味の素が「変わりづらい」食品業界で抱いた危機感

 テクノロジーを活用して、ビジネスを加速させているプロジェクトや企業の新規事業にフォーカスを当て、ビジネスに役立つ情報をお届けする音声情報番組「BTW(Business Transformation Wave)RADIO」。スペックホルダー 代表取締役社長である大野泰敬氏をパーソナリティに迎え、CNET Japan編集部の加納恵とともに、最新ビジネステクノロジーで課題解決に取り組む企業、人、サービスを紹介する。

 ここでは、音声番組でお話いただいた一部を記事としてお届けする。今回ゲストとして登場いただいたのは、味の素 執行役常務食品事業本部副本部長兼マーケティングデザインセンター長の岡本達也氏。4月に新設されたマーケティングデザインセンターがどんな役割を果たしているのかについて聞いた。

味の素 執行役常務食品事業本部副本部長兼マーケティングデザインセンター長の岡本達也氏
味の素 執行役常務食品事業本部副本部長兼マーケティングデザインセンター長の岡本達也氏

加納:新設されたマーケティングデザインセンターやどんな事業を展開されているのですか。

岡本氏:4月に創設した新組織で、いわゆるサービスセンターとプロフィットセンターの2つの機能を併せ持っています。味の素が持つ独自のマーケティングモデルを高度化していったり、コミュニケーション戦略を作成したりしています。そのほか、味の素ではオウンドメディア「AJINOMOTO PARK」を展開していますが、そちらの企画、運営も手掛けていますし、お客様情報をもとに、EC向けの製品開発なども担当しています。

大野氏:日本企業において、こうした組織を社内に持つのは珍しいと思いますが、新設のきっかけは。

岡本氏:味の素の食品事業は、アミノ酸技術を使った特定のユーザー向け、B2C向け、ほかの食品メーカーに向けて原料を供給するB2B向けの主に3つの事業を手掛けています。なかでもB2C向けは歴史があり、非常に強い。その一方で、お客様との距離をどうしても遠くなってしまう。お客様の行動や心の内が掴みきれていないというジレンマがありました。加えて、昨今お客様の価値観が多様化しています。

 以前は最大公約数の商品を作って、販売店にきちんと並べていただいていましたが、それだけでは接触できないお客様がいたり、お客様のご要望が届きづらくなってきてしまいました。

 やはりお客様とつながらないと将来に渡りこの事業が続けられなくなるという危機感があったんですね。それが理由の1つです。もう1つは、今までの最大公約数の商品を作り、たくさんの方にお売りするというマーケティングモデルをアップデートしていかないと、これからの世の中についていけなくなるのではという危機感もありました。そうした2つの危機感を融合した形で、考えたのがこの組織を作ったきっかけです。

大野氏:お客様との距離が遠い、価値観が多様化しているなどの危機感を抱かれたのはいつ頃のことですか。

岡本氏:インターネットが普及し、スマートデバイスをほとんどの方が持つようになった頃から、情報の入手経路がものすごく多様化し、情報量も非常に多くなってきました。このときに、今まで届いていた情報がなかなか届きにくくなった。時期的には2010年代の前半から中盤にかけてですね。相当な波がきたなという印象を持ちました。

 具体的には、消費者調査をして商品を開発していくのですが、その調査結果がなかなか当たらなくなってきたんです。また以前に比べて広告の効果が響きにくくなってきたという実感がありました。

加納:そんなに大きく食品業界はかわっていたのですね。

岡本氏:今も変わりきれていないというのが正直なところだと思います。みなさまもお気づきの通り、食のビジネスはなかなか変わりづらい業界だと思います。例えば、明日の食生活ってそんなに劇的に変わりませんよね。買物自体も昨日と比べて急激に変わったりしない。しかし、おそらく5年前は皆さんオンラインで食品を買う行動をほとんどされていなかったと思いますが、今では多くのものオンラインで買うようになっている。この変化は日用品や衣料などではもっとダイナミックに進んでいるのではないでしょうか。

 おそらく、衣料はオンラインでしか買わないといったお客様も増えていると思います。そういった変化が変わりづらい食品業界にもきているんですね。

大野氏:スマートフォンの進化とともに、今までのやり方が通じなくなってくると。その危機感から立ち上げられたマーケティングデザインセンターでは、どんなことに取り組まれているのですか。

岡本氏:4月にできたばかりなので、計画段階のものも多く、現在徐々に実行に移している状況です。最初に取り組んだのは、お客様と直接つながるにはどうするかということで、なにかプラットフォームが必要だなと。そこで、AJINOMOTO PARKを活用しようと考えました。

 下記の内容を中心に、音声情報番組「BTW(Business Transformation Wave)RADIO」で、以下のお話の続きを配信しています。ぜひ音声にてお聞きください。

  • 月間800万UUを誇る「AJINOMOTO PARK」を最大のタッチポイントに変える仕掛け
  • Z世代が感じる「食への不満」を商品開発にいかす「Z世代事業創造グループ」とは
  • 「極(プレミアム)麻辣麻婆豆腐用」を300人待ちの人気メニューしたコミュニケーション方法
  • 信頼の「味の素」ブランドに「めちゃくちゃ面白いことする会社」のイメージを追加する
「極(プレミアム)麻辣麻婆豆腐用」
「極(プレミアム)麻辣麻婆豆腐用」






大野泰敬氏


スペックホルダー 代表取締役社長
朝日インタラクティブ 戦略アドバイザー


事業家兼投資家。ソフトバンクで新規事業などを担当した後、CCCで新規事業に従事。2008年にソフトバンクに復帰し、当時日本初上陸のiPhoneのマーケティングを担当。独立後は、企業の事業戦略、戦術策定、M&A、資金調達などを手がけ、大手企業14社をサポート。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会ITアドバイザー、農林水産省農林水産研究所客員研究員のほか、省庁、自治体などの外部コンサルタントとしても活躍する。著書は「ひとり会社で6億稼ぐ仕事術」「予算獲得率100%の企画のプロが教える必ず通る資料作成」など。



CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画広告

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]