筑波大発ピクシーダストテクノロジーズが日本ではなく米国で上場した理由

 筑波大学発のディープテックスタートアップである「ピクシーダストテクノロジーズ」は10月19日、米国のナスダック市場に上場したことを受け、記者会見を実施した。同社が開発、販売するプロダクトの詳細を説明したほか、今後のビジョンなどを話した。

左から、ピクシーダストテクノロジーズ 代表取締役の落合陽一氏と村上泰一郎氏
左から、ピクシーダストテクノロジーズ 代表取締役の落合陽一氏と村上泰一郎氏

 ピクシーダストテクノロジーズは、2017年5月に設立。波動制御技術を軸に、プロダクトやサービスの研究開発などを進めているディープテック企業で、超音波スカルプケアデバイス「SonoRepro(ソノリプロ)」や吸音材「iwasemi(イワセミ)」などを商品化している。

 米国ナスダックへの上場は8月1日に実施。代表取締役の落合陽一氏は「ナスダックは私たちのような研究開発型のディープテックベンチャーに対する理解が非常にある。ピクシーダストテクノロジーズは言語依存型のプロダクトを作っておらず、グローバル展開しやすいことも理由の1つ」と米国で上場した理由を明かす。代表取締役の村上泰一郎氏も「どんどん新しい技術を社会のために提供していく、そういったチャレンジをずっと続けていくような会社にとって、ナスダック市場は懐が深い」と続けた。

 ピクシーダストテクノロジーズは2022年度にソノリプロ、ガンマ波変調技術搭載スピーカー「kikippa(キキッパ)」、聴覚障害や聞こえにくさがある人と聴者をつなぐサービス「VUEVO」、イワセミなどの商品を発表。開発、販売にあたっては、キキッパは塩野義製薬、ソノリプロはアンファーなど、パートナー企業と積極的に協業している。

 会場では、空気は通すが音は通さないプロトタイプも紹介。透明な筒の中に柱のような物体を入れると音だけ小さくなるというデモンストレーションも実演した。「これまで熱を持ったり、換気したいというニーズがあっても音がうるさいからできないという場面があった。その解決策を示せる新しい技術になるのではと考えている」(村上氏)と紹介した。

 ナスダックへの上場は約2年の準備期間を経て実現したとのこと。落合氏は「現在、株価も堅調な動きをしていると思っている。日本と米国では勝手が違うこともあり、プレスリリースなどメッセージの出し方が難しかった。前例がほとんどない中での上場だったので、非常に苦労した」とコメント。村上氏も「前例がなかったため、これはどうする、あれはどうすると1つ1つ、道をつくりながら上場に至らねばならなかった」と前例のない挑戦だったことを明かした。

ピクシーダストテクノロジーズ

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]