10月にルール変更、体験型が増加--トラストバンク、今後のふるさと納税を予測

 ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を企画・運営するトラストバンクは12月7日、「今後のふるさと納税のトレンド予測」を発表した。

 2023年のふるさとチョイスのデータと、同社が2022年に立ち上げた調査組織「トラストバンク地域創生ラボ」による「ふるさと納税に関する意識調査2023」をもとに分析。右肩上がりで拡大してきたふるさと納税の市場は、2023年度も過去最高の寄付件数、金額になると予測した。

2023年度までの実績 2023年度までの実績
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 また、「第1次産業支援」「20代」「価値重視」の3つがトレンドのキーワードになるとした。

3つのトレンド 3つのトレンド
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  1. キーワード1:第1次産業支援--自然災害・世界情勢リスクにより、農業・漁業への関心向上
  2. キーワード2:20代--「他者を応援する寄付」に積極的、地域支援をけん引する存在に
  3. キーワード3:価値重視--経済性だけではない価値を重視
  4. 体験型が増加--10月のルール変更は「地域に良い影響」

キーワード1:第1次産業支援--自然災害・世界情勢リスクにより、農業・漁業への関心向上

 昨今の寄付者動向から、返礼品選びにはコロナ禍、物価高といった世の中の関心ごとが強く反映される傾向があるという。相次ぐ自然災害や世界情勢リスクに伴い、日本の食を支える農業・漁業への関心も向上。寄付行動に結びついており、2024年以降も続くと予測する。


 2023年の傾向としては、8月下旬から国内の水産業を応援する機運が高まり、魚貝類への寄付が一気に増加。飼料や燃油、肥料の高騰などの影響を受けた農家を支援するガバメントクラウドファンディング(GCF)が開設されると、多くの寄付を集めたという。


処理水放出に関する報道以降、ホタテへ寄付が集中 処理水放出に関する報道以降、ホタテへ寄付が集中
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寄付を集めるGCF 寄付を集めるGCF
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キーワード2:20代--「他者を応援する寄付」に積極的、地域支援をけん引する存在に

 特に20代という世代について、ふるさと納税を地域への応援手段として認知し、寄付することで地域への貢献を感じる傾向があると分析。SNSなどを介した情報に敏感で、社会情勢が寄付行動に強く影響し、他世代に比べて「他者を応援する寄付」に対して積極的としている。







 また、ふるさと納税でしか出会えない希少な特産品、地場での体験に対して他の世代よりも関心が高く、社会情勢や経済状況などの影響が寄付行動に強く出るとし、今後、地域支援の流れをけん引する存在として、ますます存在感が増すという。「地域の若者×自治体」の共創型GCFプロジェクトも多数登場しており、若者のアイデアを基にしたふるさと納税の活用も進んでいるとしている。

若い世代と地域の連携が増えているという 若い世代と地域の連携が増えているという
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キーワード3:価値重視--経済性だけではない価値を重視

 寄付者全体としては、お得感だけでなく品質が高い、地域貢献性が高いといった+アルファの価値を重要視して返礼品を選ぶ傾向があるという。


 2022年は物価高の影響から家計の節約志向が強く反映された一方、ふるさと納税を通じて「地域には高品質な特産品が多い」といった認識が広まりつつあること、SDGsの意識の高まりといったことなどから、毎日・長く使う家具などを返礼品に選ぶ人が増えていると分析。

高品質という観点からの選択者が増加 高品質という観点からの選択者が増加
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 従来の「お礼の品がもらえてお得」「住民税の控除が受けられる」といった経済的なメリットだけではなく、「暮らしに役立つふるさと納税」と「地域を応援するふるさと納税」という2つを意識したより地域貢献性の高い品選び、寄付金の使い道への意識が向上。今後の返礼品選びは、「地域貢献性」「品質」「こだわり」など、金銭面だけでは測れない価値が重視されていくとしている。

体験型が増加--10月のルール変更は「地域に良い影響」

 トラストバンク 代表取締役を務める川村憲一氏は、調査を発表した同日、2023年のほかのトピックスも紹介。コロナ禍以降の行動制限緩和に伴う「観光・体験型」返礼品の人気が、世代を問わずに拡大していると話す。

 「体験型の返礼品は、(コロナ禍に突入した)2020年に減少して以降、徐々に増加。2023年は2019年と比較すると約1.8倍に増えた」(川村氏)。寄付先に実際に足を運ぶことになるため、ふるさと納税以外の地域への経済効果も期待でき、関係・交流人口増につながると語る。また、観光産業に強みがあるなど、特産品が少ない自治体へもチャンスが広がると加えた。

 「観光・体験型」返礼品の人気が増加 「観光・体験型」返礼品の人気が増加
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トラストバンク 代表取締役 川村憲一氏
トラストバンク 代表取締役 川村憲一氏

 10月に施行されたふるさと納税に関するルール変更などに伴う「駆け込み寄付」現象も説明。調査回答者の8割がルール変更を認知し、そのうち6割がルール変更直前に寄付したとこたえたと紹介する。一方で、「駆け込みをした寄付者の中で、上限まで寄付したとこたえた方は約4分の1。余裕がある寄付者も多く、年末に調整のような寄付をする方も多いのでは」(川村氏)と予想した。

発生した「駆け込み寄付」現象 発生した「駆け込み寄付」現象
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 なお、ルールの変更自体は、ポジティブに受け止めているという。「今までよりも、地域に寄付金が残るという良い影響がある。ふるさと納税という制度がより発展するためには一定のルールが必要で、(今回の改正で)より明確になった。ここに合わせてわれわれのサービスもブラッシュアップしていく」(川村氏)と語った。

ルール変更の概要   ルール変更の概要  
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