研究者とそうでない人には距離がある。たとえば歴史の教科書に載っている事実は、多くの人にとってはただの事実でしかない。どこかの誰かの話を聞いたとか、何かの古い本に書いてあったとか、その程度の認識だろう。けれども、実際はある1つの事実を確定するために膨大な量の研究や議論を蓄積しなくてはならない。大学に入った学部生の多くを戸惑わせるのは、こうしたギャップである。
学部生が頭に思い描く研究テーマは、本人にとっては狭く具体的で、発展性のあるものだ。ところが実際はそうじゃない。そうしたテーマの大半はあまりにも広く、そして漠然としている。1から研究プロジェクトを立ち上げるとき、こうしたビジョンのままだと、ほとんどが立ち往生するか、あるいは意義の伝わらない論文を生み出してしまう。
多くの学部生は、研究のやり方を知らない。それはある意味正しい。でも、そもそもその前の段階でつまづいているのが実態だ。世の中には研究のやり方を手引きする書籍はたくさんあるが、研究の前に光をあてたものはなかった。
本書は、そうしたいままで見過ごされていた部分に焦点を当てている。学部生が陥る、「自分は一体何をしたいのか」という悩みへの回答となるような技術が山のように詰まっている。これは何も、大学で研究を続けようとしている人だけの話ではない。問いとリサーチを繰り返し続ける多くの社会人も、似たような課題を抱えているはずだ。本書は、そうしたすべての人たちの興味を引き出し、問いを鍛え、答えを探す旅の良き伴侶となってくれるだろう。
今回ご紹介した「リサーチのはじめかた『きみの問い』を見つけ、育て、伝える方法」の要約記事はこちら。この記事は、ビジネスパーソンのスキルや知識アップに役立つ“今読むべき本”を厳選し、要約してアプリやネットで伝える「flier(フライヤー)」からの転載になります。
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