賞味期限が切迫した食品や季節商品などを買い取り、販売しているクラダシは11月30日、低利用魚のコノシロ、トマト、ベーコン、スパイスなどの「もったいない食材」を活用した3種の冷凍スープの予約販売を開始した。配送は2024年1月下旬から2月上旬より順次開始予定だ。
フードロス削減を拡大するための新しいソリューションを検討するなか、東京都の「フードテックを活用した食品ロス削減推進事業」に採択されたことを受け、今回の冷凍スープを開発したという。
ラインアップは、「スパイス薫るコノシロボールカレー」「昔なつかしベーコントマトスープ」「きのこたっぷり具だくさん酸辣湯(サンラータン)」の3種類がそれぞれ3食入ったセットで、価格は4980円(税込)。
今回のスープは、同社初のプライベートブランド「つくってKuradashi」の第1弾となる。スープに使われるコノシロは、成長するにつれて名が変わる魚の一つで、「シンコ」「コハダ」に続いて成長するとコノシロとなる。シンコは1kgあたり数万円の高値がつくと言われるが、コノシロまで大きくなると小骨が多く食べにくくなることから、1kgあたり50円、100円といった値段しかつかず「出世魚」ならぬ「逆出世魚」と言われる存在だ。このほかにも、成形のために出るベーコンの端材、賞味期限が近い高濃度ミニトマト果汁、スパイスなどを活用し、「もったいないをおいしく食べる」をテーマに、毎日の食卓の一品になる商品を開発した。
クラダシ 取締役執行役員CHRO 事業推進本部MD部事業開発G グループリーダーの徳山耕平氏は、「一般消費者、有識者の意見を聞きながら、どういうものなら喜んでもらえるかを考えスタートした。クラダシのユーザーの7割が女性で、家庭を持つ人が多い。子どもがいる家庭でも喜んでもらえて、(解凍するだけで食べられるので)防災にも一部生かせる食べ応えのあるスープを選んだ」と開発の背景について明かした。
今回の冷凍スープの開発にあたっては、全国に料理教室を展開するABCクッキングスタジオのグループ会社で、レシピ開発のほか食のコンサルティングをおこなうABCスタイルと協業。ABCスタイルが抱える料理人や管理栄養士などがレシピ開発を担当した。
さらに、冷凍加工を含めた製造はTokyo Bento Laboが協力する。Tokyo Bento Laboの代表取締役 関克紀氏は、「フードロス食材ならではの食材の使い方。製造の立場からすると、あり得ないぐらいのベーコンの量を使っていて、通常の3倍ぐらい多く入れている食べ応えのある商品。ただし、フードロス食材なので、つねにその食材がそろっているわけではない。(Tokyo Bento Laboが提供しているフードロス食材の冷凍弁当は)ベースのご飯さえしっかりと美味しければ、上に載るものはご飯に合う味付けであればなんとかなるというように、プラットフォームをどう考えるかという発想でつくっている。同様に、今回はスープというベースができたので、もし今度ソーセージが大量にフードロス食材が出たとしたら、おそらくトマトスープに振ればいけるだろう。この先は、出てきたものにどう打ち返していくかなので、一度作ると次からはラクかもしれない」とコメントした。
なお、今回のスープは限定200食としているが、様子を見て増やすことや、東急田園都市線のたまプラーザと千葉県にある直営ストアでの展開も検討しているという。
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