シャープ、2022年度下期から利益改善でも黒字化時期が特定できない事業とは

 シャープは、2023年度上期(2023年4~9月)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比7.9%減の1兆1582億円、営業利益は前年同期の10億円の黒字からマイナス58億円の赤字に転落。経常利益は前年同期比67.2%減の30億円、当期純利益は前年同期比47.5%減の49億円となった。

  1. 前年同期の実績には及ばないものの利益は2022年度下期から大きく改善
  2. 国内主要家電、暖冬で冬物動かず
  3. スマホ、PC向け中小型ディスプレイの現状
  4. 通期の業績見通しは据え置き、黒字化目指す
  5. パナソニック、日立GLSがすでに導入、指定価格制度への対応は

前年同期の実績には及ばないものの利益は2022年度下期から大きく改善

 シャープ 代表取締役副社長執行役員の沖津雅浩氏は、「上期は売上高、各利益ともに前年同期の実績には及ばなかったものの、利益は2022年度下期から大きく改善し、経常利益と最終利益は黒字となった」と語った。

シャープ 代表取締役 副社長執行役員の沖津雅浩氏
シャープ 代表取締役 副社長執行役員の沖津雅浩氏

 なお、SDP(堺ディスプレイプロダクト)関連では、上期にマイナス215億円の営業利益影響があったという。また、第2四半期(2023年7~9月)の売上高は前年同期比11.3%減の6170億円と減益だが、営業利益は前年同期のマイナス50億円の赤字から11億円の黒字に転換。経常利益はマイナス82億円の赤字から35億円に黒字化。当期純利益は前年同期のマイナス174億円の赤字から改善したものの、5億円の赤字となった。

 「第2四半期実績は、SDPや、課題事業であった通信事業、PC事業での構造改革が進展し、利益が大幅に改善したことから増益になっている。営業利益と経常利益は2022年度第1四半期以来、5四半期ぶりに黒字化した。ほぼ想定通りに動いている」と総括した。

 2023年度上期のセグメント別業績では、ブランド事業の売上高が前年同期比8.1%減の6409億円、営業利益は73.1%増の272億円となった。

上期セグメント別売上高
上期セグメント別売上高
上期セグメント別営業利益
上期セグメント別営業利益

 そのうち、スマートライフ&エナジーは売上高が前年同期比11.5%減の2233億円、営業利益は18.0%減の142億円。「第2四半期は国内白物家電の売上げが前年同期を大幅に下回った。個人消費が旅行、外食などにシフトし、家電の需要が低迷したこと、前年同期には、エアコンや洗濯機の需要が集中し、その反動があったことが原因である。海外白物家電は米国において調理家電の市況が悪化したものの、インドネシアの新工場の立ち上げ効果により、ASEANでのエアコンビジネスが大きく伸長した」という。

スマートライフ&エナジー
スマートライフ&エナジー

国内主要家電、暖冬で冬物動かず

 会見のなかでは、国内における主要家電製品の状況についても説明した。沖津副社長は、「国内家電市場全体は、美容家電以外は前年実績を割っている状況にある。さらに、2023年は暖冬であるとの予測も出ており、冬物が動いていないというのが現状だ。だが、需要はそれなりにあり、コロナ以降はいいものを買うという傾向が続いているため、台数が減っても、金額の落ち込みは少ないと考えている」とした。

 また、冷蔵庫については「大型化の動きが活発であり、ここ数年は冷凍室が大きい冷蔵庫に需要が移ってきている。同じ大きさで付加価値が高い製品よりも、容量が大きいものに移行している。シャープは、いままで小型冷蔵庫に力を入れてきたが、開発やプロモーションを大型冷蔵庫に集中している」と説明。洗濯機では、「コロナ禍以降、ドラム式洗濯乾燥機が大きく伸びている。機能の高付加価値化に動いている。開発リソースは、ドラム式洗濯乾燥機に集中し、縦型洗濯機についてはEMSやODMを活用している」と述べた。

 また、エアコンについては、「2023年は猛暑であったが、6月までに、販売店に相当の台数を納入していたこともあり、販売店からお客様への販売台数は大きかったが、メーカーから販売店への出荷台数は前年同期を割り込んだ。電気代の高騰により、省エネに対するニーズへのシフトしている状況にある」と語った。

 テレビに関しては、「国内市場は、上期は前年同期比1割減の水準で動いており、下期も特需があるわけではない。下期は10%減から5%減で推移すると見ている。だが、シャープでは商品ラインアップを強化し、この3カ月間は前年実績を上回っている。高付加価値の商品を対象に重点的に販促を行い、好調を維持したい」と語った。

