「AIを搭載した家庭用ロボット」と言われたら、どんなものを思い浮かべるだろうか。一昔前なら古典的なSFに出てくるような人型ロボットが想起されたかもしれないが、今はもう少し現実的なイメージが出てくる人も多いだろう。案内ロボットである「Pepper」や猫型の配膳ロボットのような機体は、実際に社会に溶け込みつつある。家庭用掃除機ロボットなどの家電は、ここでイメージされる家庭用ロボットの代表と言ってよいだろう。
しかし、著者が作り上げた「LOVOT」は、こうしたロボットとは一線を画する。ころんとした愛らしいフォルムで、触ると温かく、愛嬌のある目線と声を送ってくる。LOVOTには他のロボットのような便利さはまったくない。むしろ人に手をかけることを要求し、愛されるためだけにすべてのテクノロジーを注ぎ込んだ、これまでにない新しいロボットだ。
かつてSFではロボットが人間に反逆する筋書きが定番だった。それは20世紀という時代に、テクノロジーによって戦争がその悲惨さを劇的に増したことと無関係ではないだろう。21世紀になった今でも、新しい技術がなんとなく人類を置き去りにしてしまう――あるいは自分が置き去りにされてしまうような感覚を持っている人も決して少なくない。しかし人々に不幸をもたらす「冷たいテクノロジー」のイメージを変える可能性を、著者は「役に立たないロボット」に見出している。人間に寄り添い愛をもたらす「温かいテクノロジー」こそが、技術の最新型のひとつなのだ。
今回ご紹介した「温かいテクノロジー AIの見え方が変わる 人類のこれからが知れる 22世紀への知的冒険」の要約記事はこちら。この記事は、ビジネスパーソンのスキルや知識アップに役立つ“今読むべき本”を厳選し、要約してアプリやネットで伝える「flier(フライヤー)」からの転載になります。
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