Meta幹部に聞く、生成AIの広告利用やAIモデルの訓練データ収集

Eileen Yu (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部2023年12月04日 10時09分

 Metaは11月、特定の分野に関する広告を展開している広告主は、同社の「広告マネージャ」ツールでテスト中の生成AIツールを使用できないことを明らかにした。政治、選挙、住宅、雇用、クレジット、社会問題、およびヘルスケア、製薬、金融サービスに関する広告が対象となる。

地球のイメージ
提供:cokada/Getty Images

 このポリシーが世界中で適用されることを、Metaのアジア太平洋担当バイスプレジデントを務めるDan Neary氏が認めた。

 2024年には、インドネシアとインドの総選挙や、米国、フィンランド、パキスタン、台湾の大統領選など、複数の国で選挙が予定されている。

 「Facebook」「Instagram」「WhatsApp」「Threads」などのソーシャルメディアプラットフォームを運営するMetaは、AIを最優先課題として挙げており、それらすべてのプラットフォームに生成AI機能を追加することを計画している。

 広告マネージャは、それらのプラットフォームで広告を展開するための出発点として位置付けられた、広告を作成、管理、追跡するための「オールインワンツール」だ。5月には、広告主向けにMetaの新しい生成AIツールの実験場として機能する「AI Sandbox」が発表され、広告コピーのバリエーション、背景の生成、画像の比率調整などのツールが提供された。例えば、広告コピーのバリエーション機能では、異なるターゲット層に訴求するための広告コピーの複数のバージョンを生成できる。

 同社は、AIチャットボット「Meta AI」も発表している。Meta AIには、AI画像生成ツール「Emu」が含まれている。生成された画像は、WhatsAppやInstagramなど、Metaのチャットプラットフォーム全体で表示して使用できる。

 同社AI製品の普及について聞かれたNeary氏は、広告主の半数以上が同社の「Advantage+」ツールを使って、広告制作の際に画像やテキストを最適化していると述べた。同社の広告ツールは、広告主がAdvantage+の販促キャンペーンで100億ドル(約1兆1000億円)の収益を上げるのに役だったと、同氏は最高経営責任者(CEO)で創業者のMark Zuckerberg氏が最近の決算の際に語った数字を基に語った。また、Advantage+のショッピングキャンペーンを毎週利用する広告主は、6カ月前と比べて3倍に増えたという。

 Neary氏はAIの役割をさらに強調し、FacebookとInstagramのフィード上のコンテンツの20%が現在AIによってレコメンドされているとした。

 1年以上前から、Metaのユーザーがフォローしている人々を中心に構成されたコンテンツではなく、レコメンデーションエンジンによってより関連性の高いコンテンツが表示されるよう、協調的な取り組みがなされてきた。Advantage+などのツールがタスクを自動化することで、AIはマーケティング担当者にとってより良い結果をもたらす力にもなっているとNeary氏は述べた。

 「当社は、すべてのつながりがビジネスチャンスであると信じており、当社のプラットフォーム全体でこのことを実感している」と同氏は言う。毎月約39億6000万人が少なくとも1つのサービスを利用し、31億4000万人が毎日少なくとも1つのサービスを利用している。ユーザーの約40%はアジア太平洋地域に居住しており、特にメッセージングサービスを中心にモバイルでの利用が多いという。

 同社の製品やサービス全体のデータがどのように統合され、生成AIツールの訓練に使用されているのか聞かれたNeary氏は、さまざまなソースが利用されていると答えた。

 「生成AIのモデルを効果的に学習させるには大量のデータを必要とするため、オンラインで公開されている情報、ライセンスデータ、Metaの製品やサービスからの情報など、さまざまなソースを組み合わせて学習に使用する」と同氏は述べた。

 オンラインに公開されている情報の場合、データセットは「一般的に個人情報を共有している特定のウェブサイト」を除外するようにフィルタリングされているという。写真やテキストなど、InstagramやFacebookで公開されている投稿は、2023年に入って発表された機能を実現する生成AIモデルの訓練に使われたデータに含まれている。

 「当社はこれらのモデルの訓練にプライベートな投稿を使用していない。また、友人や家族とのプライベートなメッセージの内容を、当社のAI(ツール)を訓練するために使用することもない」と同氏は述べた。「皆さんがチャットで使うステッカーを検索するなど、AIステッカーを使用したデータを、AIステッカーモデルを改善するために使用することはある」

 AIの安全性と個人データの使用に関する懸念の高まりにMetaがどのように対処しているかについて、Neary氏は、その技術が責任を持って設計され、使われるようにするための、複数の分野にまたがるチームがあるとした。このチームは外部の専門家や規制当局からのフィードバックも集めているという。

 生成AIはまだ開発の初期段階にあるため、Metaは「これを正しく理解する」ために、業界の主要な利害関係者と協力していると同氏は述べた。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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