 その上で、「国内の主要白物家電市場には、中国メーカーなどが参入してきているが、低価格商品のところでの競争を避け、付加価値商品を中心とし、パナソニックや日立と同等の価格ゾーンで戦っていきたい」との姿勢を示した。

スマートライフ&エナジー
スマートライフ&エナジー

 スマートオフィスは、売上高が前年同期比3.7%減の2714億円、営業利益は291.1%増の99億円。「ビジネスソリューション事業では、北米プロジェクター事業が低調であったが、MFP事業やオフィスソリューション事業が欧米を中心に伸長した。PC事業は法人向けプレミアムモデルの販売を進めたが、構造改革の一環として欧州PC事業から撤退したこともあり、市況低迷の影響をカバーできなかった。だが、PC事業とオフィスソリューション事業は大幅な増益となった。PC事業は構造改革の効果により、利益が大幅に改善。オフィスソリューション事業では高付加価値化が進んだこと、MFP事業の増収が貢献。課題事業であったインフォメーションディスプレイ事業の構造改革効果も着実に出ている」と手応えを示した。

スマートオフィス
スマートオフィス

 ユニバーサルネットワークは、売上高が前年同期比10.6%減の1461億円、営業利益は前年同期の42億円の赤字から、30億円の黒字に転換した。「テレビ事業、通信事業ともに減収となった。テレビ事業では高い付加価値モデルの販売が進展したものの、国内需要の回復が遅れたこと、中国での価格競争が激しくなったことが影響した。通信事業では国内市況が低迷した影響は受けたが、フラッグシップスマホの売上比率は上昇。構造改革の成果により大幅な増益になっている」と語った。

ユニバーサルネットワーク
ユニバーサルネットワーク

スマホ、PC向け中小型ディスプレイの現状

 一方、デバイス事業の売上高は前年同期比8.8%減の5421億円、営業利益は前年同期のマイナス63億円から赤字が拡大し、マイナス250億円。そのうち、ディスプレイデバイスは、売上高が前年同期比13.7%減の3507億円、営業利益が前年同期のマイナス137億円の赤字から、マイナス296億円へと赤字が拡大した。「市況の回復が遅れているスマホ向けやPC向けパネルなどが減収となったが、大型ディスプレイは需要が回復して増収になるとともに、収益性が改善している」という。

ディスプレイデバイス
ディスプレイデバイス

 また、「SDPでは、中小型液晶ディスブレイへの展開も考えていたが、中小型ディスプレイの対象となるPC、タブレット、スマホが予想以上に厳しい状況が続いている。SDPにおける中小型液晶ディスプレイへの設備投資は、いまは行っていない。中小型液晶ディスプレイを生産しているシャープの別の液晶工場も、フル稼働の状況ではなく、SDPで中小型液晶ディスプレイを新たに生産することはできないのが実態だ。SDPの活用は鴻海グループとともにさまざまな可能性を検討しているところである」とした。

 エレクトロニックデバイスは、売上高が前年同期比1.9%増の1914億円、営業利益は前年同期比37.4%減の46億円となった。「センサーモジュールの顧客需要が変動したこと、ディスプレイ需要の低迷により、LCDドライバーが減少した」という。

エレクトロニックデバイス
エレクトロニックデバイス

通期の業績見通しは据え置き、黒字化目指す

 2023年度(2023年4月~2024年3月)通期の業績見通しは据え置き、売上高は前年比0.5%増の2兆5600億円。営業利益は400億円、経常利益は390億円、当期純利益も100億円と、いずれも黒字化を目指す。

 「上期業績が、期初の想定内で推移していることから、5月11日に公表した数値を据え置いた」とする一方で、「ディスプレイ事業は第3四半期も厳しい状況が続き、同事業の黒字化の時期は特定できない。だが、第4四半期からは回復すると見ている。コストダウンや新たなディスプレイ開発による需要創出、工場の稼働率向上、在庫管理の強化にも取り組み、黒字化を目指す」と述べた。

2023年度連結業績予想
2023年度連結業績予想

パナソニック、日立GLSがすでに導入、指定価格制度への対応は

 パナソニックや日立GLSが取り組んでいる指定価格制度については、「現在、状況を監視している。価格が下落しないことはお客様にとってはいいことである。また、新製品のサイクルを伸ばすことには賛同している。家電製品は10年程度に1回の買い替えサイクルであり、今年買った人が、来年になって同じ商品を購入することはない。2年間、同じ商品を販売するという点ではさまざまなメリットが期待できる。様子をみながら必要であればやっていく可能性が十分にある」と述べた。

シャープ2024年3月期 第2四半期 決算資料(PDF)

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