シンガポールと米国は、互いの国のコンプライアンス要件に容易に対応できるようにするため、それぞれの人工知能(AI)フレームワーク同士の対応関係を明確にした。また、「安全で信頼でき、責任ある」AIイノベーションを促進するために、今後も協力していく。
シンガポールの情報通信メディア開発庁(IMDA)と米国の国立標準技術研究所(NIST)は、IMDAの「AI Verify」とNISTの「AI Risk Management Framework(AI RMF)」の共同マッピング作業を完了した。この連携の狙いは、国家間のAIガバナンスフレームワークの違いを調整し、複数の要件に対応するコストを削減することにある。
シンガポールのAI Verifyはテスト用のフレームワークとツールキットで、組織は標準化されたテストを通じて、責任あるAIの導入に取り組んでいることを証明できる。一方、米国のAI RMFは、企業がAIシステムの利用や導入にまつわるリスクを低減し、AIの責任ある開発と導入を確実に履行できるようにするためのリソースだ。
この2つのAIフレームワークの対応関係を示した対照表が、すでに公開されている。
シンガポールの外務省は、現地時間10月13日に発表した声明で「(共同マッピング作業の完了により)企業は両方のフレームワークの要件により明確に対応し、コンプライアンスコストを削減し、AIの導入とイノベーションを促進する環境を整備できるようになる」と述べた。
同省は、「安全で信頼でき、責任ある」AIイノベーションを推し進めるために、「共通原則の策定」と情報交換のための二国間AIガバナンスグループを設立する計画もあることを明らかにした。
同省によれば、シンガポールと米国は、国際的なAIのセキュリティ、安全性、信頼性、および標準の開発について協議し、「責任あるイノベーション」を推進していくという。また、今回の二国間協力には、AIの安全性とセキュリティに焦点を当てた米国立科学財団(NSF)とAI Singaporeの研究や、労働力開発イニシアチブの強化も含まれる。
こうした両国間の取り組みは、初開催となった「U.S.-Singapore Critical and Emerging Technology Dialogue」(重要新興技術に関する米・シンガポール協議)で発表されたものだ。ワシントンDCで米国時間10月12日に開かれたこの協議では、AIにとどまらず、デジタル経済とデータガバナンス、重要インフラと技術サプライチェーン、量子技術など、他の重要分野についても話し合われた。
この協議から生まれたイニシアチブの中には、デジタル経済協力に向けた二国間ロードマップを作成し、データガバナンス、デジタル標準、消費者保護などの問題に関する共通原則を策定する計画も含まれる。また、米財務省とシンガポール金融管理局が、デジタル決済に関する二国間協力を強化する方法を検討していく予定だ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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