームレスな移動体験を実装するというもの。これにより、慢性的な幹線道路の渋滞、高齢者や免許返納者の移動手段の確保などの課題解決を目指すという。
日立市長を務める小川春樹氏は、「日立市は高齢化、人口減少が大きな課題。これに合わせて、脱炭素化やデジタル化も推進していく必要がある。これらの課題に対し、市だけで取り組むのではなく、日立製作所と共同で進められることは非常に心強い」とコメントした。
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