「ChatGPT」のユーザーらは、この人工知能(AI)チャットボットが最近の出来事を知らないことに不満を抱いてきたが、これからは比較的新しい情報で対応してくれることに気付くだろう。米国時間11月6日に開催された開発者向けカンファレンス「OpenAI DevDay」で、ChatGPTの開発元であるOpenAIは、「GPT-3.5」と「GPT-4.0」に改良を加えたことを明らかにした。
「GPT-4 Turbo」と呼ばれるGPT-4の新バージョンでは、データカットオフ日(情報の最終収集日)が2023年4月になった。情報収集の期間が延長されたことで、ChatGPTに比較的最近の出来事について質問して、回答されなかったり謝罪されたりするケースは減り、回答の内容もより正確で的確なものになるはずだ。
以前のカットオフ日はユーザーを困らせるだけでなく、調査ツールとしてのChatGPTの有効性を制限していた。リアルタイムの情報を得る唯一の方法は、「Bing」でブラウズするオプションで、月額20ドル(約3000円)を支払う「ChatGPT Plus」加入者だけが利用できる機能だった。OpenAIの最高経営責任者(CEO)Sam Altman氏でさえ、以前のカットオフ日には不満を表明していた。
「われわれは、GPT4の知識が2021年で終わっていたことに、皆さんと同じように、おそらくそれ以上にいら立っている。二度と時代から取り残されるようなことにはならないようにするつもりだ」(Altman氏)
新たなカットオフ日をテストするために、筆者はGPT-3.5モードでChatGPTを実行し、「2021年10月に起こった主な出来事は?」という簡単な質問を入力した。ChatGPTは、国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに対処する進行中の取り組み、米航空宇宙局(NASA)のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げ計画など、この月に起こった具体的な出来事の一覧を提示できた。
GPT-4の場合は、ChatGPTに「Browse with Bing」を使わないよう指示することで、この機能を使わなくても最近の情報を提供できるか確認する必要があった。そこで、Browse with Bingを使わずに、米女優Betty Whiteさんがまだ存命かどうか教えてほしいと入力した。それに対し、ChatGPTはこう返してきた。「2023年4月の最終更新時点で、Betty Whiteは2021年12月31日に亡くなっています」
延長された数カ月間の出来事を対象とする他の質問も試してみた。質問によっては、ChatGPTは最初、正しい情報をなかなか返せずにいたため、新しいカットオフ日なら正しい回答ができるはずだと指摘する必要があった。するとChatGPTは混乱を謝罪した上で、最終的に正確で最新の結果を示した。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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